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「たかが愛、されど愛」


第三話


目が覚めたのは、何か下肢のあたりが重苦しい感じがしたからだった。
寝る前にしっかりと布団をかけていたはずなのに、
妙に腹のあたりが涼しい気がする。
だというのに、身体が熱っぽいような。
特に下腹部のあたりに熱がしこっていて、意識が朦朧とする。
夢、だろうか。
重苦しいくせに、頭はふわふわと浮いた感覚に、フラガは眉を寄せた。
寝返りを打とうとして、なぜか身体が動かない。

「・・・んっ・・・」

それどころか、鼻にかかったような甘ったるい声まで漏れてしまう。
なんだ、?!と思った次の瞬間、

「あっ・・・は、ああっ!!」

下肢に強烈な刺激が走り、フラガは思わず背を仰け反らせた。
あわてて身を捩ろうとするが、がっちりと下肢を掴まれ、身動きが取れない。
そのうえ、ぴちゃぴちゃと卑猥な音まで聞こえてきて、
一気にフラガの意識は覚醒してしまった。
夢などではない。夢などではない。
必死に上半身を起こすと、下肢に見慣れた金髪が目に入る。
あいつだ、あいつ。
熱に浮かされた頭で必死に考えるフラガに、
次々と快楽の波が襲っていった。

「あ・・・はっ、おまっ・・・や、め・・・!」

まったく言葉になっていない。
なっていないが、フラガとしてもこの状況に甘んじてなどいられない。
夜這い・・・どころか寝込みを襲われ断じて許せない、というだけではない。
今回フラガには、クルーゼから避けなければいけない絶対の理由があったのだ。
今頃になってそれを思い出し、フラガは青ざめた。

「や、あ・・・、っ!だめ・・・だっ・・・!!」

必死に手を伸ばし、クルーゼの髪をひっぱる。
だが、クルーゼの頭はびくともしない。それどころかより深くくわえ込み、フラガの熱を煽る。
クルーゼは、昼間フラガにドタキャンされてから、
もちろん諦めることなく彼の性格そのままにフラガを追っていた。
そう、ずばり、彼の仕事場=地球軍アラスカ基地までストーカーしに行っていたのだ。
・・・相当危機感のない男である。
だが、それもフラガに関することだからこそ。
フラガに関してだけはどうも直情的な彼が、あのメールだけで引き下がるわけがない。
そして、それはフラガが身をもって知っているはずだった。
だというのに、クルーゼから逃げる手段にあんな手を使ってしまった。
今更になってフラガは自分の馬鹿さ加減に頭を抱えた。
けれど、今はもう後の祭り。

「んっ・・・だ、だめ・・・っ!」
「ふっ・・・あんな一言で私から逃げられると思ったら大間違いだということを、身体でわからせてやるよ。・・・たっぷりとな・・・」

嬉々としてそういうクルーゼの顔は、
いつになく意地の悪そうな笑みを浮かべていた。
フラガは青ざめるしかない。
だからといって、このまま流されては困るのだ。
体調が・・・そう、体調が悪すぎる。クルーゼの相手をする余裕は今のフラガにはないのだから。

「・・・っ、おいっ、やめろ・・・!俺、今体調悪くて・・・!」

「ほう?なかなか元気そうにしか見えないがな」

じたばたと暴れるフラガに、クルーゼはにやにやと笑うだけ。
別に風邪を引いている風もなかったし、いたって普通にしか見えない。
これでは、ただ自分から逃れるための言い訳だとしかクルーゼには思えなかった。
まったく、素直じゃないな・・・と内心微笑んだりして。
まぁそんなところも、フラガという男の可愛い所だ。
クルーゼは下肢から顔を上げると、両足を押さえ込む腕はそのままに、
彼の身体を折り曲げた。
上半身を傾け、顔を近づければ、フラガがぎゅっと顔を背ける。
本当に、素直じゃない。
やれやれ、とクルーゼはフラガの頬を掴んだ。
ぐっと力をいれ、自分のほうに向けさせる。
フラガの瞳は今にも泣きそうだった。快楽に浮かされ、熱に浮かされ、
潤んだ青のそれはいつだって美しい。
クルーゼは自身の熱情を抑えきれず、嫌がるフラガを押さえつけ、そのまま唇を重ねた。
舌で歯列を割ろうとして、フラガの思いがけない抵抗に阻まれる。
必死にクルーゼを拒むフラガに、今更、とクルーゼは呆れる。
少々乱暴に頬を掴む。
とうとうフラガはクルーゼを受け入れた。
舌がするりと入り込む。その口内を舐め回す。強く、深くその口内を貪る・・・――――――。










「っ!殺す気か、ボケっ!!」




ドゴッ









強烈な蹴りが運悪くみぞおちに入り、クルーゼは綺麗にすっ飛んだ。

「な・・・ム、ムウ?」

さすがのクルーゼもいつにない激しい抵抗に、
痛むみぞおちを押さえながらフラガを見やった。
だが、フラガはというと。



「つぅ・・・あ・・・・・・う・・・・・・・・・・・・・」




両手で口を押さえ、うずくまっていた。
そして、その青の瞳はもはや泣きだす5秒前。


あまりに不可解な出来事に、クルーゼは呆然とそれを眺めているしかできなかった。





次回、完結編。まーフラガの状態は・・・予想つきますよねぇ。







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