女性向二次創作サイト
星蒼圏 - 保管庫モバイル
「光と闇の交わり」
光を、探していた。
いや、探していた、という表現は正しくない。
いつだって、自分の視線の先には『光』があったから。
昔は、単なる憧れに過ぎなかった。
実際に行動を起こさない大半の人間にとって、「憧れ」は、ただの、空に光る星のようなものだ。
見上げこそすれ、手の届かない事を嘆くことはない。
・・・それなのに、俺は、求めてしまった。
得たいと思った。その光を。
薄汚れた狭い世界の中で、ただ1つの輝きに思えた。
そうして、手を伸ばして、まっしぐらに走って。
前ばかりを見て突っ走っていた頃の自分は、本当に幸せだったと思う。
後ろを振り向かずに、前ばかりを見ていられる事。自分の影に気付かぬ事。
全てが、今の自分には出来ないことだ。
光に近づけば近づくほど、自分の影が濃くなるように、
俺の中の心の闇が、ぱっくりと口を開ける。
それに身を委ねてしまった自分は、・・・もう、戻れない。
例え、それに勝る想いがあったとしても。
大空洞の中は、ひどい有り様だった。
星の災厄となり果てたセフィロスとの死闘の跡が、今でさえ色濃く残っている。
クラウドは、脳裏に浮かんだその時の情景に首を振ると、軽く岩場を蹴ってふわりと宙へ舞い上がった。
まるで飛ぶように投げ出された体が、寸分の狂いもなく目的の足場へと到達する。
底も見えないほどの深い洞穴は、今では淡い光を纏い、クラウドを照らしていた。
深い谷の、底の底。
ライフストリームの溢れるそこに横たわる影を見つけ、クラウドは目を細めた。
そのまま、もう一つ地面を蹴ると、背負った羽根がバサリと揺れる。
数瞬後、その影の傍らに降り立ったクラウドは、うつむいたままの彼の顔を覗き込んだ。
「・・・・・・セフィロス」
名を、呼ぶ。
すると、瞳を閉じたままの彼は、その声を聞いたかのように口元を綻ばせた。
あの時。
確かに、クラウドの手の中の剣は、セフィロスを貫いていた。
けれど、星の意思を背負ったその武器でさえ、彼を死に導くことは出来なかった。
ライフストリームが、彼を・・・彼の中の異界の産物を星に還すことを、拒んだのだ。
それは、既に星の一部として認めた者を死なせることが出来なかったのか、
それとも星にとっての異物であるジェノバを排除したのか、よくわからない。
けれど、・・・どちらにしろ、
セフィロスは生き長らえた。
その意識を、失ったままで。
「セフィロス・・・・・・」
クラウドは、再度彼の名を呼ぶと、眠れる男の頬に手を触れた。
顔にかかった絹のような銀髪を払い除け、じっと見つめる。
けれど、セフィロスは動かない。
ただ口元を軽く緩ませ、眠るだけだ。
ライフストリ−ムの淡い光に抱かれたまま、何を夢見ているのだろうかとクラウドは思う。
星の意思が彼に与えたものは、『死』ではなく、『眠り』。
でも、それでよかったのかもしれない。
もし生き続けたとしても、もうこの世界には受け入れてもらえないのだろうし、
彼もそんな中で生きていても、苦痛なだけかもしれない。
今、幸せな夢を見て、たとえ虚構にしろ笑みを浮かべていられるのなら、一番彼にとってよかったのではないか。
そう思えるほど、セフィロスは穏やかな顔をしていた。
わかっている。
長い憎悪の果てに、彼は「約束の地」を見つけたのだろう。
もう、彼にとって苦痛でしかなかった現実に、戻ってくることはない。
わかっていながら、クラウドはなおも彼を呼んだ。
「なぁ・・・・・・起きろよ・・・・・・」
何度も繰り返された言葉。
何年という歳月、同じ台詞が深い洞穴の中で響いたことか。
それでも、クラウドはセフィロスを呼び続けていた。
彼の幸せな眠りを妨げる気は、毛頭なかった。
そもそも、彼を救ってやるといいながら、長く苦しめて来たのは自分だった。
そんな自分が、彼のやっと見付けた幸せを、奪う資格はない。
それなのに、
自分の中にざわざわと湧き上がるこの気持ちは何なのか。
クラウドはぎゅっと唇を噛み締めた。
自分なしで完結したその世界を、
壊してやりたいとさえ思う。
「なぁ・・・いい加減起きろよ・・・」 クラウドはセフィロスの上に乗り上がると、彼の耳元で囁いた。
片方の手は肩へ、もう片方は胸へ。ゆっくりと伸びていく。
「目ぇ覚まさねぇと、犯しちまうぜ・・・・・・」
身に纏ったままの服の胸元をはだけさせ、手のひらを滑らせる。
均整の取れた胸をたどり、下腹へと手を下ろしていくと、痛々しい傷痕に触れた。
自分が、その意志でつけてしまった彼の傷痕を見る度に、クラウドは自責の念に苛まされる。
何も言わない彼が見せる、ただ1つの抵抗のような気がした。
けれど、彼を得たいと何年も何年も想い続けてきた自分には、それはもはや何の意味もない。
クラウドは地面に手を付くと、露わになった傷痕に唇を這わせた。
舌でその痕をなぞるようにして舐め上げると、セフィロスの体がひくりと震え、軽く開いた唇から小さな吐息が洩れる。
すかさず身を起こして唇を重ね、彼の吐息を吸い込むように深く口付ける。
しっとりと濡れた口内の感触を確かめるように味わい、クラウドはその奥の舌をきつく絡めた。
「ふ・・・」
意識もないというのに、セフィロスは口元から甘い吐息を洩らす。
苦しげに寄せられた眉のラインの美しさに、クラウドは目を細めた。
伏せられた瞼に、口付ける。
まるで誓いのようにセフィロスのあごに手をかけて上向かせ、ゆっくりと瞼に唇を落とすと、うっすらとセフィロスは笑った。
地面に投げ出された手を、指を絡めてきつく握れば、その手に微かな力が入る。
その度に、クラウドは目が覚めたのかと顔を上げ、すぐ違うと知ってうつむく。
手を繋いだまま両足を膝で割らせ、自らの体を滑り込ませた。
「セフィロス」
握った手を引き上半身を起こさせると、クラウドは彼の顎を自分の肩に乗せた。
触れる胸の感触、肩に触れる熱さ、そして耳元に響く熱い吐息を感じながら、セフィロスの背筋を憮で、その奥に隠された箇所に到達する。
やはり感じやすい体なのか、一段と荒くなった呼吸がクラウドの脳髄を刺激する。
触れ合わせた熱と後ろに持って行った指先でセフィロスを追い詰めながらも、彼の声だけで達してしまいそうな自分を感じて、クラウドは唇を噛んで耐えた。
「んはっ・・・」
クラウドの長い指がセフィロスの弱い部分に当たったのか、思わず、といった吐息。
知り尽くした体への愛憮は、的確に彼を絶頂へと導いていく。
セフィロスの全身が、必死に限界を訴え震えているのを感じ、クラウドは笑みを浮かベた。
セフィロスの身を離し、後ろに倒れ込もうとする体を、自らの片羽根と腕で支えてやる。
頬に唇を寄せ、開かせた足をもう一度押し開くと、クラウドはセフィロスの内部へと侵入した。
「っ・・・・・」
無意識的に強張る体を、その背をさするようにして力を抜かせる。
眠っていても痛みは痛みなのか、きつく瞳を閉じ、苦痛に耐えていた。
「セフィロス・・・」
名を呼んで、頬に幾つものキスを落とす。
すると、セフィロスは噛み締めていた唇を緩め、ひどく淫蕩な表情をクラウドに向けた。
その吐息も、強張る体も、その表情も、全て過去の記憶のまま。
何1つ変わらないまま、セフィロスの体が自分に委ねられていた。
・・・何1つ?
違う、俺は・・・・・・
「セフィロス・・・」
クラウドは、セフィロスの耳元に唇を這わせた。
祈りを込めて、彼に囁く。
「目、開けてくれよ・・・」
そもそも、クラウドが惹かれたのは、彼の、冷たさの中に悲しみを宿す美しい瞳だった。
頬にキスをすると、うっすらと開く碧い光が本当に好きだった。
けれど、その碧い瞳は、あの時以来閉じられてしまっている。
あの瞳の輝きは、もはや、見ることは出来ないのだ。
クラウドは、胸に湧き起こる痛みを止められないまま、セフィロスをきつく抱き締めていた。
光を、求めていた。
その瞳の輝きが欲しくて、必死に手を伸ばし、かくして願いは叶った。
けれど、
手にした光は 俺を闇に染めてその輝きを失い、
俺はその代償に
絶望と、闇色の翼を手に入れた。
左肩に背負わされた片羽根だけでは、飛び立とうにも飛び立てない。
けど、あんたを忘れたくない俺には、ちょうどいいのかもしれないな。
・・・だから、また来るよ、セフィロス。
あんたが絶望の果てに光を見つけたのなら、
俺もいつか、輝きを見つけられるかもしれないから。
end.