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星蒼圏 - 保管庫モバイル


すべては君の所為





今日も、隣の席はがらんとしていて、
グレンは気にしないふりをしながらも半眼でそこを見つめた。
彼がこうして授業をサボっているとき、どこで何をしているのか、
今のグレンには大体想像がつく。

「・・・ち、」

隣の席を眺め、不意に浮かんだ少年のあのムカつく顔を思い出す。その途端、
彼の今現在の状況が嫌でも浮かんでしまい、グレンは微かに首を振って、
相変わらずつまらない授業に意識を移した。
正直、グレンには彼がわからない。
本当に何がしたいのか。
入学式初日から自分に絡んできた彼は、実力を隠し、クズの演技を続ける自分には非常に面倒な相手で、
しかしそんなこちらの気も知らず、彼は無遠慮にこちらの内側に足を踏み入れようとしてくるものだから
正直困っていたのだ。
だが、しばらくそうして絡まれた後は、何故かそれはぱたりと鳴りを潜め、
そのかわり、どうでもいいメールが届くようになった。
まったく、女みたいな奴だと思う。
最初は、「今何してる?」「明日は暇?」などという他愛のない、
しかし自分の行動を逐一監視してくるかのような、ストーカーみたいな奴だと思っていたが、
そのうちに、話題は自分のことに変化していった。
「今、何していると思う?」「どこにいるかわかる?」などという、
本当に意味のわからないメール。
当然のように、グレンは無視していた。
だが。

「―――・・・」

ポケットに突っこんだままの携帯から感じる、振動。
短めのそれは、メールだ。
深夜が逐一メールを送るせいで、今や自分の携帯は、かれからのメールが圧迫している。
削除しないのは、いつか彼に反撃しなければならない時のための
証拠温存のためでもあった。
いつものように、うんざりとしながらも、グレンは新着メールを開く。
本文には、こうあった。

「体育館裏、備品倉庫。鍵は開いてる」

グレンは、ますます顔を歪めた。
ほとんど、場所だけしか記載がない。普通ならば、こんなメールには反応しない。
ただの悪戯みたいなものだ。それか、ただの嫌がらせか。
いや、実際、彼の嫌がらせみたいなものだろう。
グレンは溜息をつく。
鐘がなり、次は昼飯と、昼休みだ。その次は、体術実技。

「・・・来いってのか?」

グレンは、はっ、と自嘲するように笑う。
こんなどうでもいい彼のおあそびに、自分が付き合ってやる必要など何もないというのに。





それでも、グレンは気付けば足を運んでいた。
体育館裏にある備品倉庫は、日差しは入ってきているものの、かなり暗い。
呪術訓練のための道具はほとんど体育館に備え付けの倉庫に準備されているし、離れにあるここは
この学校にスポーツ授業があった名残のようなものだ。
今はあまり、足を運ぶ場所ではない。
だからこそ、埃や蜘蛛の巣が張っていたりするのだが―――そんな穢れた雰囲気の中、
目的の人物は、中央のコンクリート床の上に蹲っていた。
他には、誰もいない。
もう、すべて終わった後だった。
砂埃に痕になっている足跡は、3組。つまりは3人の男が相手で。
グレンはそんな馬鹿げた遊びを続けている深夜を、嫌悪感を込めて見下ろした。
彼は靴や、靴下以外は、ほとんど全裸で。
周囲には、精液が飛び散った後で濡れている。鼻につく、オトコの匂い。
深夜は力を失ったように蹲っていて、傍から見れば、
無理矢理犯されてヤり捨てられた印象すら受ける。だが、それは完全な間違いだ。
彼ほどの実力があれば、同級生はおろか、大人たちが数人相手であれ、
自分がよしとしない強要を受け入れることはしないだろう。
そもそも、彼は柊だったし、
この学校のほとんど誰もが、柊家を主体とする『帝ノ鬼』所属だ。
自分がターゲットならまだしも、彼が誰かに目を付けられ、襲われるはずもなかった。
だからこれは、彼の茶番。
それとも、これが彼の趣味だとでもいうのだろうか。

「・・・遅かったね」

掠れた声が、床のほうから響いてきた。
深夜だ。
顔と視線だけをこちらに向けて、うっすらと笑みを浮かべる。
予想通り、彼はダメージを受けているわけではなかった。
むしろこの状況を楽しんでいて―――、そんな、乱れた姿に吐き気がする。
結局、どんなに修練に励んでいても、深夜が誘えば簡単に堕ちる、欲深で心の弱い男共の、
その穢れた情欲に塗れている姿は、嫌悪感しか感じない。
彼は、本当に何のためにこんな馬鹿なことをしているのだろう?
養子とはいえ、柊家という冠を抱かれて、こんなくだらない事に身を落とすより、
有意義な生き方があったのではないか?
だが彼は笑っていた。
これが自分の本当の姿だ、とでも言うように。

「・・・・・・」
「・・・ぶっとい男根に貫かれて、息も絶え絶えの僕の前に颯爽と現れて、『汚い手で触るな!!』とか言ってくれたらよかったのに」
「これ以上、お前のおあそびに付き合ってやるつもりはないんだよ」

吐き捨てる。
これ以上、見たくない、とばかりにグレンは散らばっている深夜の衣服を拾い、裸の彼に投げつけた。
深夜ははは、と笑う。
身体を起こして、床に座ったまま、衣服を身に着ける。
上半身だけ。シャツ一枚を羽織るだけで、再びグレンを見上げる。

「でも、来てくれた。そうでしょ?」

深夜の蒼色の瞳が、きらりと光る。
挑発的な態度。だがそれに乗せられるつもりなどない。グレンはただ、冷めたように見下ろす。
穢れた身体だと思う。
なぜ、彼はここまで堕ちたのだろう?
少なくとも、出会ったその日に受けたあの攻撃からは、それなりの実力を感じ取れたし、
別に鍛錬をサボり、欲に溺れて堕落して生きていたとはとても思えないのに。
それなのに彼は、自分を見上げて、ひどく妖艶な顔をするのだ。

「なんで、来てくれたの?」
「・・・・・・」

深夜は手を伸ばしてくる。
グレンの制服のズボンを両手で掴み、引き寄せるようにして身体を支える。
縋り付くようにして、深夜はグレンを見上げている。

「無視すればよかったのに」

本当に、そうだと思う。
何故、あのままケータイを折り畳み、すっかり頭から忘れることができなかったのか。
少なくとも、あの状況ではそれが正解だった。
第一、こんな男に付き合っていては、自分が穢れるだけだ。
己の巨大な野心のために、多くのものを犠牲にしてきた。それが、こんなところで足元を掬われるわけにはいかなかった。

「僕の、乱れた姿が頭に浮かんだ?」
「知るかよ」
「あは。汚らわしい男共の手が僕の身体に触れるところなんて、見たくなかったのにねぇ」
「うるさい」

はは、と深夜は笑う。
グレンは、己の足に絡み付く深夜の身体を振り払おうとするが、既に遅かった。
布越しから、深夜はグレンの下肢に顔を埋める。
情けない話だが、グレンはこうして、度々彼に唆され、彼を抱く羽目になっていた。
これほど、嫌悪感と、悍ましさしか感じられないというのに、いざ、これが自分のモノになると思うと、
何故か自分の身体は反応してしまうのだ。
こんな行為、ただの生理的な反応で、本当に意味のない事だというのに、
グレンはその度に、溺れていく自分を感じていた。
絶対に、顔に出すつもりはないが、今では、自分の意識には常に、彼が棲み付いていて。
今となっては、なかなかそれを消すことができないでいる。

「はは。グレンの身体って正直。・・・もう、ココ、こんなにしてる」

両腕で太腿をさわさわと撫でながら、歯でジッパーを下ろす。深夜はうっとりと目を細めて、
そうして、自分が引き出した、中途半端に熱を持つそれを長い舌でなぞり上げる。
グレンは顔を顰めた。
伏せがちな目で、深夜は自分の雄に舌を這わせている。
先端の括れの部分まで唇の中に含み、舌でころころと転がすように何度も舐める。
すると、一番敏感な部分の刺激に耐えきれなくなった雄が芯を持ち、本格的に天を向く。そんなグレンの雄が、深夜にはひどく愛おしい。
すっかり勃ち上がった雄の下に潜り込み、彼の雄の下に鎮座している玉袋の部分を呑み込むようにして口に含み、
コリコリとした感触を愉しむ。グレンの匂いは、あんなどうでもいい男の生臭い匂いとは違い、
深夜には媚薬めいた香水のように感じられる。
ひどく、興奮した。
この、澄ました男が、こんなに男らしい欲望に満ちた部分を持っているという事実は、
深夜にはひどく嬉しいものだった。
あれほど堅物で、取りつく島もない彼を、唯一、乱れさせる方法。
誰もがだまされる、完璧に近い演技を続ける彼の中から、こうして彼の本音を引き出せる行為は、
男どもの精液に塗れ、自分もまたあれほど精を吐き出した事後にも関わらず、
身体が疼いてしまうのだった。

結局のところ、欲しいのはこの男でしかなくて―――
けれど、今の彼ではもの足りない。もっと自分を激しく求めて欲しかった。
だから、1人などより、もっと乱れられる乱交を愉しむようになった。結局のところ、自分も壊れていて、
厳しい修練と戦いに明け暮れた結果、他人との触れあい方はこれくらいしか思いつかなかったから。
友達もいなくなって久しい。
グレンに「友達だね〜」などと迫ったのは、今更友達なんてマトモに作ることもできない自分への照れ隠しだ。
どうせ彼が否定することを確信していたからこその、冗談めいた発言。
本気で友達になれれば嬉しいのに、などという本音は一切籠めていなかった。
だって、怖いからだ。
どこかで逃げ場を残しておかねば、自分がどこで壊れるかわからないから。
まぁそれでも、グレンには、極力自分をさらけ出しているつもりではあるのだが。
でなければ、こんな姿、死んでも見せられない。
どうでもいい男に抱かれて乱れる自分と、今の自分は違う。
自分の快楽を求めるのではない、相手が反応を返してくれることこそが重要で、
深夜は時折、上目遣いにグレンの顔を見遣る。
グレンは、顔を歪めながらも、確実に頬を上気させ、熱い吐息を吐いていた。
それが、いっそう深夜を興奮させる。
不意に、グレンの指が己の髪を鷲掴みに掴んできて、なおさら興奮する。

「っあ、はっ・・・グレン、興奮してる?」
「黙れよ」
「ま、してないはずないよねぇ。こんなに大きくなって・・・すっごい、血管が脈打ってるもんね。
 グレンのちんぽ、僕好みの形してるよ?おっきくて、全部呑み込めないくらい・・・んむっ・・・」

再び先端の部分を口内に含んだかと思うと、今度は先程とは違い、喉の奥まで呑み込む。
彼が思わずえずきそうになるまで目一杯に含み、そうして舌を使う。
裏筋に沿って舌を這わせ、唇で全体を扱くように頭を揺らす。深く呑み込んだかと思うと、
先端まで擦り上げて、それから舌先で唇で亀頭を刺激し、鈴口に舌をねじ込むように刺激する。
深夜のテクニックは相当なもので、どこで覚えたのか問い詰めたくなる程。
躊躇いもなく己自身にしゃぶりついている男の顔が見てみたくて、
グレンは彼の前髪や頬にかかる髪を掻き上げてやった。
本当に、男のくせに女のような蠱惑的な表情。
既に一度犯されていたからか、目元にはクマが出来ていて、泣き濡れた表情がひどく下半身の熱を煽る。
彼の表情を見ただけで、ぞくり、と背筋が震え、下半身の血流を意識した。
何故。
何故、こんな男に、欲情してしまうのか。
単純に、身体の生理的な反応、と片づけるには、グレンは彼を意識しすぎていた。
頭から離れないのは、彼の乱れた姿ばかり。
他人の男に蹂躙されている所を見せつけられるたびに、己の中で得体の知れない感情が渦巻いた。
自分だけではない。
彼にこんな顔をさせられるのは、自分だけではないのだと思うと、
途端に彼のこの表情に嫌悪感が沸いた。
歪ませたいと、そう思う。快楽に溺れるだけのこの男の瞳に、自分だけを宿してみたいと思う。
グレンは、ぐい、と深夜の砂埃に汚れた美しかったはずの銀糸を掴み、顔をあげさせた。
苦しげな光を宿す瞳の蒼には、自分だけが映っていて、
それが少し、心地いいと思う。
真っ赤な舌の上に、自分の完全に欲望を露わにしたそれを乗せ、
その淫らな様子を愉しむ。喉の奥に叩きつけるように、何度も口内で滑らせると、
深夜は少し、笑った。しがみ付く腕に力が篭り、
こちらもそろそろ限界を感じる。
このまま、喉の奥に叩きつけるほうが楽しいのか、それとも外に出すのが楽しいか?
どちらにしようと考えていると、一気に射精感が込み上げた。
耐えきれず、そのままぐい、と肩を押して深夜の顔を離させる。途端、彼の鼻先に白濁液が飛び散る。
前髪にべっとりとついたそれや、開け放しの口からのぞく舌にたっぷりと精をはき出し、
グレンは思わずその卑猥な光景に顔を歪めた。

「っ・・・グレン・・・」
「はは。いい眺めだ」
「興奮する?」
「ああ」

深夜の乱れた姿に精を吐き出しておきながら、さすがに興奮していないとはいえないだろう。
だが、彼に対する感情は、決して好きだとか、恋とか、愛の類ではない。
変態じみた性行為を求めるこの男に対して感じる、嗜虐心。そして支配欲。独占欲。
どうでもいいクラスメイトどもに蹂躙されて悦ぶこの変態を、どう屈服させてやろうか、などと考える自分も
かなり歪んでいるとは思うが。
そこまで考えて、グレンは頭の片隅で、まんまと深夜の術中にハマっていることに気付き、
呆れたように声をあげて笑ってしまった。

「深夜・・・本当にお前は、変態なんだな。クソビッチが」
「そのクソビッチに、ココをこんなにさせてんの、グレンだよ?」

深夜はグレンの手を引いて、立ち尽くしていた彼を床へと誘った。
いそいそと乗り上げて、そうしてキス。
舌を絡ませ、口の端から体液が溢れるほどに唾液を共有する。キスを絡めたまま、深夜は
グレンの雄を掴み、先ほど放った精液の残滓を掌で掬う。そのまま、己の下肢へと指を這わせていく。
先程も散々犯された後だから、その部分はすぐに柔軟に指を最奥まで呑み込んでいく。
グレンが両側の尻を揉みしだくようにして中心部を拡げると、深夜は更に奥を誘うように指を食い込ませる。

「・・・グレンのちんぽ、美味しそ・・・食べていい?」
「っは、勝手にしろ」

心の底から、明らかな侮蔑の視線を向けてやると、深夜はそれすら興奮したのか、
更に頬を上気させ、グレンの雄を内部に受け止めるべく、腰を落とし始めた。
熱いナカの襞が絡み付く感触は、口の中とはまた違って、ひどくきつく、そして同化したように離そうとはしない。
腰を動かすにも一苦労。

それでも、深夜は嬉しそうにグレンの雄を呑み込んでしまって、
そうして、再びグレンに笑みを傾けた。

「どう、グレン・・・僕に、犯されてる気分は?」
「っは。犯られてんのはどっちだよ?」

両腕で深夜の腰を掴み、強引に下肢に引き寄せる。

「っひゃ!あ、あんっ・・・!グレ、奥っ、もっと突き上げてェ!!」
「っの、変態が」
「あ、グレ、っ、激しっ・・・!んあ、あ、んっ―――」

深夜は、自分で動こうとグレンの胸に手をついていながら、
それでも、男の下肢の動きに翻弄されていく。自ら奉仕することよりも、快楽を優先してしまう、
まさに堕落した人生。
だが、少なくとも、彼の表情に、こんな穢れた生活を後悔している節はなかった。
それどころか、泣き濡れた赤い瞳から、今も更に、熱い雫が頬を濡らす。
あまりの気持ちよさに、ほとんどトリップしているのかもしれない。
グレンは、突き上げを一度やめ、内部をゆっくり広げるように、ぐりぐりと動かしてやる。
そうすると、深夜は漸く瞳を開け、自分を見下ろしてきた。

「グレン・・・気持ちいい?」
「それより、お前はもっと尻を締めろ」
「ひゃ!あ!」
「ガバガバなんだよ。こんな淫乱を抱いて、お前の取り巻きは何が愉しいんだかまるでわからないな」
「そりゃ、みんな僕を愛してくれるからねぇ〜」

深夜は汗を垂らしながら、腰を浮かしては、最奥を貫けるように、腰を押し付ける。
最初は内部も擦れてヒリヒリと痛いこともあったが、今はもう、そんな痛みなど一切受けない。
ただ、触れ合う箇所の熱さと、そしてグレンの腕の熱を感じる。
グレンの肩を掴むように身体を支えながら、繋がる下肢から響く水音が激しくなる。

「じゃあ、大人しくそいつらの所で可愛がられてろ」
「そうはいかない。僕が欲しいのは、あんな奴らじゃない。グレンだけだよ」
「は?死ねよ」
「はは。嬉しいくせに、またそんなこと言うんだから」
「キモイ」

口で言う割に、深夜の内部に納まったグレンの雄は、1つも萎える気配などなく、
むしろこの状況に興奮しているようだった。それが嬉しくて、深夜は嗤う。己の身体でグレンが興奮してくれていることに、
至上の喜びを感じる。
深夜はうっとりと表情を緩ませた。

「グレン・・・す、き・・・好き、だよ、グレン」
「うるせぇ」
「君が、欲しい・・・もう、限界なんだ。早く、グレンの・・・頂戴?」
「っくそ、変態が・・・!」

悪態をつくも、こちらも既に、ほぼ限界。
グレンがラストスパートを掛けようと、腰を揺らす指先に力が篭ると、
深夜もまた、男の限界を感じて、内部を意図的に締め付けてくる。吸い付くようなその感触は、
グレンの理性を失わせるのには充分で。
深夜の中に、白濁をぶちまける。深夜もまた、グレンの肌に己の欲を吐き出していた。
内部はきゅう、と締まりグレンを悦ばせる。男の身体に溺れるなんて、
自分も大概、終わっていると思いながら、
グレンは倒れ込んでくる深夜を抱き締める。
これは、間違っても愛なんかじゃない。恋でもない。ただの性欲の捌け口なだけだ。
彼に付き合ってやっているのも、彼が都合のいい性欲処理の相手だから。
そう、ただそれだけ。
そう思えば、この淫乱で変態な男を、腕の中に収めるのも、それなりだった。

「・・・ね、グレン」
「なんだよ」
「そろそろ・・・病みつきになってきただろ?僕の身体」
「知るかよ。俺は、お前の取り巻き達とは違う」
「ふーん?ま、いいけどね」

そういって、深夜は再びキスを強請った。
今度は唇が触れ合う前に、舌が絡んでひどく激しい口づけだった。
精を吐き出したせいですこし落ち着いた熱を、更に高めるその行為は、
このまま、性的な行為が終わるわけではないことを示していて。

「このまま、次の授業もサボっちゃおう?」
「変態なうえに、不良かよ。さすがやりたい放題の柊様だ」
「反抗的なのはグレンのほうだろ?」

にやりと笑って、それからグレンの腕を強く引き、体勢を入れ替える。
今度こそ、自分が床に背を付き、グレンが自分の上に乗り上げる体勢へ。下肢はまだ繋がったまま。
ぐい、と体勢が変わるだけで、内部が擦れる感触に声が漏れそうになる。

「今度は、グレンから求めて欲しいな」
「誰がお前なんか・・・」
「はいはい。それは聞き飽きたから。早く、シよう?」

思わせぶりに腰を揺らし、そうして、彼の首を掴んでキスをする。
今は、これでいい。
こうやって身体を繋げていられるだけで、満足できるから。
けれど、これだけじゃ満足できなくなったら―――自分はどうするのだろう?
深夜は口の端を持ち上げた。
まったく、本当の、本当に重傷だと思う。自分が持っているものすべてを擲ってこの男に捧げて、
これでも彼が手に入らなかったら?
最後の最後まで、性欲の捌け口で終わってしまったとしたら。
その時、自分はどうするのだろう?

「―――深夜?」

少しだけ、下肢の動きが緩み、違和感を感じてグレンが怪訝そうな顔を向けてきた。
深夜は笑った。もう、今更。
もう、自分は二度と、純粋な恋心を彼にぶつけることはできないのだから。
それなら、このままいくしかない。
彼が求めてくれる自分に、自分がなるしかないのだ。

「グレン・・・僕が君をめちゃくちゃにしたんだ。責任取ってよね」
「自分の責任くらい自分で取れ」
「はは」

深く突き上げてやれば、深夜が己のシャツの背中にしがみ付いてくる。
ぎゅ、とそれを握り締める力は存外に強くて、グレンは無言で腕の中の存在を見下ろす。
全く、どうしてこうなったんだか。
呆れたように吐露してみるが、その最初の原因が自分だということくらいは自覚している。

「好きだよ、グレン」
「・・・っ」

熱に浮かされたまま、相変わらず馬鹿げた事を口にする深夜に、
グレンは自ら口を封じるべく唇を重ねたのだった。





end.








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