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星蒼圏 - 保管庫モバイル
「依存。」
「・・・もう、お前とは別れる」
「あぁ?」
一瞬、聞き間違えかと思った。
いつも通り、教会の宿舎の、キリストの張り付けられた十字架の下で、
見せつけるように神を冒涜する行為を行ったその日。
裸で、シーツ1枚を身体に巻きつけた格好のまま、なんとなく煙草を吹かしていた結城は、
賀来のかすかに震えた、けれど決意の滲むその言葉に顔を向けた。
なにを言ってる?
結城には、理解できなかった。
別れる?お前が?俺から?意味がわからない、と首を振る。
たった2人だけ。
そう、自分と、この男だけだ。
MWの、あの島で苦しみながら生き抜いてきたのは。
いわば、運命共同体。
立場が違えど、離れられるわけがない。
こうして、身体だって繋いでいる。そう一言で片づけられる関係でもない。
そもそも、別れるなど、どうやって?
「なに馬鹿なこと言ってんだよ、神父さん」
「もう、会わない。・・・会いたくない。お前は、勝手に犯罪を犯せばいい。俺にはもう、構うな」
ぎしりと音を立てて、狭く質素なベッドが揺れた。
離れていく。男は振り向かず、部屋を出た。
結城は見送る。煙草を咥えたまま。
自分の感情が、どろりと粘性を持っているのを知っている。
女だろうと、男だろうと、部下だろうと上司だろうと、
誰を見ても感情を動かされたことはない。
演技もたいして上手くできない。
目の色なんか、多分冷めた色以外を映したことはないだろう。
そして、それは、賀来に対してでも同じで、
いつだって、ほとんど動かない瞳の色をもって、それでも彼を誘惑してみせたりしていた。
賀来の戸惑ったり心揺らされたりする表情は、
いつだって自分を愉しませる。
少し、ほんの少しだけ、感情を揺さぶられる。
だから今も、
唐突な賀来の言葉が、結城の感情を動かしたのは、
彼が出て行ってから何分も経った後で、
結城が漸くそれに気づいたのは、煙草の灰が落ちそうになる寸前まで咥えていたからだった。
・・・賀来、が、別れる?
どういうことだ?
二度と、顔を見せない、ということだろうか?
自分に?この教会すら投げ出して?
―――あり得ない。
在り得ない。有り得ない。無理だ、無理に決まってる。
だって、俺たちは、・・・そう、俺たちは、
「冗談だろ?神父さん」
答えは、ない。
漸く、結城は腰をあげた。ベッドを抜け、シーツを引きずったまま、
賀来が出ていった扉に張り付く。
まさか。
そんなはずはない。
あいつが、・・・賀来が、俺から離れられるわけがない。
あいつは俺を、愛しているはずだ。
だって、あれほど、俺を求めたじゃないか。
神に仕える存在のクセに、キリストの前で、背徳的な行為に耽った。
俺は、頑なにキリストを見上げようとしないアイツの顔を、
ヤツが俺を貫いたその結合部を、
あの役に立たないカミサマに向けて嗤ってやった。
ああ、カミサマ、俺達が本当に罪ならば、
制裁をください。
そう、祈ってみる。けれど、何もなかった。フン、どうせ、そんなものだ。
「神様なんて、いない」
呟いて、べたりと扉に凭れかかる。
「被害者の俺達がこんなに辛い運命を背負っているのに、あいつらはピンピンしてやがる。
なぁ、神父さん。神様ってヤツは、平等じゃないのかい?それとも、おれたちのほうが、」
罪だって?
ハハッ、と、声を上げて結城は笑う。
冗談じゃない、そう吐き捨てて。
「賀来・・・・・・、俺は、神なんて、いらない」
不意に、込みあげた感情に、吐き気を覚えた。
なんだろう、この不快な感覚は。
動かない故に淀み、腐りきった感情が、突然荒らされたかのように。
苦しい。
扉に、縋りついた。ガタンと、古びた扉が悲鳴を上げる。
「俺達は、一心同体なんだ。あんなにカラダ繋げておいて、逃げだすなんて、許さ、ない」
許さない。
もう一度、口の中で呟いて、瞳を閉じる。
ずるずると床に崩れ落ちながら、壁越しに男の温もりを感じる。
神様なんて、いらない。
欲しいのは、あの男の腕だけ。
MWに冒されて苦しかった日々を、男の胸に縋って耐えてきた。涙が零れそうになる。
不快感に、胸が締め付けられる。
「が、らい・・・」
がり、と木造の扉に爪を立て、それきり、音を立てなくなる結城に、
扉を隔てて廊下側に座り込んでいた賀来は
誘惑されまいと唇を噛み締めた。
end.
賀来Sに挑戦したくて、ブログで書いたネタ。あれ、いつの間に結城S・・・!orz
ま、デフォですよね★orz
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