女性向二次創作サイト
星蒼圏 - 保管庫モバイル


願望。




また、発作だ。
意識が遠のくような眩暈と、胃を鷲つかみにされたような嗚咽感、息が出来ないほどの苦しさ。
耐え難くなった結城は、足早にオフィスを後にすると、
人目の付かない場所を探して、結局トイレに駆け込んだ。
こみ上げる、吐き気。それに逆らえず、胃の中のすべてを吐き出してしまう。
辛い。苦しい。吐くものがなくなっても、突き上げる衝動のままに胃液を吐き出す。
必死に口元を押さえ、声を殺した。
駄目だ、気づかれてはならない。結城は個室の壁に背を付けたまま、瞳を閉じる。暗転した視界に、あの男の姿が一瞬浮かび、そして消えた。
が、らい。
震える掌が、無意識にポケットの携帯に手をやった。
ショートコールで一番に出る賀来の番号を目にして、そうして携帯を耳にあてた。
呼び出し音。
きっちり3コールで、賀来は電話に出る。

「もしもし。」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・結城か?」

身体の奥に深く響く、男の声音。少しだけ、発作が楽になる。
賀来、賀来、賀来。
何も言わず、彼の次の声を探した。
仕事中だ。会話をするつもりはない。する話もない。
ただただ彼の声が聞きたかった。
案の定、賀来は、反応のない自分に気づき、名を呼んでくれた。
はは、と声のない笑いを漏らした。
まったく。最近の自分はどうかしている。

「また、発作なのか?どこにいる、結城!大丈夫なのか?結城、結城!ゆ・・・」

心配そうな声音。いつも聞くたびに思う。賀来にとって、自分はトクベツな存在なのだと。
その優越感は、腰の奥が疼くほどに快楽を呼び覚ます。
彼の声音を、頭の中で反芻した。
身体の力が抜ける。
耳にあてていた携帯を支えるのも面倒臭くて、だらりと腕を横に垂らす。

発作は、いつも突然やってきては、彼を苛んだ。
勿論、薬だって飲んでいる。今もまた、いつも携帯している薬を口にして、
漸く治まってきた発作に安堵の息を漏らす。
右手に握っていた携帯を切り、深く息を吸う。大丈夫だ、もう、大丈夫。そう自分に言い聞かせ、
結城は個室を出、そうして鏡に映る、己の顔を睨んだ。
げっそりとやつれた顔。血色のない蒼ざめた表情。だがそれは、今しがた発作を起こしたためだけのものではない。
ここ数日、結城は自分の家にも帰れず、教会にも足を運んでいなかった。
それどころか、ほとんど寝ていない。
仕事のせいかと問われれば、恐らくそうだろう。そう、例えオフィスの外であっても、
上司と共にある時間なのだ、部下としての態度を強要されるのも当然。
だが、結城には、勿論別の目的があった。
たいした能力もない上司に媚を売り、お世辞を言い、散々持ち上げてきた。
気に入られるのは必然で、
案の定、たった3日その男に奉仕してやっただけで、
簡単に真実を吐いた。弱みも、隠していた事実も、次のターゲットも。
もう、必要はない。
結城は、忍ばせていたナイフを振るい、彼の大事な部分を切り落としてやった。
断末魔の叫び。
激痛に咽び泣くその男の悲鳴さえも、結城には響かない。
未だに苦痛にのた打ち回る男をそのままに、
無駄に広い彼の豪邸に火を放つ。

ああ、気持ちがイイ。
全身を穢れた男の体液に汚しながら、結城は愉悦の笑みを浮かべた。
それが、つい昨晩の事だ。
漸く、こんな夜から解放される。

結城は、少しだけ緩んだ表情になり、
再び己に宛がわれたコンピュータに向かった。
定時まで、あと3時間。



















「・・・賀来」

仕事を定時であがり、ビルから出てきた結城は、
目の前のカフェテラスで立ち尽くす男に目を見開いた。
先程の電話から裕に三時間は過ぎている。
あれから、ずっと待っていたというのだろうか?
急ぎで来たのか、くたびれた衣服のままで、自分を見つけた途端、
心配そうに揺れる瞳。
そんな賀来の姿に、結城は無意識に口の端を持ち上げた。
相変わらず、彼の中で自分はおおきな位置を占めているのだと知って。
この男を振り回すのは、ひどく愉しい。
わざと我侭を言い、彼を困らせることもしょっちゅう。
だが、今回は別だ。
賀来には、職場に来るなといってある。
こんな場所で、知り合いだと悟られるわけにはいかない。
ひとつも表情を変えることなく、結城は賀来を一瞥して歩き出した。

「・・・俺の職場にくるなと言っただろ」
「結城、・・・大丈夫か?」

睨みつける男の視線も意に介さず、賀来は心配そうな目を向けた。
それもそのはず。彼にとって、結城の身体が一番の心配事だ。
昼間、あれほど激しい発作を起こし、教会に電話をかけてくるほどに憔悴しきっていた彼。
駆けつけたかったが、彼がいたのは仕事先。
病院に搬送されたとも、回復したとも連絡がないとなれば、
賀来には直接彼の元に行くしか彼の様子を知る方法はない。
だから、ここに来た。
自分たちの繋がりや、関係を知られたくないのは、賀来だって同じだ。
だが、これしか手段がないのならば、来るしかないではないか。
怒りを買うであろうことは、承知の上だった。
それでも、賀来は来た。

「・・・あんた、聞いてんのかよ」
「お前こそ、俺の質問に応えろ」
「・・・・・・」

互いに、互いを睨み合う。帰宅途中の職場仲間からの視線を感じ、
先に目をそらしたのは結城のほうだった。
男を無視して、足早に横切り駅に向かう。勿論、後ろから賀来の足音が聞こえたが、
振り向かない。
2人は距離を開けたまま、
ホテルに入るまで一言もしゃべらなかった。
ホテル―――。
元々、次の日が休日だった結城は、賀来にホテルの手配をさせていた。
本当は、自分の部屋で泥のように眠りたかった。
あの、汚らわしい男に抱かれた身を清め、そうして、

「―――っ・・・」

その時。
どくり、と心臓が動いた気がした。
胸を押さえる。痛みではない、なにか、別の、
締め付けられるような苦しさ。
ふらりと揺れた足元に、結城は思わず近くの壁に寄りかかった。慌てて賀来は手を差し伸べるが、
結城は首を振り、彼の手助けを遮った。
発作ではない、これは眩暈だ。
昨晩まで、散々酷使してきた身体。見られれば、簡単にバレてしまうだろう。
手足首に付けられた縄の痣だとか、暴力的な行為の痕、
引き裂かれた下着や、全身に散らばる朱い所有の印。
だが、結城は、そんな自分の身体を賀来に見せ付けることに、ひどく悦びを感じていた。
他人の手にいいようにされる自分を見て、あの男の顔が嫌悪の表情に揺れるのが、
楽しくて仕方がなかった。
嫌そうに歪む顔、嫉妬心を抑えきれずにいる賀来は、
神父としてはあまりに堕落している。
自分のいるところまで、引きずり落としてみたい。どうせ既に、悪魔に加担した時点で、
この男だって穢れているのだ。
その事実に、頑なに目をそらそうとする賀来が、もどかしくて仕方がなかった。

「・・・っ結城、結城!」
「大丈夫だよ、神父さん。ちょっと最近、寝てなかっただけだ。明日は、休む」
「寝てない、って・・・結城、家に帰ってなかったのか?」
「・・・気になるって?」

部屋に入るなり、賀来の腕に凭れかかり、上目遣いに誘惑するような結城。
スーツ姿に、伊達眼鏡という格好は、
いつだって誰も近寄らせない一種のオーラを放っている。
頑なで、真面目。ふざけた冗談も、あの鋭い眼光には通じないだろう。
冷静で、冷徹。揺らがない瞳の色。
だが、今の結城は、同じ格好をしているにも関わらず、
眼鏡越しから賀来に、期待するような瞳を向け、
賀来の胸の内の欲をくすぐった。
囚われる。
この、妖艶で魅惑的な、結城という男に。

「結城・・・・・・」

賀来は、胸元に身体を預ける男を締め付ける衣服を、
丁寧に脱がせていった。
ネクタイを外し、眼鏡を外させ、
そうして禁欲的なシャツのボタンを首元からひとつひとつ外していく。
露わになる白い肌に、賀来ははっとした。
にやりと、結城の口許が歪む。他人の手に穢された己の身体を見せつけるのは、
至上の悦びだ。

「・・・どうした?神父さん」
「・・・・・・結城・・・、お前、また・・・!」

衣服の脱がしかけの掌が、震えている。
賀来は俯き、湧き上がる怒りを必死に抑えているようだった。
楽しくてたまらない。結城は自ら、己の肌を晒していく。
思わず賀来は、見たくない、といった風に顔を背けた。だが、その手を掴み、
半ば強引に己の衣服を脱がせる。
白い肌に、紫や青の痣。それは、首元にも胸にも、腕にも、手首にも付いていた。
一番大切な男の、無惨な姿は、
彼への怒りと共に、彼を止められない己の無力さを思い知らされる。
こうして1週間と空けずに身体を求めてくるくせに、
自分は、彼にとって、他の誰かと同じ、セックスの道具でしかないのだ。
自分の、彼への想いとはあまりに違う温度差。
嫉妬とも、怒りともつかない感情がこみ上げるのを、賀来自身止められなかった。

「・・・っお前は、・・・」
「なんだよ?」

ほっそりとしたしなやかな腕を賀来の首に回し、
強請るように唇を近づける。
だが、結城のあんな姿を見てしまった後で、まさか賀来がそんな気になれるはずもない。
首を振り、そうして結城を押し戻した。
顔を背け、唇を噛み締める。

「っお前は、一体何人の奴らに身体を触らせれば、気が済むんだ・・・っ」
「何人?おいおい、やめてくれよ。人を淫乱呼ばわりするのは」

肩を竦め、今度は強引に男の唇を求める。
賀来は抵抗しようとしたが、思いのほか強い結城の腕が、それを許さなかった。
噛み付くように唇を重ね、舌を絡め取られる。賀来は顔を顰めたが、
絡みつく腕がそれを遮る。体液が口の端から零れるほどにキスを続けて、
結城は艶やかな視線で賀来を見つめた。
ごくりと息を呑む。

「・・・お前だけだ」
「っ」
「俺が身体を開いた相手で、生きているのは賀来、お前だけだ。喜べよ、賀来。」
「っな、何を・・・」

賀来は、必死に首を振った。
何を。何を喜べというのか、結城は。
今だけではない、結城は、幾度となく己の身体を道具のように利用し、売り渡しては、
穢れた身体を自分に見せつけていた。
もし、その相手全てが、今生きていないとすれば、
彼が手にかけたということは明らかだ。
それだけ、結城が殺人に手を染めていることを思い知らされ、
今度は、罪を重ね続ける彼に胸を痛める。
ああ、神様。
どうすれば、壊れていく彼を止められる?!
これほど愛しているのに、賀来はいつも、彼への愛情と、彼を断罪せねばならない葛藤に揺れる。

「俺のカラダはあんただけのものだ。・・・それで、いいだろ?」
「っく・・・」
「抱いてくれよ、相棒。あいつの穢れたニオイが、どれだけ洗っても離れないんだ。神父さまなら、こんな俺を清めてくれるだろう?」

ぐっ、と下肢を掴まれて、賀来は唇を噛み締めた。
どれほど理性で拒否していても、結城を求めている身体は変わらず、
少し誘惑されただけで簡単に堕ちてしまう愚かな自分。
だがもう、今更だ。
彼の身体に初めて欲望を感じた、あれから10年。
何度、こんな関係を止めたいと思い、彼から離れたいと思ってきたことか。
切れるものなら、とっくに切っている。彼を見捨てられるのならば。
結城は、自分の言葉など一切聞かず、好き勝手に生きていたが、
それでも時折、聖職を預かる自分の元に来ては、
からかうように自分を誘惑し、淫らな欲望の世界へと突き落し、そうして妖艶に笑ってみせた。
その度に、賀来は、自分がどれほど彼に心を奪われているかを自覚する。
汚らわしい、と一言で突き返せない程には、
既に彼を愛してしまっていた。
愛。
神の愛を説く立場のくせに、こんな、どろりとした執着心を愛と呼ぶ方が
おかしいのかもしれないけれど。

「・・・っ結城・・・!」
「ハハッ・・・あんただって、もう勃ってるじゃないか。溜め込むのは身体に毒だぜ、神父さん」

賀来の下肢を掌で撫ぜながら、結城はにやりと笑みを浮かべる。
身を起こし、躊躇らいなくそれに唇を近づけた。賀来は結城を押し留めようとしたが、
遅かった。興奮したように荒い息を吐きながら、掌の中のそれに愛しげに口づける。
他人の、穢らわしいそれに奉仕する時とはまったく違った結城の表情に、
賀来はいつだって惑わされる。
紅い舌が、ねっとりと己自身に絡められ、溢れだす先走りを愉しげに舐め取られる。
上目遣いに視線を絡め取られてびくりと身体が震えた。
それを感じて、ますます結城の動きはボルテージを増していく。
根本に両手を絡ませ、強弱を付けて締めたり緩めたりを繰り返しながら、
ザラついた舌で裏筋や亀頭を何度も舐めては、普段の2倍にも3倍にも見えるそれを
口内に受け入れる。
さすがに、喉の奥まで呑み込むのはキツい。
それでも、嫌がっているくせに、感じまくっている賀来の表情を見やり、
結城は心の中でそんな男を嗤う。
欲しいくせに。
そう、彼を含んだまま口にして、結城は彼を絶頂に導くべく、
ラストスパートをかけてやった。
自分の髪を握りしめる指先に力が入り、賀来の内股が緊張したのがわかった。
次の瞬間、目の前で弾ける精に、結城は悦に入ったような顔で飲み干していった。
ああ、賀来の味だ。吐き気を催すどころか、もっとと結城は求め、
最後の一滴まで絞り取ろうと強く吸い上げる。
賀来の全てを奪い取ったかのような支配感が胸の内に込み上げる。
もっと、もっとだ。
欲望など知らなそうな澄ました顔を快楽に歪ませ、
自ら堕ちていく姿が見たくてたまらない。
己の身体に溺れ、最後にはこの穢れた身体に更なる痕を刻み付ける賀来は、
結城の心を確かに満たした。
わけもなく苛立ちそうになるこの心が、
唯一満たされる瞬間。
力を失った賀来の雄に、二度目の興奮を与えようと再び口づけようとして、
「結城」と名を呼ばれ、顔を上げた。
賀来は、ひどく痛ましい顔で、結城の身を起こさせ、そうして自らの精に汚れたままの結城の唇に口づけた。
今度こそ、激しい口づけが結城を恍惚とさせていく。
絡む舌が、空回りをする程に互いに意志をもち、相手を求めていた。
触れ合った瞬間、更に深く角度を付け、ねっとりと絡む。互いの体液を溢れる程に共有して、
視界が、脳が、思考が煙る。

「ゆう、きっ・・・」
「そうだ・・・もっと溺れろよ。もっと溺れて、俺を満足させてくれよ」

あんたじゃなきゃ、感じないんだ。そう囁かれて、
賀来の最後の理性が音を立てて崩れ始める。
結城は、男の手を取ると、自ら興奮した己を掌に収めさせた。ああ、と無意識に吐息が漏れる。まるで自慰でもするかのように、
他人の手を使い強く刺激していく。
熱い。
結城のそれは、すぐに、腹につくほどまで勃ちあがり、
男を誘惑した。キスを続けた唇は紅を塗ったように朱く、肌は薄桃。
更に、誘うようにしなやかな脚を躊躇いなく開かせる。
だが、賀来は、
露わになった結城の足にも、暴力的な行為の痕を見つけ、痛ましそうに顔を顰めた。
きつく口づけられた痕が残っているだとか、そんなレベルではない。
殴られたような青い痣や、きつく縛られたかのような痕、
果ては無数の擦り傷や切り傷まで。
プライドの高い結城が、目的のためとはいえそんな男にまで身体を開くなんて、
結城を傷つけた男に怒りすら覚える。

「・・・どんな、ひどい事をされたんだ・・・」
「別に・・・大したことじゃない。いつもの、アイツのスキだったプレイの一貫だよ。
 ・・・俺があまり嫌がらなかったから、どんどんエスカレートしてこの様さ。ったく、中年のくせに、絶倫だったな、あいつ」
「・・・・・・とにかく、まずは薬を・・・」
「いらない」
「結城!」

賀来は思わず悲鳴のように叫んでいた。
これほど、ひどい状態だなんて。昨晩までの暴力的な行為に憔悴しきっていたのも当然だ。
満足に手当てもしていない傷口は、少し無理をすればすぐにでも開いてしまうだろう。
こんな状態で、まさか自分が彼をまた抱けるはずもない。
薬を取りにベッドを降りようとして、
だが、結城は乱暴に賀来の手首を掴むと、強引に力を込めて賀来をベッドに沈めてしまった。
慌てて身を起こそうとする男の上に乗り上げ、彼の腹を跨ぐ。
衝撃で、昨晩の傷口が開いたのか、腕に血が滲んでいた。
それを舌で舐め取り、男の顔を覗き込む。

「いらない、って言ってんだ・・・。早く、しろよ」
「出来るわけがないだろう!?そんな身体で・・・結城、お願いだから、もう少し自分を大事にしてくれ」
「大事?今更?元々あのガスに蝕まれてボロボロの俺の身体を?なんの意味がある」
「ゆうき・・・っ!」

結城の薄い唇が、妖艶な弧を描いた。
男を誘惑するように、赤い舌がちろりと唇を舐める。
賀来の腕をシーツにきつく押しつけたまま、結城は手も添えずに、己の秘部に賀来の雄の先端を宛がった。
ぐっと腰を下ろせば、柔軟なそこはすぐに男を呑み込み始めた。
だが、昨晩の行為で、既に中の粘膜は悲鳴を上げ、真っ赤に充血している。
そんな傷を負った部分に、まさか己の雄を押し込むなど考えられなかった賀来は、
彼の内部で感じる快楽より先に、結城の身体を案じた。
無理などさせたくない。だが、腰を引こうとしても、がっちりと結城の両足は己の腰を挟み込んでいて、
更には、両手両足も自由になどならない。
ほとんど動けない状態で、賀来は、ただただ結城が己の雄を呑み込むのを、
見つめているしかなかった。
恍惚の表情を浮かべた結城が時折、快楽とは違う、苦痛に耐えるような姿を見せ、
賀来はひどく心を揺らした。

「結城・・・っ、やめろ・・・!」
「はぁ、はぁ・・・清めて、くれるんだろ、神父さん・・・。あいつの精が、身体の奥の奥までこびりついて離れないんだ。もっと、奥まで・・・っ、あ、ああっ・・・!」

ぐちゅり、とイヤらしい水音がして、
先ほどまで中途半端に収めていた賀来自身が、深々と結城の内部に収まる。
苦痛に耐える表情が、不意にこれ以上ないほど甘い快楽に歪む。
自ら腰を揺らして、ぐちゅぐちゅと体液が弾ける。普段よりぬめる感触がリアルで、
賀来は結城に己のすべてを持って行かれそうな感覚に唇を噛み締める。
だが、ふと目にした互いの結合部が赤く濡れている事に、
賀来ははっとした。
血だ。
連日の乱暴で激しい行為に、彼の内部が限界を迎えたのだ。
結城が腰を揺らすたびに、溢れ出てくるそれは、とどまることを知らず、
賀来は必死で結城を押し留めようと身を捩った。

「痛っ―――・・・」
「結城・・・結城っ!お願いだ、もう、やめてくれ・・・っ」
「っう、るさい・・・もっと、あんたも動けよ・・・マグロでも演じてるつもりか?」
「結城!!」

繋がる箇所の生温かなぬめりが、動くたびに顔を顰める結城の苦悶の表情が、
賀来の心に突き刺さる。
どうして、彼はそこまでして苦しまねばならないのかと、
あまりの悲痛な姿があまりに辛くて。
知らないうちに、涙が零れた。結城が、好きでたまらないのに。
例え彼が嫌がっても、この腕に抱いて、自分が出来る精一杯の想いを込めて、
優しくしてやりたいのに。
彼が自分の元に戻ってきた時ぐらいは、
甘やかしてやりたいのに。
とめどなく涙を零す賀来に、結城は少しだけ表情を緩め、そうして口づけた。
頬を伝う涙の跡を舐め取り、瞳に口づけ、そうして、唇を重ねる。
結合部が、ぐっと熱をもつ瞬間。
引き裂かれる激痛は相変わらず引くことはなかったが、
それでも、賀来とつながっていることを意識するだけで、無意識に口元が緩む。
溜まらなく悦んでいる身体を自覚して、
結城は更なる苦痛と快楽を欲した。
唯一、たった一人の男から与えられる感覚は、
痛みだろうと快楽だろうと、結城にこの上ない愉悦をもたらす。

「結城・・・」
「賀来・・・あんた、サイコーだぜ・・・絶対、離さない。お前は、俺だけのものだ」
「っく・・・・・・結城、もう・・・っ」

結城が跨るその下で、こちらも結合部のあまりの熱さに感じることしかできない雄が、
限界を迎えていた。
それを感じて、結城の唇が持ち上がる。
痛みに構わず、腰の動きでラストスパートをかければ、
あっけなく結城の内部に男の精が溢れ、血液と混じり新たなぬめりを溢れさせた。
ああ、気持ちイイ。
どくどくと体内に穿たれる男の精液に、満たされる。
あ、ああっと押さえることなく声を上げながら、
結城は体力を失い、ふらりと男の胸に倒れ込んだ。
それを受け止めて、賀来は再び胸の痛みに唇を噛み締める。

ただ、愛してやりたい。それだけだというのに、
心と裏腹な身体は、結局彼を傷つけるだけで、一度たりとも満足のいく逢瀬を重ねたことはなかった。
けれど、それでも結城は、

「・・・がらい、」

朦朧とした表情で、己の名を呼ぶものだから、
賀来は、どうしようもなく彼に惹かれていることを自覚する。
どうしていいか分からず、途方にくれたようにただただ自分を抱き締める賀来に、
結城は愉しげに彼の濡れた瞳に口づけた。





end.











結城は、多分賀来にしか身体を許してないんじゃなかろうか。
ていうか、賀来以外に、彼が身体を売るのは、その相手の死亡フラグじゃなかろうかと、
ふと思って書いてみた。
ただ「お前だけだ」というセリフを入れたいがためにこんなんなった・・・orz
ついでに、
結城って、よく電話掛けて寄越すのは、
実は賀来の声を聞きたくてかけてるんじゃないかなぁとか思ったので。
なんか、しゃべれなくとも、賀来の声を聞いているだけで、
発作が少しだけラクになりそう・・・
そんなネタでした。
後半行き詰って若干グロ入ってきましたが許してくださいorz








[top]