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機械人形に口づけを





グレンと深夜が、同性にも関わらず付き合っている、ということは知っていた。
もう何年も前になるか。
知ったのはほんの偶然で、けれどその時は、あの2人がどういった関係を紡ごうと、
どちらも自分の優秀な手駒として動いてくれているならそれでいい、と思ったものだ。
そして、今。
俺は最悪な状況に陥っている。

「あっ…ぁんっ、駄目…誰か来ちゃうよ…」
「こんなとこ誰も来ねぇよ。第一、ここは柊だけしか使えないフロアだろ。こんな時間に誰が来るってんだ?」
「っ…でも、っ…」

確かに、ここは柊しか使えない、ついでに言えばたかだか中佐でしかないグレンが使えるような場所ではない。
だというのに、普段使うことのない小会議室で、不用心にも隙間の空いている扉から深夜の甘ったるい悲鳴が溢れているのだから、俺が通りかからなかったら一体どうなっていたことやら。
はぁ、とため息をついた。
跳ねっ返りの一瀬のグレンと、柊のくせに柊に立てつく弟。厄介な奴らだが、
他の誰よりも腕が立つのも事実だ。
上からの圧力から、俺が庇う価値は十分にあった。

「おい」

声と共に、部屋へ立ち入った。無論、消音と機密保持のための呪符は展開済みだ。
こんな場所を誰かに見られる訳にはいかない。それと、こいつらには一度ガツンと怒り、公共の場で下らぬ行為を
せぬよう言い聞かせねば。
そう、思っていたのだが。

「―――っ…!!」
「…なんだよ、暮人、勝手に入るんじゃねぇよ」

間髪入れず投げかけられる声音もそうだが、それよりも目の前で展開されている光景に、俺は絶句した。
いや、ここで驚く必要はないはずだった。
この馬鹿共がこんな場所で何をやっているか、当然想像してしかるべきで、
だのに、固まってしまった俺も全くの馬鹿だった。

「っあ…に、兄さ…?!」

上半身は真っ裸、下半身は膝までボトムを下ろした状態で、テーブルに押し付けられた深夜は俺のほうを苦し気に見やる。
その表情はひどく上気していて、女のように頬を染めている。
男のくせに雌扱いされて悦んでいるなど、堕落しているとしか思えない所業だが、
それよりも、俺は不覚にも、違う場所に釘づけになってしまった。
下半身を露出したグレンの男のそれが、深夜の尻を貫いている。グレンが両手で尻たぶを拡げ、
結合部を晒しているのが最悪だった。
慌てて目を逸らしたが、あの光景が視界から離れない。
知識としては知っていたものの、あまりに信じられない光景だった。
ただの排泄器官でしかない、狭いそこを、あの男の―――あの、恐ろしい程のサイズの一物で貫かれていて、
思わずごくりと唾を呑んでしまった。
おかしい。
嫌悪感しか湧かないはずの行為、今まで一切興味もなかった。
他人との性交渉など記憶にすらない。
だが、こうして目の前で行為を見せつけられて…自分は何を考えているのか。

「っは、暮人…ガン見してんじゃねぇよ。それとも、お前も混ざりたいのか?」
「っ…ば、馬鹿な、くだらん」

吐き捨てて、努めて平静な顔でグレンの襟首を持ち上げた。
さっさと止めて部屋に戻れ、そう告げたが、目の前のグレンはニヤニヤと笑うばかりだ。
やはり、先ほどの一瞬の動揺がまずかったのか。睨みつけ、生意気な男を黙らせようと腰に手を伸ばす。
だが、次の瞬間、ぱしり、と乾いた音がした。

「…っ!」
「素直じゃねぇな。じゃあなんだ、これは?」

腕を捕まれ、そうして引き寄せられた。抵抗もむなしく、衣服の上からグレンの掌が容赦なく下半身を掴んでくる。
一気に頭に血が上った。
他人に、そんな場所を触れられたことも、許したこともなかった。
だというのに、呆気なくグレンの掌に囚われ、しかもゆるゆると刺激すら受けている。
頭に血が上ると同時に、熱が下肢に集まる。
やめろ、そう喉の奥で呟いたが、グレンの腕の力はかなり強く、振りほどくのも容易ではない。
それどころか、更に間近で男の結合部が蠢いている姿を見せつけられ、ひどく動揺してしまった。
止まらない甘い嬌声。吐息と共に漏れ聞こえてくるそれは、
グレンの動きに従順だ。ぐちゅぐちゅと耳をふさぎたくなるほどの卑猥な水音、肌のぶつかり合う乾いた音。
セックスをしていた。
自分の目の前で、よりによって。
自分がまったく興味のないはずの性交渉を。
ましてや、己の下肢が、グレンにがっちりと捕らわれているという事実に
動揺してしまう。

「っひ、やぁ、あっ、やだ、兄さ、見ないでっ…!」
「はは、お前も興味あんだろ。深夜が犯されて、快楽に喘いでるトコ…見ちまったもんな?」
「っくそ、離せ…っ」
「っあ、あああ―――っ!!!」

ドンっ、と激しく奥を貫かれ、深夜が脱力し、下肢から白く濃厚な液体が周囲に飛び散った。
それは紛れもない精液で。男のにおいが周囲に立ち込める。ぐったりとテーブルに身体を預ける深夜をよそに、
グレンは満足げに腰を引いた。
彼もまた、中でイったらしかった。グレンのモノが引き抜かれ、白い粘液が糸を引いている。
ぱっくりと開かされた尻は、既にまともな形をしていなかった。
紅くぷっくりと膨れような肉襞が、ゆっくりと閉じていく、そのあまりに信じられない光景を、俺はただ見つめていた。

「どうだ深夜…気持ちよかったか?」
「ん…うんっ…すご…ヨかった」

あまりに色気のある声音だった。普段の彼は、とても飄々としていて、他人に心を読ませないポーカーフェイスを装っているのに、
これだけグレンには乱され、快楽に溺れ、喘がされていたのだと、
改めて認識する。
俺は唇を噛み締めた。
グレンが、俺の局部を意志を持って刺激を与えている。
最悪だった。突き飛ばそうとするのに、その前に今度はこいつは顔を寄せてくる。

「―――〜〜!?」
「まさか、キス、したことないとか言わないだろ?」
「ば、馬鹿者、そんなわけ…」
「っは、随分可愛らしい反応すんだな?お前」

更に角度をつけて近寄った顔が、押し付けられた。
柔らかな、熱の篭った感触。知らない、こんな熱は。すぐに生き物のように蠢く濡れた舌が入り込み、
俺はそれを拒めなかった。強引にこじ開けられる唇、身体が竦む。
抵抗しているはずなのに、囚われたままの下肢への刺激がたまらない。容赦なくグレンの掌は、内部へと入り込んでくる。

「っく、う、やめ、そこは…っ!」
「もうこんなにしてるくせに…男が途中下車はできないんだぜ、暮人様?」
「んんっ…ふ、うっ…は、ん…!!!」

唇は解放されるどころか、更なる熱を与えてくる。流し込まれる唾液に嫌悪を覚えたが、
それ以上に、尻に這わされる掌の感触に身体が震えてしまう。
ぞくり、と背筋を這う衝撃。感じたこともなかった。
なんだ、これは?己の身体が、まるで知らないモノのように感じてしまい、俺は普段の調子をまったく取り戻せなくなっていた。
感じる、深夜の視線。俺は首を振った。違う、こんなのは俺じゃない。
汚らわしい、己の欲望などないはずだった。
俺の望みは、こんなことではないはずで。
尻のふくらみから、男の指先が俺の尻の奥、排泄器官であるはずのソコに触れてきた。
一気に羞恥が膨れ上がった。
あ、りえない。どうあがいても、深夜のように啼けるはずもないだろうに。
羞恥と、恐怖が入り混じったような困惑。グレンは目ざとくそれに気付き、目を細めた。
見透かされている―――その、グレンの宝石のような紫に。
光の届かない海の底のような、濃い色合いのそれに、俺は既に何も隠せない。

「や、やめろ、こんな…」
「っは、これは傑作だぜ…お前の尻、すげぇヒクヒクしてんぞ」
「ば、ばかも…っ」
「なんだよ…最初は、深夜に欲情して突っ込みたいのかと思ったら…おい、深夜」

ぐったりと身体を預けていた深夜が、こちらを向いた。
目元を赤く染めて、澄んだ空色の瞳を、快楽に煙らせて。とろりとした表情は、明らかに快楽の余韻に浸っていて、
俺はますます、身体を熱くしてしまう。
再び、脳裏に先ほどの光景が浮かんでしまった。
グレンの雄に、貫かれて。ああして快楽に喘いでいた深夜。
グレンが、剥き出しにされられた俺の性器を、己のそれと触れ合わせ、強く扱いた。
他人に擦られるのは、正直な話、慣れてはいなかった。
だから、今までの人生で、知らなかった新たな刺激に、己の身体が興奮していることを、実感した。
離された唇からも、体液が溢れている。
けれど、熱い吐息を吐き出すほうに必死だった。くちゅくちゅと、先端から溢れだす先走りを、
砲身に塗り拡げるような動きをする。かと思うと、先端の口を開いた部分を、彼の親指で執拗に擦りあげられる。
たちまち、俺の性器もまた、はち切れんばかりにはれ上がり、天を向いてしまっていた。
情けない。
他人の掌に浮かされ、性欲を露わにしてしまうなど、今までなかった。
俺を貶める男の顔を睨みつけた。
だがグレンは、揶揄う様な視線を向けてくるばかり。

「お前のお兄様は、お前を犯したいんじゃなく、抱かれてみたいそうだ」
「っな…!」
「っ…兄さん…」

グレンの恐ろしい発言に、今度こそ息が詰まる。
言葉が出なかった。深夜はというと、潤んだ瞳に、憐れみの色合い。
知ってるよ、兄さん、そう告げられて、心臓が止まるほどの恐怖を俺は感じた。
俺の、不可解な感情。
グレンと深夜、こいつらの関係を思い返すたびに、
胸の内にもやもやと広がる感情。
忘れたいと思うのに、なかなか頭から出て行ってはくれない光景。
今までだって、ずっと、そうだった。だがそれを、誰にも見抜かれたことはなかったはずだ。
自分の、グレンに対する感情。
それは、あまりにくだらない、役にも立たない感情で、俺は意図的に無視していたのに。

「っグレン、やめろ…っ」
「いいよ、兄さん…ずっと、グレンが好きだったもんね」
「っ―――!!」

引きずり出されていく。喉に詰まった重たい塊を、引き出されるかのように苦しい。
だが、グレンはそんな俺の戸惑いを知ってか知らずか、嬉々として下肢を暴いてきた。
ずり下ろされるボトムス、強く腰を抱かれ、そうしてテーブルに背を押し付けられる。
慌てて俺は身体を起こそうとしたが、既にグレンは俺の脚の間に身体をいれていて、のしかかる力に抵抗できない。
顔を歪めると、深夜が覗き込んできた。
抵抗できない俺に、軽いキスが降ってくる。大丈夫だよ、兄さん。グレンは優しいから。
そんなことを言われて、しかし黙って大人しく彼の行為を受け入れるわけにはいかない。
今でもまだ、俺の、中将としてのプライドが邪魔をしていた。
ましてや、俺はこいつらより年上なのだ。
流されるわけには、断じていかないはずだった。だというのに、深夜は宥めるように俺の手を握ってくる。
グレンはというと、俺の下肢の下着とボトムを、つま先からすべて外してしまっていて。

「っや、やめろ…っ!馬鹿な、殺すぞ…っ!!」

一気に羞恥心が膨れ上がった。
足を閉じようとする矢先、グレンの腕が片足の膝裏を掴み、推し拡げてくる。
体勢のきつさと、己の中心部を晒す羞恥。
グレンの瞳に見つめられている。己の一番恥ずかしい、誰にも見せない部分を。
悔しくて仕方がないのに、なぜか俺の身体は興奮を隠せない。
性欲の権化のようなそれは、固く芯を持ち天を向いて涙を零していて、それを深夜のほっそりとした指が絡められる。
ゆるゆると扱かれて、不覚にも涙が零れそうになった。
気付かなかった。今の今まで、己が溢れんばかりの涙を目尻に溜めていたことに。

「ひっ、い、ぁ、くぅっ…」
「力抜けよ…初めてなんだろ?優しくしてやるから」

偽りの、甘い声音、さも優し気な顔つき。俺はその偽善者の顔を睨みつけたが、
もちろん抵抗は既に遅い。
宛がわれる、濡れた指先。先ほどまで砲身の蜜でべたべたなそれを、グレンはつぷりと押し込んでくる。
ああ、と声が漏れてしまった。
異物感。それしか、浮かばなかった。決して、外から何かを入れる場所なんかじゃない。
こんなのは間違ってる。ましてや、俺はこんな関係、望んでいなかったはずだ。
嫌だ、抵抗の意志しか心にはないのに、身体がいう事を聞かない。
ぐちゅぐちゅと雄棒を擦られて、やめろ、と声にならない声音をあげると、
深夜の掌の力が強くなる。頬にキス。大丈夫、と意味の分からない言葉を吹き込まれ、
そうして、グレンの指の感触に身体を震わせる。
ぞくぞくと駆け抜ける電流のような痺れ。1本だけだが、グレンの指は既に根元まで入り込んでいた。
掻き回される感触は最悪で、自分だとて触ったことのない己の中の感触に息を荒げてしまう。

「っや、いやだ、やめろ、馬鹿者…!グレン、ふざけっ…」
「ふざけてなんていないぜ?ただ、お前が痛い思いしないように慣らしてやってるだけだ。…このまま強引に犯して、1人じゃ帰れない程身体軋ませてやってもいいんだぜ?」
「―――っぐ…」
「大丈夫だって。大人しくしてろよ。…誰だって初めてはあるもんだぜ?暮人様」

嘯く様に言葉を紡いで、グレンは嗤う。
身体を重ねられ、そのまま唇をふさがれた。ねっとりと舌を絡めるキス、抵抗する前に、グレンの指が増やされる。
2本。狭い入口の肉を押し開くようにして、指は侵入してきた。
ひどい痛み…というよりは、ひどい異物感と違和感、そして麻痺したように蟠る感覚だった。
中まで押し込まれてしまうと、今度は、指を動かされる。肉壁をなぞるように刺激し、そうして前側壁を何度も何度も探っている。
まずい、と感じた。
身体が、震えた。しかも無意識に。びくびくと、痙攣するように足が揺れる。
しかも、それを抑えられなかった。深夜が、きらきらと顔を輝かせ、感じる?と馬鹿な事を聞いてくる。
グレンの指遣いに、惑乱されていた。
見つけたぜ、そうグレンは言い、内部の一か所を執拗に擦りあげている。
砲身から、先走りが更に溢れた。
深夜がそれにキスをする。ぢゅう、と音がして、頭が真っ白になった。グレンの指は、尚も奥を擦り続けていて。

「っや、めろ、グレン・・・っ、出、」
「っは、イけよ?暮人」
「っく、そ…!!」

唇を噛み締めたが、既に後の祭り。
性衝動は、もはや抑えきれないところまで高められてしまっていて、
俺は身体を戦慄かせた。促されるように、激しい呼吸を繰り返して、深夜の顔面に白い精をぶちまけてしまう。
く、そ。俺は、己の穢れた欲望に舌打った。
うっとりと、顔に浴びた白濁を、深夜は拭っては舐め取っていた。
卑猥な光景。だが、それに浸っている余裕はない。
引き抜かれる指先、イったせいで、激しく収縮を繰り返すそこに、
今度こそ男の熱塊が宛がわれる。

「っぐ…グレン、やめ…!」
「今更何言ってんだよ…力抜けよ、気持ちよくしてやるよ」
「っき、気持ちよくなるわけが…っぐぅ―――っ!!」

グレンの雄が、ねじ込む様にして奥へと入り込んできた。
先ほど少し解したとはいえ、そこは性器ではない。男の、ただの排泄器官にすぎない。
だから、俺は恐怖した。
グレンの、その、凶器ともいえる彼自身に。
強引に拡げられた下肢は、既に真っ赤に充血し、腫れ上がっていた。
もう少し乱暴に擦られたら、きっと切れてしまう寸前で。
けれど、グレンは絶妙な力加減で、暮人の内部を犯していった。
途中で、両足を抱え上げ、更に貫かれたままの後孔を晒されて。羞恥しかないのに、
それが何故かぞくぞくとした甘い痺れをもたらす。
これが…これが、快感ということなのだろうか?
聞きたくないと唇を噛み締めていたのに、既に閉じられない唇の端からは涎が溢れていた。
視線が泳ぐ。見下ろしてくるのは、深夜と、そしてグレン。
彼もまた、少し余裕のない表情。
額からは汗、眉間に皺を刻み、彼の男らしい眉が顰められる。

「っく…ぅ、あ、…ぅ…」
「どうだ、暮人」
「…どうだ、って、言われてもっ…くそっ…!」

まともに言葉が紡げないまま、俺はグレンを睨みつけた。だが、涙を溢れさせた目元は、
きっと既に赤く染まっているだろう。顔を逸らしたが、グレンは身体を傾け、頬にキスを落としてきた。
深夜もまた、片方にキスをしてきた。結合部が戦慄く。グレンをすべて、
受け入れてしまうと、次に襲い来るのは、達成感や充足感といった、今の状況に対する悦びだ。

「っ…グレ、あああ、なん…待て、動くな…っ!」
「っは、何気持ちよさそうに啼いてんだよ…もっと啼かせてやるぜ、覚悟しろよ?」
「っは、や…やめ…っ、あ、く、ううっ…!」

ずるり、と腰が引かれた。きっとおそらくは、俺の身体でも、先ほど見た光景が、グレンの目の前には広がっているのだろう。
そう思うと、ぞくぞくと腰の奥に痺れが走った。グレンを受け入れて、
身体が軋む。深夜と同じだ。男に、グレンに抱かれていた。たとえそこに愛がなくとも、
一度限りの関係だろうと。
グレンに、抱かれているのだと、そう思うだけで、
なぜ胸がはち切れんばかりに苦しくなるのだろう。
結合部は、既にぐちゅぐちゅと水音を立て、来る絶頂を待ち望んでいた。
兄さん、そう呼ばれて顔を向けると、甘く舌を絡め取られる。深夜も興奮していて、
自ら己の雄を擦っていた。
そんな淫らな光景に、更に自分まで、欲望を露わにしてしまう。

「あ、ぐぅっ…グレ、も、やめろっ…だめだ、イく…っ!」
「イっちまえよ?俺に犯されて、尻の奥を貫かれて、快楽に悶えろよ。素直なお前は、嫌いじゃない…」
「く―――っは、や…あああっ!!!!」

グレンが頬を撫ぜ、そうして最奥を抉るように腰を揺らせば、
再び俺の欲望が二度目の精を吐き出した。
浅ましい身体だ、だがそれも今はグレンに囚われている。
彼の望むままに、甘い声音を喉から溢れさせられ、快楽を紡がれ、翻弄されるだけの自分。
どうしようもないほど屈辱的なのに、
なぜ、俺はまだ興奮しているのだろう、と意識の片隅で思った。
下肢の奥に、じわりと広がる熱。
きっと、グレンの精だろうと納得した。中に出されると、身体を壊すことはわかっていたのに、
今更止めることができない。はぁはぁと苦し気に息をついたまま、
指1本動かすことができなかった。
視界が歪む。もう、どうにでもなれ、だ。
俺は疲れ切った身体を机に預けたまま、瞳を閉じた。

「…結構よかったぜ、暮人」
「……っ…」
「すっごい、可愛かった、兄さん…また、たまにエッチしようね?」
「嫌だ」
「あはは。ったく兄さんは真面目なんだから」

深夜の軽口も、もう既に聞こえない。
柊の人間だけが扱われるフロア、比較的狭めの会議室。
入口は塞いでいたが、まさかこんなことになるとは。
俺は、つくづく、彼らに甘い自分を呪うしかなかった。
今だ、蟠る下肢の熱を感じながら、
俺は意識を手放してしまったのだった。









「…う…」

目を覚ますと、そこは日差しの入る明るい部屋で、俺は眩し気に目を眇めつつも身を起こした。
ここは、どこだ。周囲を見渡すと、どこか見覚えのある部屋。
だが、俺の部屋ではなかった。俺の部屋は、やはり地位に応じて、もうすこし広い。
とはいえ、ここも十分、設備が整っている寝室ではあるのだが。
ベッドも広く、たかが一士官のレベルではない。
俺は、頭を振って、眠気を飛ばした。
思い返せば、先ほど見かけた、あの馬鹿共に文句を言うつもりで、
結局自分まで悪事の片棒を担がされたのだった。
神聖な会議室で、みだらな行為。
それも、男同士でだ。本当に醜悪で、穢れた行為だった。
だというのに、それを強要され、あまつさえ快楽を覚え、嬌声を上げてしまったのだから、
これほど情けないことはない。

「…くそが…」
「あ、兄さん、起きた?」

能天気な声音の先を、俺は睨みつけた。
ようやく合点がいく。ここは俺の義理の弟、柊深夜の部屋だった。
では結局、あそこで自分は意識を失ってしまい、
ここに運ばれたということなのだろう。
頭を抱えたくなったが、人前でそれをするほど、俺は軽々しい人間ではない。

「…大丈夫?腰」
「…うるさい」
「我慢しなくていいよ?結構最初は辛いもんだし。あ、紅茶入れる?僕お手製のミルクティ〜」
「いらん」
「あ、そう」

くそ。確かに、まだまだ尻の奥は蟠る様に痺れていたし、
身体を動かすたびに痛みを覚えた。
だが、断じて俺は、こんな情けない状況に陥ってしまっている事実を認めたくはなかった。
シャツ1枚しか羽織っていない身体。なんとかベッドから這い出して、
傍に置いてあった軍服を身に着けた。
すぐ傍に置いてあったのは、幸いというものだろう。
深夜は珈琲を呑みながら、そんな俺を眺めている。

「…なんだ」
「兄さんって、やっぱりグレンの事…」
「言うな」
「…」

そう、そんなこと、あるはずがなかった。
俺がグレンを好き?意味が分からなかった。愛情も知らず、柊の歯車の一端としてのみの価値を与えられ、
それに従順に生きてきた俺には。好きか嫌いかと問われれば、もちろん嫌いではなかった。
だが、ただ気に入っている、という感情とは違う、恋や愛といった、そういう形の『好き』は、
俺には理解できない感情だった。

「…もう少し、休んでいけばいいのに」
「うるさい」
「連れないなぁ」
「…お前も、覚悟しておけ。この代償は必ず支払わせてやる」

肩を竦める深夜を後目に、俺は重い身体を引きずってドアノブに手を掛けた。
深夜は何も言わない。
俺も何も言わなかった。
グレンがいない、それだけが唯一、救いだった。
身体の中に残る、男の残滓。
それだけが、あの食えない男と交わった、唯一の証だった。





end.








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