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満たし満たされて




彼しかいないと思った。
家族を失い、夢を失い、生きる価値も見失って、
自分の人生の中で唯一見つけた小さな光。
手に入れたいと思った。どんな手段を使ってでも。
自分にまったく興味のなさそうな色合いの瞳をどうしてもこちらに向けさせたいと必死だった。
彼の野心を推し測り、可能な限り協力したつもりだ。強引な程。
けれどその努力のかいあって、今では、友達だ、とまでは素直に言わないかもしれないが、
仲間だとは認識してくれていると自負している。
大切な仲間。
彼にとっての大切な仲間たち。
従者たちと、美十と、五士、そして自分。
とても幸せなことだと思う。
まさかこんな柊の支配する世界にあって、こんな信頼で繋がったくすぐったい関係が築けるなんて思ってもみなかった。
自分が欲しかったのは、自分が安心して居られる場所と、戦う理由。
グレンのように、誰かを守るために戦うほうが、昔の自分よりはよほどかっこよくて、
強く憧れた。
自分も、彼を守れるくらい強くなりたいと思った。
誰よりも強く、孤高で、仲間だとわかっているくせに誰にも頼ることの出来ない彼が背負う物はとても重くて、
少しでも一緒に持ってやりたかった。
だからきっと、今のままではきっと駄目なのだと思った。
彼が守りたいと希う心に甘えてばかりでは。

(グレン…)

ベッドの端に所在なげに座りながら、深夜はザァザァと音の立てているシャワー室を眺めていた。
ここは繁華街のとあるホテル。
2人は、従者や、仲間たちの目を盗んでここに来ていた。
清潔そうで洒落た装飾の部屋だが、狭い割りには大きなベッドが置かれている。
深夜はぎゅ、と胸元のバスローブを握り締めた。
心臓が、既に鼓動を強めている。
これから何が起こるか、当然理解はしているのだが、それでもまだ深夜には戸惑いがあった。
どきどきする。
誰かとこういう関係になったのは初めてで、
ましてや、他人に己の裸を晒したこともない。ましてや相手は同性の男で。
不安が募る。
彼は、本当に自分などでいいのだろうか?
自分を愛してくれることで、後悔したりはしないのだろうか?
傷つけたりはしないだろうか?
嫌われたりはしないだろうか?

(…だめだ、落ち着け、自分)

深夜はゆっくりと深呼吸をして、どうにか飛び出しそうな心臓を宥めた。
大好きな男の全てを知りたいと思い、彼と付き合うことになり、その時深夜は初めてグレンとキスをした。
あまりの緊張に、意識が遠のく程だったのを覚えている。
初めてのキスは想像していたよりも柔らかく、甘い味だった。触れるだけの確かめるような口づけ、少し唇を離して
グレンは確かめるように深夜と視線を絡める。頬に熱を持ち、耳まで赤くなった。
沸騰するような感覚、そのまま再び唇が重なる。今度は躊躇いがちなグレンの舌先がつつくように
深夜のしっとりと濡れた唇を刺激して、緩やかに口内を開かせた。
歯茎を舌でなぞられて、ぞくりと下肢に電流が走った。
震える身体を、グレンに気付かれ、彼が笑う気配を感じる。一気に羞恥心が振り切れた。
もう、これ以上は、と思ったところに、グレンの大きな掌が、
己の尻を撫でてくる。
尻をなぞり、そうして前の、一番欲望に忠実な部分に、触れ、探られる。
あの時深夜は、慌てて腰を引いてしまった。

『ちょ、待っ、グレン…まだ、心の準備がっ…』
『は?準備?女みたいなこと言うんだな?』

くすりと笑われ、もっと大胆に両手が身体を弄ってくる。
でも、本当に、深夜はいきなり身体を求められるとは思っていなかった。
もう、キスだけで耐えられないくらい緊張していた。
今日は無理、そう弱々しく懇願すると、もう一度キスが降ってくる。
今度は唇ではなく、頬に。そして耳朶を甘噛みされる。背筋が震えて、ぎゅ、と身体を竦ませる。
グレンは言った。

―――じゃあ、いつがいいんだ?

「…っ…」

グレンの声音を思い出して、深夜は思わずぎゅう、と疼く下半身を抑え込んだ。
やはり、恥ずかしい。
既に身に纏うものはバスローブ1枚で、下半身にはなにも身に着けていなかった。
身体は念入りに磨いてきた。これから彼に抱かれるのだと思うと、
やはり己の身体がひどく大切なものに感じられる。
どこか自分だけのものではないような、勝手に粗雑に扱ってはいけない気がして、
いつもより愛おしく感じる。
こんな、女性らしい柔らかさもない骨ばった男の身体で、ましてや乳もなく、下半身には彼と同じ物がついているのだ。
グレンが萎えやしないだろうか、とすら思ってしまう。
それだけが一番不安で―――…

「深夜」

はっとした。
顔を上げる。先ほどまでシャワールームにいたはずのグレンが、自分を見下ろすように目の前に立っていた。
おざなりにタオルで乾かした髪、こちらもバスローブを羽織っている。
胸元に見える、しっかりと鍛えられた張りのある肌。少しだけ頬を染めた。
グレンの顔が見られない。
すぐに俯いて、頬を染めていると、

「本当に、いいんだな?」
「…っ…いいよ」

羞恥心を押して、なんとかそう告げた。ここまで来て、逃げるわけにもいかない。
それくらいは、自分の中にもプライドがある。
グレンは隣に座り込んできた。2人分の体重に沈むスプリング、おさらいの様に重ねられる口づけ。
深夜は目を閉じる。
触れるだけでくらくらと頭が揺れ、そうして酔ったようにぼぅ、としてしまう。
思わず身体に力が入らなくなり、縋る様にグレンの胸元を握り締めた。
グレンのキスには容赦がない。
初めての時とは大違いの大胆なキスだった。掌で頬を挟み込み、こめかみから耳、頬にかけてのラインを何度も撫でながら
角度を変えてはキスを深めていく。はぁ、と浅く吐息を漏らす瞬間を見計らって、
グレンは深夜の舌を捕らえた。
まだまだ慣れておらず、怯えたように震える深夜のそれを絡め取り、吸い上げる。ちゅ、と水音を立てながら、
グレンは唾液を流し込む。深夜は両手で男の首に縋りついた。
頬を染め、キスの合間に浅い呼吸を繰り返す。
含みきれない体液が互いの口の端から溢れだす。少し唇を離せば、二人を繋げたまま離そうとしない銀糸、
ふと瞳を開けると、間近に男の深い紫の色合いが映る。
一気に熱が上がった。
思わず身を引こうとして、けれどグレンの掌はそれを許さない。
なおも口づけは続けられた。もう片方の掌が、不穏な動きを始める。深夜の胸元を確かめるように這いまわり、そうして
きちんと着こんでいたローブの前を緩ませる。既に深夜の前は反応を始めていて、
もうそこに触れられるのかとドキドキした。
思わず脚を擦るようにして下肢を隠そうとしたが、グレンの掌は胸元の小さな突起を摘み上げていた。

「んっ…んん、や…っ」

きゅ、と眉を寄せて、深夜は思わずのけ反っていた。
女性の様に膨らみもなく、ただ申し訳程度にしかついていないそこを、
グレンが触れてくるとは思わなかったから、深夜は白く滑らかだった肌を桜色に染めていた。
やめ、と弱々しく懇願するも、グレンの動きは止まらない。
小さなそれを、爪でひっかくように刺激しては、ツンと立ち上がってくると指先で挟み込む。くりくりと転がすようにそこを弄りながら、
次第にもう片方の指も降りてくる。胸板を大きな掌で掴む様に擦られ、そうして親指の腹で潰したり、引っかいたり、
そこはもはやグレンのしたい放題。
恥ずかしいうえに、キスがいい加減苦しくて、深夜はグレンの背を叩いた。
グレンがゆっくりと唇を離す。けれどすかさず、耳の裏側、首筋の部分に吸いつかれて、文字通り深夜は悲鳴を上げた。
ぐっと掛けられる体重、ぐらりとバランスを崩す。グレンが背を抱いて、ベッドの真ん中に深夜は押し倒される。
もう、後戻りはできなかった。
男の体重を感じた。グレンの首にしがみついていた両腕が、頭上でシーツに縫いとめられる。
その状態で、グレンは深夜の肌を執拗に舐めている。
首筋から、鎖骨の窪みあたりを何度も舐めては、ぴちゃぴちゃと濡らして音を立てる。
キスに酔わされている間に、いつの間にかグレンは深夜の足の間に己の身体を割り込ませていた。
膝で、気付かぬうちに脚を開かされている。
バスローブももう、身に着けていないも同然だった。

「あっ…ぐれ、ちょっ、待って…」
「どうした?深夜」
「そこ…あんまり、触らないでっ…ひゃ、っ…」

ぷっくりと立ち上がり、色濃い紅に染まる小振りな蕾を、グレンはうっとりと長い舌で舐め上げた。
深夜は身体を震わせる。グレンの唇から見え隠れする真っ赤なそれが、
ねっとりと己の胸元に絡みついている。唾液を塗りたくられ、そこはぬらぬらと濡れ光った。
恥ずかしい。逃れたいと思うのに、自分がのけ反るたび、グレンの口元に押し付けているようにすら見える。
深夜はグレンの頭を外そうと、くしゃりと彼の黒髪を乱した。
グレンは顔を上げない。
それどころか、もう片方の突起をも更に執拗に刺激を与えてくる。
ちゅうちゅうと、音を立て、まるで乳でも吸うのかとでも思うほど、強く吸い上げられて、
深夜はそこから下肢に走る痺れを感じずにはいられなかった。
信じられない。
男でも、乳首で感じるものがあるのかと思うと不思議な気分だ。
顔をあげたグレンの、視線が合わせられない。
グレンは笑って、再び深夜の肌に唇を寄せた。

「…緊張してるな。すげぇ、ここ、バクバク言ってる」

グレンの頭が、深夜の心臓の位置に耳を当て、鼓動を聞いている。
甘えるようにうっとりとそう告げて、グレンは心地よさそうに瞳を閉じた。掌では、なだらかな彼の肌の手触りを
何度も楽しんでいる。グレンの掌は、益々深夜の官能を煽っていく。

「やだ…グレンの、えっち…」
「望んだのは、お前だろ?」

グレンの揶揄うような声音が耳に響く。ぞくりと背筋が震えた。
そうだ、望んだのは自分。
彼にとっての仲間や、家族以上の関係になりたかった。
誰よりも、一番傍に。
もちろん、彼の中でなおも息づく“彼女”の存在には叶わないかもしれないけれど。
それでもよかった。
自分にとって彼は、自分の全てを懸けてもいいくらいの存在で。
自分が彼を想うように、彼もまた自分を欲しがってくれるのなら、
これほど幸せなことはなくて。

「…綺麗だ」
「っ…」

顔をあげたグレンが、つつ、と指先で肌をなぞりあげた。
深夜は、顔を横に向け、視線を逸らすしかない。
胸元から下肢にいたるまで、隠すものはもはや何もない。
白く、滑らかな肌。まるで陶磁のようなそれを、グレンは何度も何度も撫で上げる。
掌が下肢に掛かる。思わず膝を立てて腰を引こうとして、
けれどグレンの腕がそれを拒む。
それどころか、曲げた膝に掌を這わせて、ぐい、と持ち上げ、開かせた。
触れてもいない深夜の雄は、既にとろとろと蜜を零している。
暗めに落とされた照明でも、そこは既に誘うように天を向いていて、
グレンは初めて目にする彼自身に、思わずごくりと喉を慣らしていた。
醜い欲望や情欲とはまったくの無縁に見えた彼が。
自分に抱かれたくてこんなにも興奮している姿を見せつけられて、
平気でいられる男はいないだろう。
頬に朱を吐き、目元を濡らして、その透き通るような空色が不安げに揺れている。

「…そんなに、見るなよ…」
「恥ずかしいのか?」
「っ…馬鹿、当たり前だろっ!?」

自分はこんなに乱れた姿を晒しているのに、未だグレンは余裕を保ったままで、
涼し気な表情をしているのが悔しいと思う。
ぎゅ、とシーツを握って、早くしろよ、と口の中で呟いた。
唇を噛み締めて、瞳を閉じると、
グレンの指が、そろりと己の砲身に絡みついてきた。身体が震える。
初めて他人に触れられたそれは、ひどく落ち着かない感覚だ。自分で刺激するのとは違い、
動きの先が読めなくて。不意打ちのように裏筋を刺激されては、ゆるやかに竿を擦られる。はぁ、と安堵の息をつくと、
その次には一番敏感な鈴口に爪を立てられる。ひぅっ、と喉の奥から声が漏れてしまった。
くちゅくちゅ、と親指で溢れる蜜を掬っては亀頭の部分に塗りたくられる。
ツルツルとしたそこを何度も掌で擦られ、思わず深夜は手を伸ばしてグレンの悪戯な掌を掴んでしまう。
抑えようとするのに、グレンはなおも刺激を与えては、深夜の顔を見つめ、時折キスを落とした。

「あっ…グレ…グレンっ…」
「もう…イきそうなのか?すげぇ張りつめてる」
「んんっ、も、お願…ダメ、イっちゃう…」
「いいぜ、いけよ深夜」

他人の、それもグレンの掌に誘われて、深夜は何度も下肢を襲う衝動に耐える。
自分で触れても、大して欲望を感じなかった下肢が、グレンの掌で淫らに快楽に飢えて涙を零していて。
取り繕う余裕なんてなかった。
イきたくて仕方がない。下肢が熱く、早く吐き出したいと腰を揺らした。
深夜の心を読んで、グレンの掌は更に激しさを増す。ぐちゅぐちゅと激しい水音を立てながら、
絞り出すように先端に向かって擦りあげる。
グレンの指先が一番敏感な傘の部分に絡みつくと、もうダメだった。

「っく―――あ、ああ―――っ!!!」

頭が一瞬、真っ白に塗りつぶされる感覚に、深夜は目を瞑っていた。
堪え切れない射精感の後、深夜の精がグレンの指先の間から勢いよく飛び出していた。
噴き出す飛沫がべっとりと肌を汚す。羞恥に己の下肢を見やることはできなかった。
グレンの掌が、なおも絞り出すように砲身を刺激しながら、
一方は腹を汚すそれを塗り拡げるようにして肌を何度も撫でていた。
濡れた掌で、再び胸元の蕾を解している。
漸く理性を取り戻しつつある深夜は、一瞬だけ瞳を開けて、そうしてグレンの表情を見た。
その表情は、普段の冷静な彼とは違う、激情を孕んでいて、
食い入るように己の乱れた姿を見下ろしている。
熱っぽい瞳に、心を奪われた。
吐き出したはずの下肢が、再び熱を持つ瞬間。

「っあ…グレンっ…」
「深夜…お前、結構可愛いな」
「っ、」

たまらねぇな、と興奮したように囁くグレンに、背筋が震える。
グレンは、はぁ、と熱い息を零し、おもむろに羽織っていたバスローブを脱ぎ捨てた。
ばさり、と音がしてベッド下に放られる。
深夜もまた、息を呑んだ。
同じような身長と体形をしているくせに、彼の身体には一つの華奢さも見えない。
やはり、あれほど美しい剣捌きで他者を圧倒する実力を持つ彼は、
どちらかというと体術よりかは呪術や幻術を得意とする自分よりはよほどしっかりとした体つきをしていて、
深夜は彼の鍛え上げられた二の腕や肩、腹部の筋肉を見つめ、ごくりと息を呑んだ。
今から、彼に抱かれるのだ。
ちらりと、彼の下肢を見やる。思わず赤面してしまった。
大きい。それは自分のモノよりも一回りも二回りも大きいサイズで、
まるで16歳とは思えない程。
グレンの掌が、意志を持って深夜の尻を撫でていた。
時折双丘の隙間を、指先が撫でる。きゅ、と締まる己の排泄器官に、
深夜は既に羞恥で身が千切れそうだった。
もちろん、綺麗にしてきたつもりだ。
知識くらいはある。この場所で、男同士がつながることくらい。
けれど、自ら開発できるような箇所ではなかった。ぞわぞわと湧き起る恐怖とくすぐったいような感覚、
グレンは確かめるようにそこを何度も撫でては、指を差し入れようとトントンと叩いてくるものだから、
深夜は顔を歪めた。
まさか、このまま強引に下肢を開こうとは思っていないだろうが、
それでも、恐怖は常に付きまとう。

「っ…ぐ、グレ、いきなりは、絶対無理だからね?!」
「わかってるよ。…ちゃんとローション使ってやるから、」

だからお前も怖がらずに力を抜けよ、と、そう言われて、深夜は半信半疑のまま、
けれど仕方なくグレンの前に下肢を晒した。
指で拡げさせた入口に、グレンはサイドチェストに常備されているローションを手に取る。
ここはラブホテル。そういった準備は怠りない。
グレンは深夜の砲身の裏、ふたつのふくらみと尻の隙間目がけて潤滑剤の入った小瓶を傾けた。
トロリと糸を引いて、深夜の肌が濡れ光る。冷たさに深夜の身体が戦慄いた。
それでも、深夜の秘孔に垂れてくるその感触に、ついその部分が無意識にひくひくと震えてしまう。
グレンは嬉々として笑った。
深夜の下肢は、まだ一度も解されてはいないというのに、
既に外からの刺激に感じるように出来ていて。
中指を宛がい、ぬめりに導かれるように深夜の奥へと侵入していった。
深夜は眉根を寄せ、異物感に堪えている。
本来、排泄するだけの器官の襞が、外側でなく内側へと捲れ、抉れていく。

「っあ、あ、入ってきてる…?」
「まだ、指だけだ。丁寧に解してやるから、もっと力抜けよ」
「んっ…」

深夜はぞくりとした刺激に身体が震えるのを耐える様に、グレンの腕にしがみ付く。
幸い、指は細く、潤滑油のおかげで根元まで呑み込んでいた。
グレンは興奮したように乾いた唇を舌で舐めている。
あの、普段から余裕ぶった澄ました表情を浮かべている深夜が、こうして己の指1本だけで乱されているのだから、
これで理性を保てるはずもなかった。
少しだけ引いては押し込んで、ゆるゆると注挿を繰り返す。
ぐるりと指をまわしては、周囲の締め付けを拡げていく。
熱い内部だった。肉襞が絡みついて、離そうとしない。

「っは…狭いな、深夜。すっげぇ締め付け」
「っあ、当たり前だろ?!僕は男…っ」
「ああ、知ってる。―――でも、俺と繋がりたい。そうだな深夜」
「っく―――…!」

勝ち誇ったように告げられても、悔し気に唇を噛み締めるしかない。
そう、彼と繋がりたかった。
もちろん、心も欲しかったが、心だけでは足りなかった。
彼に愛されていると、彼が自分のもので、自分が彼のものであるという証が欲しかった。
彼の、証を。
身体に刻みつけたいと思う。
傷ではダメだった。既に鬼呪で呪われた身体に、残る傷はつけられない。
それよりも、誰よりも近い場所にいる事実を実感したいと思った。
だから、身体を求めた。
グレンは苦笑して、けれど何も言わずにキスをしてくれた。
グレンが自分に向ける欲望は、ひどく蠱惑的で、快楽に直結した。
だから、怖くてもいい、彼を受け入れてやりたいと、そう強く思ったのだ。

「っああ…っ!グレン、まだ、無理ィっ…」
「大丈夫だろ…ほら、もう2本も呑み込んだ」
「あっ…ひ、そこ、やっ…!」

グレンの指が、ぐりぐりと内部を犯していく。抜き差しを繰り返せば、
入り口の部分が指の関節部に当たる度に悲鳴が漏れる。内部の奥深くを擦られれば、
丁度己の砲身の裏あたり、おそらくは前立腺の部分を指先で抉られる。
脳天が痺れたような刺激を感じた。
舌まで震えて、うまく言葉が紡げない。グレンの指が、
己の中にあって、中から快楽を際限なく溢れさせる。ローションのおかげもあり、
ぐちゅぐちゅと水の弾ける音を立てるそこは、既に男のモノを受け入れるくらいに広がっていた。
後は狭い入口を解すだけ。グレンは慎重に、そこの襞を解していく。

「あ…ああっ、駄目、そこ、裂けちゃ…」
「深夜…ゆっくり深呼吸しろ。力を抜け。…ああ、ほら、ちゃんと3本入った」
「んっ…ぁ、アアっ…も、それ以上、無理ィっ…!」

グレンが指を動かす度に、深夜の喘ぎ声は激しくなった。
苦痛より、甘さが混じる声音。グレンもまた、いい加減たまらなくなり、
3本の指で解したその柔らかな下肢に、己の雄を宛がった。
深夜は息を呑む。
まさに、この瞬間。
この瞬間を希求して、今の今まで生きてきたのだと強く感じた。
その証拠に、全身の細胞が震え、歓喜の声音を上げている。
結合部が、男を欲して激しい収縮を繰り返した。再びそこを押し戻すように指を引き抜いて、
口が閉じられる前に先端を割り込ませる。
それでも、締め付けは強かった。
グレンもまた、唇を噛み締める。
けれど、男の砲身に絡みつく熱い深夜の内部に、グレンはひどく興奮していて、額から汗をだらりと垂れる。

「…どうだ、深夜…」
「っあ…っ痛…ぃ、けど、でも…すごく、嬉しいっ…」

覗き込むグレンに、縋りつく様に深夜がグレンの首にしがみ付いた。
体勢は苦しい。グレンは深夜のふるえる唇にキスをする。ぐっと結合部が熱を持ち、
そうして少しずつ奥へと侵入を果たしていく。
深夜が苦し気に息をするたびに、それでも少しずつ彼の肉襞は柔軟さを増し、愛する男を受け入れていく。
その感触がひどく気持ちよくて、グレンもまた、深夜の身体を抱き締めた。

「深夜…大丈夫か?」
「…大丈夫っていうか…も、なんか…あっ、抜くなっ…」

グレンが少し腰を引くだけで、ぞわりと身体が戦慄いた。
快楽というより、痺れといったほうが正しいだろうか。全身の感覚がおかしくなって、
ただ、グレンが与える刺激にだけ強く反応してしまう。
言葉もまともに紡げず、口の端からは涎が溢れ、飲み込むことすらできない。
結合部は真っ赤に充血していて、グレンは思わず指でその部分に触れて確かめたくなった。
あの狭かった箇所が、己の雄を咥えてぱっくりと口を開けていて、
グレンは内心、深夜に無理をさせたことを詫びた。
けれどもう、深夜は痛みよりも、充足感に満たされ、甘い声音を上げている。
ぐれん、ぐれん、と舌足らずな声音で何度も名を呼ばれ、
愛おしさがこみ上げる。

「ねぇ、グレン…っ」
「ん…?」
「グレンも、キモチイイ?」

深夜にそう問われて、グレンは笑ってしまった。
こんな、彼の痴態に興奮して、男相手に下肢を反応させておいて、気持ちよくないわけがないだろう、と。
そう思った。確かに、今は、深夜の身体を気遣うほうが先決で、己の欲望は二の次ではあるけれど。
それでも、こんな彼の姿を見せつけられて、嬉しくないわけがなかった。
深夜は自分のために、良かれと思い身体を開いてくれたのだ。
応えたいと思った。彼の信頼に。
彼は既に、仲間であり、家族だった。守りたい、失いたくない相手。
だが、それだけではない。
彼も自分を求め、自分もまた、彼を求めた。
彼がいなければ、今の自分はきっとここにはいなくて。中々素直に告げることはできないが、
グレンもまた、あの時深夜に縋ったのだ。
あの、自分が鬼と化して暴走したあの時。
きっと、深夜ならばなんとかしてくれると。教室で彼と目が合い、確信した。
そして安堵した。
1人で戦う必要はないのだと、深夜はそう教えてくれたから。

「ああ、深夜…気持ちいいよ」
「っ…ア、よかった…っ」
「お前こそ…無理させてごめんな。今度は一緒にイかせてくれ」
「んっ…、嬉しいっ…!」

深夜な涙目で笑った。そんな彼の頬に口づけて、
グレンは深夜の雄に指を絡める。
びくびくと身体を震わせる彼を抱いて、更に腰を押し付ける。
ただ締め付けるだったそこが、今では収縮を繰り返し、更に奥へと呑み込む様に蠢いている。

「あっ…ア、グレンっ…もっ、イっちゃいそ…!」
「ああ、俺も…も、我慢できない…、深夜、中に出してもいいか…?」
「んっ…たく、っは、しょうがないなっ…、ぁああ――っ!!」

ぎゅ、とグレンの指先が深夜の雄の先端を締め付け、刺激する。
痛みに萎えるどころか、パンパンに張りつめたそこをグレンの親指が軽く抉るように擦るだけで、
あっけなく深夜は堕ちてしまった。ぎゅう、と内部の締め付けが激しくなる。
グレンもまた、その収縮に呑まれるように吐精してしまう。
腹の間が白濁に濡れ、けれど深夜は幸せを噛み締めていた。
グレンの精の匂いと、己のそれ。
男同士の関係だというのに、それでも深夜にとっては、彼は唯一無二の存在で。
どうしようもなく愛おしいと思った。
グレンもまた、繋がったまま、深夜の背を抱き締め、そうして荒い息を吐いている。

「…グレン…」
「…ん」
「大好き」

漸く精を吐き出した余韻に浸る深夜に、グレンは黙って抱き締めた。
愛おしいと思う。もう二度と恋なんてできないと思っていたし、するつもりはないと思っていたのに。
大切だと思うだけでなく、こうして欲しいと強く感じてしまうのは、
彼もまた、自分をそう思ってくれているからだろうか。

「深夜…俺も、」
「ん?」
「…なんでもない」
「…ちゃんと言えよ〜グレン〜」

気だるげな空気の中、明るい声音の深夜の笑い声が響いている。
もう少しこうしていたい、とそう強く抱き締め、
グレンはゆっくりと瞳を閉じたのだった。





end.








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