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飛んで火に入る夏の虫。





飛んで火に入る夏の虫、とはよく言ったものだ。
明るさにつられ、ふらふらと飛びながら入り込んだ先は、自らを焼く灼熱の業火。
自ら災いに飛び込む様はなかなかに滑稽だが、
言葉通り小さな羽虫ならば、求めた場所が災いだと知らない分、
哀愁も覚える。
だが、
それでは、今まさに自分の目の前にいる、この男は?
このノミ蟲は、何のためにわざわざ自分の所にくるのだろう?
何度来てみた所で、どんな手段で近づこうと、結果は目に見えている。
ノミ蟲らしく逃げ足は速かったが、
ひとつ間違えれば、殴り殺されるであろう事くらいわかっているはずなのに。
普段はニヤニヤと、厭らしい笑みばかり浮かべる臨也だったが、
その時ばかりは、余裕がない、といった風に取り繕った笑いの中に本気の表情を見せる。
そんな姿を見る度に、静雄は思うのだった。

―――一体、何のために?

「・・・なんで、テメェは」
「なに?」

深夜もとうに過ぎた、情事の後。
それは、顔を合わせれば本能的に殺し合わずにはいられない二人が、
唯一まともに言葉を交わす瞬間だ。
とはいえ、大半は沈黙のまま無駄に時間が過ぎていくのだが――――――

「・・・そんなに死にてぇのか」
「へ?やだなぁシズちゃん。俺は死にたいなんて1度も思ったコトないよ。
 てゆか、死にたいならシズちゃんの暴力に抵抗なんかしないでしょ」

ぱちんと、手元からナイフを取り出す。
ぎらりと光る刃物をためらいなく目の前の男に向け、臨也はニヤリと笑った。
気に食わない。
そんなもので自分が恐怖を覚えることはなかったが、
そもそも静雄は、いたって普通の、平穏な日常を送りたいと、
日々、思っている。
だから、こうしてナイフを向け、自分の暴力を煽る男が、
静雄は心底嫌いだった。

「なんでわざわざ、って?
 ・・・そうだなぁ。敢えて言うなら、君が大嫌いだってコトを再確認するため、かな?」
「ああ゛!?」

へらへらと笑う臨也に、何を言っているのだ、と思う。
大嫌いだということを再確認するため?
・・・反吐がでる。
自分だったら、嫌いなものになど極力関わりたくないと思うのに。
だから、ノミ蟲のいなくなった当時の池袋は、少しだけ平和だと感じたものだ。
今だってわざわざノミ蟲を殴ろうと追いかけるのは、
池袋から追い出したい一心だから。
でなければ、誰がノミ蟲の顔など見たいものか!

「君みたいな化物を前にすると、本当に気分が悪くてさ。鳥肌立つわ、吐き気はするわ、もう最悪。
 ―――でも、その分、人間っていいな、って改めて思うんだよねぇ。」
「・・・この変態が」

そのために、わざわざ全身に傷を負って?
力の加減が出来ない自分は、どうやったって相手を怪我させてしまう。
もちろん相手がこのノミ蟲だということもあるだろうが、
いつだって終わってみれば、臨也の身体は青痣やら噛み痕やら、時には出血しているものも少なくないのだ。
それに対して臨也は毎度唇を尖らせて文句を言うが、
元々好きだとか、大切にしたい、だとか甘い感情は一切関係のない2人だ、
この男に対してだけは、静雄は一度たりとも後悔したことはなかった。
第一、嫌ならば、自分にわざわざ会いに来なければいいだけなのだから。

「変態でも、化物の君よりよっぽどイイと思うけどねぇ。
 少なくとも、俺は人間だ。君がどんなに足掻いたってなれない【人間】―――
 この壁は大きいよ、シズちゃん?」
「うるせぇ・・・!」

減らず口を黙らせようと、再び静雄は臨也の手首を掴んだ。
そうして、怒りのままにその細腕を捻り上げる。悲鳴と共に、ミシリと骨が軋む音。
痛い、痛いと叫ぶ男の声よりも、静雄は己の掌に感じる感触に意識を傾けた。
そう、普通の人間ならば、あと少しだけ自分が力を込めれば、簡単に骨など砕けてしまうだろう。
いとも簡単に。
それは、相手が折原臨也であろうと同じことで、
だからこそ、彼を殺してやりたいと常々思っている静雄にとっては、
今が絶好のチャンスなのだ。
だが、

「・・・っ・・・痛いよ、シズちゃん」
「ウゼェ」

こういう時ばかりは、涙目で懇願するような表情を浮かべる男から、
静雄はふいと目を反らした。
そのまま、腕を掴んだままで彼の身体をシーツに押し付ける。
先程交わったばかりだから、互いに服は着ていない。
既にシーツには無数の皺が刻まれていて、今の今まで、どれほど激しい行為をしてきたかが
伺える。
既に更なる痣が刻まれた両腕を頭上に拘束し、
静雄は憎たらしい臨也の顔を見下ろした。痛みに苦しげな表情。
だが、それは一瞬だけで、目が合った途端、臨也は口の端をニヤリと歪ませた。
厭らしい笑み。
まるで、悦んでいるようなそれが、
静雄の嗜虐心を更に煽る。

「殺す・・・」
「・・・っ、シズちゃんの殺す≠チてさぁ、犯す≠ニ同義だよねぇw」

来なよ、と挑発されれば、静雄に止める理由はない。
あれほど吐き出したはずの雄が、軽く手で扱いただけで再び力を取り戻した。
そのまま、背が折れるほどに尻を持ち上げ、突き落とすように内部を侵していく。
ぐちゅりと、卑猥な水音を立てるそこからは、
血の赤と精液が混じり合った穢れたモノが溢れてきた。
尋常ではない痛みに、臨也は顔を顰めるが、
知ったことではない。第一、乱暴に扱って欲しいと訴えるのは、
彼自身の態度なのだから。

「痛っ・・・ッ裂ける、やだ、シズちゃ、はげしっ・・・ッ!!」
「死ねよ、ノミ蟲・・・本気で、反吐が出る・・・!」
「あ、あッ、やだ、あっ、あ・・・ッ」

静雄の容赦ない突き上げに、ただでさえ刺激に敏感な臨也の身体は、もう限界寸前。
全身の骨が軋み、結合部は裂傷のせいで引いても挿れても激痛が走る。
目の前がチカチカして、あまりの痛みに意識すら飛びそうだった。
無意識に、自由になる両脚を静雄の背に絡みつかせ、しがみ付いた。
痛すぎて、どうにかなりそうだ。
唇を血が出るほどきつく噛み締めて、必死に耐えた。
平和島静雄というバケモノから与えられる、苦痛と、暴力と、劣情と、欲望。
無意識に溢れる涙と汗に顔をぐちゃぐちゃに歪めながらも、
臨也は笑った。
―――蹂躙される。
内部で生き物のような静雄のそれが蠢く。
内臓を掻き回す。嘔吐感が込み上げてきて、咄嗟に顔をシーツに埋めた。
と同時に、タイミングよく静雄の手が離れ、ぐるんと身体を回転させられる。
そのまま力任せに尻を持ち上げられて、再び乱暴な抽挿。
耐えるしかなかった。
溢れる涙に枕は濡れ、シーツは血液の染みが付き、体液でどろどろ。
最低なセックス。
感じるとか、意味がわからない位暴力的なそれ。
そんな痛みを甘受する臨也の雄が腹につくほど立ち上がっているのは、
単に生死の境目にいるからだ。
あと、もう1歩で静雄は、自分を殺すことができる。
さぞかし快楽だろう、と思った。
化け物は化け物らしく、本能に任せて人を屠ればいいのだ。

「・・・ッハ・・・、ね、何ビビってんのさ?」
「っ・・・テメェ」
「殺したいなら、殺せば?」

あれほど、死ねだとか殺すだとか言っているくせに。
いざとなれば、躊躇う様に瞳の色を揺らす静雄が、心底嫌いだった。
化け物のくせに、人間でいたいとしがみ付く往生際の悪さが。
馬鹿みたい。

「・・・そんなに、死にてぇなら望み通りにしてやるよ」
「っぐ、ぁあ・・・!!!」

ガッ、と片手で掴まれたのは、首筋。
握り潰されるかと思うほどの力。同時に顔も潰れるかと思った。息ができない。苦しい。
そうして、朦朧としたままの意識に、更なる暴力的なグラインド。
まるで拷問だ。
真っ赤に灼けた鉄塊で、傷口を更に開かされるのだから。
シーツを噛み締める指先が、痙攣を起こした。
もう、意識は失う寸前。
と、ぬるりと臨也の前に絡みつく長い指先。乱暴な手つきだったが、
震えて涙を零す雄を開放に導くには十分な刺激だった。
何の前触れもなく、臨也は静雄の手の中に己の精を放った。

「っ―――・・・」

そこで、臨也の意識はぷつんと途切れる。
再び内部を穢す精の感触も、背に落ちる静雄の汗も、唇を噛み締めて呻く声も、
すべて遠くにしか感じられない。
ただ、最後の最後に思ったことは、
やっぱり、静雄は化け物なのだ、と言う事だけだった。

ああ、愉しい。
化け物は、またきっと、絶望的な表情をしているのだろう。
人を愛せず、人にもなれず、孤独な存在。
それでこそ、シズちゃんだ。






「ち、くしょ・・・・・・」

完全に意識を失った臨也の身体から己を抜けば、
くぷりと己の精液と共に、鮮やかな色合いの赤が目についた。
再び内部が裂けたのだろう。
ひどい激痛だろうに、それでも臨也は笑っていた。
意識を失う寸前まで、口の端を歪ませて。

「・・・本当、意味がわからねぇ」

吐き捨てる。
この男とのセックスは、何度やっても後味が最高に悪いもので、
ああ、本当にわけがわからない、と静雄は血が出るほど拳を握りしめた。
こんな事をしたいわけじゃない。
暴力なんて大嫌いだった。相手がノミ蟲だろうと、本当は殺したくなんてなかった。
だが、こうしてこのノミ蟲は、
人が必死に抑えつけている力を無理矢理使わせようとするのだ。
本当に、反吐が出そうだった。
このノミ蟲に対しても、挑発に乗せられる自分にも、力を制御できない自分にも。

「クソッ・・・」

ガン、とヘッドボードを殴りつけて、
そうしてボロボロの臨也をベッドに寝かせたまま部屋を出る。
何度も躊躇いながらも、
静雄は己の携帯電話を取り出すと、
友人の闇医者の番号を探し始めたのだった。





end.






暴力的ですみません。
静雄は、やりすぎた、と思っても自分からは手当てしないと思うな。
できないっつーか?で、仕方なくて新羅を呼ぶ。放置はできない体質だと思うなー
でも、極力ヤり倒したってことをバレたくないから、
シャワー室にでも押し込んで、乱暴にシャワーを浴びせてそう。
まぁでも結局バレるんだがねw

臨也が意識を取り戻してくれれば新羅なんて呼ばないのに、
目覚まさないと、ちょっとでも「本当に殺しちゃったらどうしよう」的な気持ちになるシズちゃんが
不憫で可愛いです(え









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