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星蒼圏 - 保管庫モバイル
そんな君が好きだから
胸元に重苦しい感覚を覚えて目が覚めた。
此処はホテルの一室。
終わりのセラフが発動し、まき散らされたウィルスによって、世界は崩壊の一途を辿っている。
なんとか一命を取り留めた人間たちも、その後に地上に生まれた異形の存在―――ヨハネの四騎士によって、
抵抗する間もなく殺され、人口はもはや半分以下になっている。
そんな中でグレン隊は、柊から与えられる救助任務のために各地を転々としていて、
今日もまた、出先のホテルでひと時の休息を取っているところだった。
「苦し・・・」
顔を顰めて横を向いた。
いまだ、夜は明けていなかった。室内にあるのはそれなりに広いベッド。
横たわって短い休息をとっている自分の隣には深夜がいる。
ホテルの部屋は、男部屋と女部屋で分けていた。五士がいないのは、交代で見張り番をしているからである。
とはいえ、扉の前でうたた寝しているんだろうが。
「くっそ・・・暑いんだよ」
グレンは自分にくっつく様に身体を丸めて寝息を立てている深夜をごろりと転がした。
寝る前は同じベッドでも背を向けてかなり離れている位置にいたはずなのに、この男はいとも簡単にこうして自分のテリトリーを侵してくる。
日中では意図的に。こうして眠っているときは無意識に。
ため息をついて、改めてグレンは深夜の顔を見つめた。
「・・・ったく、」
こうしてりゃ綺麗な顔してんのに。そう、グレンはぼやいた。
いつも胡散臭い笑顔で自分にまとわりついてきた彼。最初からあんな絡み方をされて、
まともな人間ならば信用しろというほうがおかしいだろう。それでも、
要事の時は彼は至って真面目に自分に力を貸してくれていたから、今では自分の中でも充分に信頼に値する立場になっている。
こうして、ベッドを共用する程度には。
「あんまりひっつくなよ。暑いだろ」
「・・・ん・・・グ、レンが、悪いんだろ・・・」
「ぁあ?」
意味の分からない寝言を呟く深夜は、そのまま再びもぞもぞと身じろぎしてまたもやグレンにしがみついてくる。
間近に寄せられる彼の中性的な顔に、グレンはますます顔を顰めた。
叩き起こして引き剥がしても良かったが、せっかく寝付いたのに、あと数時間もしないで起きなければならない身、
起こすのは憚られた。もちろん自分も似たような状況ではあるのだが、彼はひどく幸せそうで。
全く、いい気なものだ。グレンは深夜のさらりとした銀糸を指先で弄び始めた。
「・・・ん、グレン・・・」
「なんだよ」
寝言に応えるなど無意味と分かっているが、目を離せずにそのまま見つめていた。
本当に整った顔立ちだと。癪な話だがそう思ってしまう。指を撫ぜる艶やかな銀糸も。男のくせに、痛んだところはひとつとしてなく、色素の薄い肌も滑らかで、透き通る様だ。
過去、呪術組織の末端に籍を置いて、柊に認められるためにそれなりに呪術と体術に明け暮れてきたはずの彼が、
傷ひとつない綺麗な肌を持っているとは正直意外だった。
これほどの実力だ、柊に入ってからもかなり厳しい訓練を強いられてきただろうに、
傷痕一つない滑らかな肌。
シャツ1枚を羽織ったまま寝息を立てている彼の、あからさまになっている白い首筋と胸元までのラインを眺めながら、
グレンはごくりと喉を鳴らした。
きっと、今の自分は目がおかしいのかもしれない、と思う。
寝ぼけたままで、頭がはっきりと働いていないからなのかもしれないが、
間近にある彼の整った顔立ちと、肌蹴られたシャツから覗く肌の色合いは、ひどく煽情的だと思った。
ゆっくりと頬に触れると、不意に彼の長い睫毛がふるりと震える。
心臓がどくりと鳴って、身体の中が疼くのをグレンは感じた。久しく感じていなかった欲。人間として根源的な欲求、だが、それは、浅ましい、ひどく動物的な欲求だ。
―――お、なになに?君、実は男もいけるクチなの?
不意に、心の中で声が響いてきた。
鬼の声だった。ノ夜。自分が望んで手を取り、自ら受け入れてしまった存在。
鬼とは、自身の欲望を忘れてしまった哀しい存在だ。故に人間の欲望を好み、懐かしむ。宿主の欲望が強ければ強いほど好きだと言う。
だから心の底を覗いては、認めたくない欲望までを引きずり出そうとする厄介な存在でもあった。
グレンは顔を顰めた。
俺が、こいつを?何を馬鹿げたことを。
「別に、静かにしてりゃウザい顔も少しはましなのに、って思ってただけだ」
―――嘘嘘。女の子みたいに綺麗だなぁって思ってたでしょ。自分の腕に縋りつかれて、可愛いなって感じてたよね。それって立派に恋愛対象ってことじゃない?
妬けるなぁ〜。僕のことは欲しいって思ってくれなかったくせに。
ノ夜は終始楽し気だ。それを無視して、グレンは深夜の頬にかけていた掌を引く。
彼の言葉のせいで、己の身体の熱は自覚していたが、理性で抑えられない程ではない。
第一、相手は男で、ましてやグレンは彼自身の口から、そういった下世話な話題は聞いたことがなかった。
五士のくだらない話には付き合っていても、特に積極的な印象もなかったから、きっと彼はこういった欲望をあまり意識することはないのだろう。
それを考えて、グレンは再び、自分の浅ましい欲望に笑ってしまった。
自分だって五士のことを馬鹿にしてはいられないな、と苦笑する。あからさまにしていないだけで、
これでは自分も動物と同じレベルではないかと。
―――あ、やめちゃうの?
「うるさい」
グレンは、今だ寝息を立てている深夜に、彼が蹴り飛ばしていた薄掛けを掛け直してやると、
ベッドを降り、そうして立てかけていた刀を取り、部屋を出た。自分たちが宿泊しているフロアの階段を降りて、ホテルの入り口に向かう。
案の定、五士はフロントの壁で半分寝息を立てていた。
ホテルの周囲に張り巡らせた侵入者を知らせる呪術は、術者が意識を失った所でそうそう破れるものでもないが、
これでは見張りの意味がないではないか。
まったく、とグレンは再びぼやいて、五士の肩を靴で小突いてやった。
「おい、五士」
「・・・むにゃ・・・なんだよ・・・グレンかよ・・・」
「交代してやる。部屋で休め」
「んお、もうそんな時間か・・・じゃ、頼むわ」
本当は、彼との交代の時間は、あと1時間後なのだが。
寝ぼけ眼の彼をさっさと追い払うと、今度はグレンが入口に陣取った。
壁に背を預け、張り巡らされた呪符に神経を集中させる。周囲のヨハネの四騎士の気配はなく、今は落ち着いているようだった。
朝までは残り3時間。きっと今日は何の襲撃もなく、ゆっくり休息を取ることができるだろう。
ここ最近、連日連夜の戦いの後だったこともあり、きっと、皆疲れているのだろうから。
「…静かだな」
襲撃がなければ、他に泊まっている客もなければ、フロントの従業員もいない。
至って静かな夜だ。
外も明かりなどなく、今足元を照らしているのは、自分たちが持ってきたアウトドア用のランタンだけだ。
けれど、グレン自身の眠気はすっかり消えてしまっていた。
その代わり、脳裏には先ほどの深夜の表情が浮かんでしまって。
やっぱり欲しいんじゃん、と、そう脳裏で響く声を無視するものの、やはりあの無防備な彼の姿を打ち消すのは
今の自分には難しかった。
ノ夜の言う通り、自分が彼を情欲の対象として見ていると知ったら、
彼はどう思うだろう?
他の女性や真昼に対する態度をネタにからかうことの多い彼だが、その対象が自分だと知ったら?
今までのように冗談を言って交わす余裕な態度でいられるのだろうか?
それとも、女相手ならまだしも、男相手に欲情してしまった自分に引いてしまうだろうか?
「・・・・・・」
グレンは、そっと己の熱を持ちかけている下肢を掌で抑えるようにしてため息をついた。
朝まで、あと数時間。
その後は、また皆で顔を合わせ、簡単な朝食を済ませて、目的地まで戦いに講じねばならない。
くだらない感情は忘れてしまおうと意識を別に移そうとした、まさにその時。
気配がした。階段からの足音。
グレンが見やると、目を擦りながら降りて来たのは深夜だった。
胸が騒めく。肌蹴たシャツもそのままだ。 ごくりと喉を鳴らしてしまったのは、完全にグレンの落ち度だ。
「なんだよ、起きたのか」
「・・・目が覚めたら、五士が寝ててさ。まだ、グレンの交代の時間じゃないだろう?だから」
「だからって、今夜はお前の担当じゃないだろ」
「まぁね。でもつまんないだろ、1人じゃ」
だから、一緒に付き合ってやるよ。と。深夜は本当に、意味がわかっていて使っているんだかわからない発言をする。
声音は至ってふつうそのもの。誰が聞いても仲の良い友人同士の会話に聞こえるが、
今は夜、しかも2人きりの状況で、しかも自分は今、彼に欲情しかけていて。
誘っているのかと言いたくなった。今、自分が鬼の囁く欲望に呑まれて理性を失い、
彼を襲ってしまったらどうするのだろう?
口を塞ぎ、助けを呼べなくすることなんて簡単だ。
ましてや、まだ朝までは長い。有事がなければ、誰も降りてくるような状況ではないのに。
けれど、そんな自分の葛藤をよそに、深夜は壁に背を付けていた自分の隣に陣取り、あまつさえ身体を寄せてくる。
「だから、暑いって言ってんだろ」
「ええ〜?夜はまだ結構寒くない?寝てる時だって結構寒くてさぁ」
だからあんなに引っ付いてたのかと、今更ながら納得する。
けれど、まだ身体の熱が収まり切れていないグレンは、深夜が傍にいることで更に欲望を煽られるのを感じ、密かに唇を噛み締めた。
こんな無防備な恰好を晒して。彼はきっと、自分が何を考えてるかなどまったく想像もしていないだろう。
ただの見張り番で、特にすることもない。
こんな静かな環境で2人、何をすることもなく無言の時間が続く。
「・・・グレン?」
自分の視線に何か感じたのか。
深夜はグレンのほうを見やった。こちらも視線を外せずにいた。ベッドに居た時には閉ざされていた蒼い瞳の色が、
電灯に照らされて光を放っていた。やはり、自分はどこかおかしいのだろう。どこか気が緩んでいて、鬼の煽る欲望に侵食されているのかもしれない。グレンは無理矢理視線を外す。腰を上げて、何か飲み物でも持ってこようと思った。
―――こんなに無防備に近くにいるのに。何故触れないの?
「・・・」
鬼の声は止まらない。自分が理性で感情を御しきれていない証拠なのはわかっている。
けれど、手を伸ばしてどうなる?一時の感情で彼を傷つけて?彼の望むこの信頼関係を壊してしまったら?
第一、祝福されるような関係でもなければ、そんな甘い世界でもないのだ。
そんな安直な欲望を押し付けられたところで、彼だって迷惑に決まっていた。
ましてや、一時の欲望に身を任せるなど―――
―――でも、かれは望んでいるよ?君が欲しいって
「・・・っはあ?」
―――だから、別に君の独りよがりじゃないし、抑える必要もないと思うけどねぇ
まぁでも、僕は君のもっと深い部分の欲望にしか興味がないから、どっちでもいいけどね?
声はそう言って笑って、消えた。グレンはもう一度深夜を見つめた。
不思議そうに小首を傾げる彼を見つめ、すっと目を細める。彼が自分を気に入っているのは知っていた。
だが、そういう意味も含まれているなどとは考えたこともなかった。
第一彼が自分に求めてくるのは、今だって友情の延長線でしかないようなことばかりで。
このまま、頤を掴んで、強引に唇を寄せたら。
きっと彼は、まるで鳩が豆鉄砲を食らった時のように目を見開いて、驚いてこちらを見つめてくるのだろうと思う。
そういう人間の穢れた欲望とは無縁の存在に思えた。
純粋で、子供の幼さを残したままの彼が。
本当に、自分のことをそんな風に思っているのだろうか。
「深夜」
「なに?」
「・・・お前、俺のことが好きなのか?」
「は・・・ああ??!!」
素っ頓狂な深夜の声音に、はっとした。
どうやら、自分はぼんやり物思いに耽っていたために、馬鹿げたことを口走ってしまったようだ。
案の定、彼はやはり、想像もしていなかった、という表情をしていて。
失敗した、と後悔した。グレンは努めて平静を保ったまま腰を上げる。何か飲み物持ってくる、とそう言って背を向けた。
茫然としたままこちらを見上げてくる深夜の顔を見ないままに、給水所へ向かう。
電気の通っていない自販機から、冷えていないコーラを取り出した。気はほとんど抜けきっていて、
ただの生ぬるい甘い液体でしかない。それでも渇いた喉には十分で、
ペットボトルをもう1本抱えてフロントに戻る。
一瞬だけ深夜がいなくなっているのではと不安になったが、案の定彼はまだ腰を下ろして座っていて、
少し安堵した。
ペットボトルを渡した。生返事の彼は、また自分を見上げてくる。
「グレンは・・・どうなの?」
「・・・ん」
「僕のこと、好き?」
好きかと問われて、応えに少し悩んだ。
嫌いなわけでは決してない。親友かと問われれば悪友だとは答えられるだろう。仲間かと問われれば、応えはイエスだ。
けれど、こうして彼の姿に欲情したのは初めてで―――先ほどノ夜に指摘された通り、彼が恋愛感情の対象になったという事実は
グレンの中でも驚きだった。しかしこれが、もし一時の迷いでしかなかったら、と思うと、応えるのすら憚られる。
「・・・わからない」
「人に聞いといて、なんだよそれ」
「大切だと思ってる。お前を死なせたくないし、守りたいと思う。だから、お前の傷つくことはしたくない」
「それって答えなの〜?」
深夜の悪戯な瞳が、目の前の男を揶揄するようにきらりと光った。
グレンは微かに頭に血が上ったが、それでももう、後には戻れなかった。
逃げるわけにもいかない。たった2人きりの、誰にも邪魔されない静かな空間。
「お前の望むことはしてやりたい」
「素直に好きって言えよ」
「じゃあ、好きだ」
「うん。僕も、君が好き」
好き、と告げた深夜の笑顔があまりに綺麗で。心臓がどくりと鳴った。
こういう時の彼は、何の含みもなく、 ただただ自分だけを見てくれている気すらした。
吸い込まれそうになる。煽られる。欲しいと思う。
「僕も同じ。君が望むことならしてやりたい。・・・君の望みは何?」
「お前に、ずっと仲間で居て欲しい」
「うん。ずっと傍に居てやるよ。あとは?」
「・・・」
身体の中が、熱くて仕方がなかった。
一度火のついた身体は、やはり時間がたっても熱を抱え込んだまままで、グレンは言葉で言えない代わりに、
今度こそ深夜の頤を掴み、そうして唇を寄せた。
欲情していた。彼に。他でもない、彼自身に。誰かの代わりとか、そういうくだらない感情ではなかった。
視線を絡めて意図をもって顔を近づけると、彼は笑って瞳を閉じた。それを許可の合図だと受け取ったグレンは、
そのまま 深夜のほんのりと桜色に色づいた唇に己のそれを重ねていく。
柔らかな感触と、先ほどまで飲んでいたコーラの生ぬるく甘い味。
唇の暖かな熱を感じて、そのままグレンは深夜の背に腕を回して抱き締めた。
触れ合うだけのキスをして、そうして顔を離した。
再び絡み合う視線、彼の瞳はまた揶揄うような悪戯な色合いだ。挑発するような。欲望を煽られるような、
そんな視線だった。
「・・・ったく、欲しいなら欲しいって言えばいいのに」
「お前は・・・本当にいいのか」
「いいも何も・・・僕にはグレンしかいないよ。君に求められて嫌な事なんて一つもない」
だから、いいんだよ。深夜は笑った。少し顔を伏せて。暗がりでも彼の頬が真っ赤なことが分かった。
頬に触れると、そこがひどく熱くて。
また、興奮した。いよいよ下半身が理性を保てなくなって、下肢のボトムスの前を張りつめさせている。
再び唇を重ねて、今度は触れ合うだけではなく、どちらからともなく舌を絡めた。
欲望を曝け出すような口づけ。グレンは必死に深夜を求め、深夜はそれを受け止める。溢れる体液が口の端から溢れるのも構わずに
貪り合う。苦しさに時折唇が離れては、また角度を変えてキスが絡んだ。音すら立ててキスを交わしながら、
深夜は腕を伸ばし、グレンの下肢を遠慮がちに弄ってくる。少しの羞恥と、それ以上に大きな欲望。彼を見て欲情した自分を、
彼の手で慰められるという事実だけで更にぞくりと欲望が溢れだした。
グレンもまた、深夜の下肢を辿った。
布ごしの彼のそれもまた、自分ほどではないが、これからの行為の予感に熱を集め始めている。
それに安堵した。形を確かめるように指で辿っていくと、
深夜が逃げる様に身を捩る。だが、彼は壁に押し付けられていて、既に逃げ場はない。
唇が離された。
熱っぽい瞳が絡んだ。口の端はじっとりと濡れ光りしていて、粘つく体液が糸を引く。変態。そう口の端を持ち上げる深夜も、
下肢を興奮させているからお互いさまだ。
「・・・直接、触っていい?」
「ああ」
深夜の繊細な指先がジッパーを下ろしていく音にごくりと喉を鳴らした。
こちらも深夜の下肢を撫で、ゆっくりとベルトを緩め、彼の熱を晒させる。まだまだ時間には余裕があったが、
万一誰かがやってきたら。そう思う理性は既になかった。
深夜の半勃ちのそれをゆっくりと掌で包み込んで、そうして根元から扱き始めた。熱を帯びているとはいえ、まだまだ芯は硬くない。
それでも、グレンは彼の性感を呼び覚ますように愛撫を続けた。
自分が彼の掌で感じているように、彼にも感じて欲しい。欲望を押し付けるような行為はしたくなかった。
次第に荒い息を吐く口元に顔を寄せると、深夜はグレンの肩口に額を預けてくる。
両手を使って深夜はグレンのそれを扱いていた。
既に熱く硬さを帯びたそれに、恐怖すら覚えるほどで。深夜は己の心臓が高鳴るのを抑えられない。
他人の掌で己の雄を愛撫される感覚も初めてで、ましてや他人の雄を掌で愛撫することすら初めてで。
本当は、どうしていいかわからなかった。
それでも、あまりしたことのない自分で自慰をしたときの感覚を必死に思い出して、
グレンのそれを擦り上げる。時折、グレンが亀頭のくびれの部分を中心に指を絡めてぐりぐりとしてくるのがひどく気持ちよくて、
喉の奥がひぅっと鳴った。ぎゅ、と瞳を瞑りながら、彼の掌に翻弄されている腹いせのように、
グレンの雄も真似をして擦ってやる。
すると、彼の張りつめたそれが更に膨張し、掌で包みきれない程の大きさまでになっていた。
ぬるぬると掌が濡れているのは、彼の先端から溢れる先走りのせいだ。
硬く反り返り、グレンの雄は天を向いているようだ。信じられない思いで深夜がそれを見つめていると、
「・・・あんま見んなよ」
「っ・・・いや、でもすごくてさ・・・」
「・・・舐めてみるか?」
「さ・・・すがにちょっとそれは、」
初めてでいきなりそれを要求するのは無理な話だと分かっていたが、
一気に羞恥を覚えて頬を更に染め上げる深夜の反応が楽しくて。気付けば、グレンの手の中の深夜自身も硬くしこっていて、
深夜の身体を抱えて、己の膝の上に乗せてやった。
下肢が重なる。深夜は息を呑んだ。グレンの掌が、互いの砲身を重ね合わせ、乱暴ともいえる手つきで扱きあげ始めると、
深夜の下肢も一気に熱を増す。強引すぎるそれに慌てた深夜がグレンの掌の上に己の指を絡めるが、
彼の手の律動を止めることはできなかった。
ぞわぞわと背筋を走る快感にぶるりと震える身体を壁に押し付けられ、そのまま唇を重ねられた。
もう、既に熱と快楽に酔わされている深夜は、あっさりとグレンの行為を受け入れる。
ぐちゅぐちゅと濡れた音が、耳を犯した。
何より、グレンに身体を支配されている感覚が心地いい。他人に己のすべてを預けるのは勇気が必要だったが、
彼ならば良いと思える。深夜の彷徨う腕が、グレンの首に絡みついた。
もう、絶頂はすぐそこだ。ぐれん、と口の中で名を呼べば、薄目を開けたグレンと視線が絡み合う。
ぐっ、と掌に力が篭り、追い上げられる津波のような衝動に身体が震え、視界が真っ白に塗りつぶされる。
「っう、あっ・・・も、だめ・・・っあ・・・―――っ!!」
抑えきれない声音をキスで塞がれて、そのまま深夜は絶頂に達してしまった。
もちろん、それはグレンも同じで。互いのどろりとした白濁が、どちらともなく2人のシャツは腹に飛び散った。
恥ずかしい、けれどそれよりもグレンの掌で、グレンと一緒に互いの欲を吐き出した、という事実が
深夜の胸を熱くした。
グレンを抱き締めて、抱き締められて。
初めてなのに、これほど胸に幸福感が溢れてくるのは、
やはり自分もまた、求めていたからだろうか。
グレンの、心を。
グレンに求められたいと、心の奥底でくすぶっていた欲望を、彼が受け止めてくれたことに、
深夜はひどく歓喜していた。
「深夜・・・その、すまない」
「なんで謝るの?僕も欲しかったから・・・嬉しいよ、グレン」
「・・・」
抱き締め合って互いの熱を感じながら、この後のことを思った。
いくら心が通じ合って身体をぶつけることを良しとしたところで、この状況では
そこまで進むのはいい加減無理があるだろう。
グレンはずっと自分を抱き締めたまま、動かない。葛藤しているのだろうか。彼の気持ちは嬉しいが、
やはり肝心なイベントはもっと落ち着いた、誰にも邪魔されない夜の時間にしたいと思った。
今は、彼と心と体が通じたと、そう実感できただけで十分だった。
「・・・グレン」
「ああ、わかってる。さすがにここまでしかしねぇよ」
肩を竦めて、グレンは身を離した。
汚れたシャツに舌打って、けれどそれでも拭うものはそれしかなくて、手早く拭ってしまう。
身体を離されて、一抹の寂しさを深夜は感じた。
乱されたボトムスを再びきっちりと着直したが、それでもまだ淫靡な匂いは漂っていた。
これでは、朝までに消えるのだろうかと、少し苦笑した。
この状況でチームのメンバーにバレるのは、さすがに辛い。
「ねぇ、グレン」
「ん」
再び壁に背を付けて、座り込んだ。
先ほどより、深夜との距離は近い。ぴっとりと張り付いてくる深夜のせいで、暑くて仕方がなかった。
余韻の様に残る熱と、彼の熱と、そして初夏の空気。
「続きは、ちゃんとベッドでしようね」
「そうだな。ま、五士は外に蹴り飛ばしておけばなんとかなんだろ」
「ほんとグレンはひどい奴なんだから〜」
はは、と笑って、そうしてまたぺたりとくっついて目を閉じる。
しばしの休息の時間は、2人にとってはひどく甘い時間で、
グレンもまた、ひと時の安らぎに身を浸したのだった。
end.
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