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「Ever Lasting Blue 01」


知ってるよ、ラウ。
あの、暗い暗い闇のなか。
泣きたくなるほど静かで、冷たくて、そんなところから僕を助け出してくれたよね。
お願いだから、そんな目で僕をみないで。
君の腕にいられるだけで、僕は幸せなんだ。




















「・・・寒いか?」
「ん・・・少し、寒い・・・」

胸元に縋り付いてくる温もりに手を伸ばして。
クルーゼはその存在を抱き上げるようにして腕のなかに引き込んだ。
すっぽりと収まる位の小さな身体は何年経っても変わらない。
自分の腹に乗せるように彼の少年を抱え込んで、それからまた毛布を肩まで引き上げてやった。

「ねぇ、ラウ・・・怒ってる?」
「どうして」

いささか驚かされる発言に、クルーゼは腕の中の存在を見やる。
ガラス玉のような済んだ瞳は不安げに揺れて。

「どうして私が、お前を怒る必要がある」
「だって・・・壊しちゃった」

ああ、とやっと合点がいく。
きゅっと小さな拳を握り締め、顔を胸元に埋める子供が可愛らしい。
大丈夫、とクルーゼは滑らかな金の髪の頭を撫でてやった。

「そんなに気に入ってくれていたのか。・・・また買ってあげるよ」
「・・・せっかく、君がくれたものなのに・・・・・・」

胸元で泣きじゃくる子供を抱き締めて。
ことさらゆっくりとその背を撫でてやった。
少年の誕生日にあげたものは、12歳の子供には似合わぬ香水瓶。
けれど、子供の小さな手にもすっぽり収まるような流線型のフォルムと、それから香る甘いようで爽やかな匂いにフラガは喜びの声を上げたものだ。
今までは過去にいた場所を思い出させる消毒液の匂いが染み付いていた彼は、
加減の知らない手で振りかけた甘い香りを纏わせたまま自分に抱きついてきたものだった。
それが今日、壊れた。
別に、フラガのせいというわけでもない。ただの不注意だ。むしろ自分が気をつけていなかったというほうが正しいかもしれない。
けれど、フラガはひどく落ち込み、それからずっと悲しそうな顔をしていた。
薄れていくその香りが切ないのか、しきりに鼻を鳴らして。

「あのくらい、大した事ないさ。気にするな」
「でも・・・」

小さく呟く少年の顔を上げさせ、クルーゼは触れるだけのキスを交わす。
頭を撫でてゆっくりおやすみ、と囁いてやると、少年は腕をクルーゼの首に回してすがり付いてきた。

「・・・?どうした」
「・・・君が、欲しいんだ」

ぽつりと呟かれるそれに、クルーゼは抱いていた腕に一層力を込める。
・・・ムウ、と彼の名を口にして、それからもう一度唇を重ねた。
2人は、いつも交わっているわけではなかった。
男にしてみれば、子供にセックスを強要するほどヤキが回っているつもりもなかったし、
少年は少年でそう素直に欲しいなどといえるものでもなかったから。
けれど、時折こうやって2人してそんな気分になることがあって、
そういう時は互いに深く舌を絡め合う。
すっと少年の肌を辿ると、若く、まだ幼い中性的な体躯が目に付いた。

「細いな・・・・・・」

とっくに知っていることだが、クルーゼは見るたびにそう思う。
10の歳から時の刻まぬ身体。少年と過ごして3年になるが、あの当時から変わる気配がない。
成長の止まったままの彼へ痛ましい表情を向けると、
フラガは羞恥に耐えかねたように身を捩り、そしてクルーゼの首に腕を絡ませた。

「ね、早く・・・っ!」

余裕のない表情は、今にも泣きそうだ。
目尻に唇を落とし、外気に晒された少年の幼いそれをクルーゼは手のひらでやんわりと包み込む。
途端、びくりと全身を強張らせた彼は、そのまま唇を噛み、声を抑えようと眉を顰めた。

「ん、んっ・・・」
「・・・抑える必要なんかない。私に聞かせてくれ」

唇の輪郭を舌でなぞる。そのまま、歯列を割るように口付けて。
手の中のそれをしごいてやると、軽く重ねた口元からくぐもった音が漏れた。

「ムウ・・・」

小さな身体に快楽を持て余して。
自分から舌を絡めてくる様子が、いじらしく、そして少しだけ胸が痛む。
少しだけ視線を下ろせば、青白いような肌に生々しく残る手術痕。
腹を弄られたらしいその痕は、3年前まで玩具として扱われてきた事実を示している。
初めて彼に会った時の感情のない瞳を思い出して、クルーゼは目を細めた。
そんな彼だから、なおさら。
こうして身体を重ねることは躊躇われた。それなのに。

「ねぇ、ラウ・・・っ!」
「ああ・・・」

愛撫の手が緩んだことに気付いたらしい、哀願するような瞳がクルーゼを見上げた。
頼りなげな青の色は、快楽に浮かされて濁っている。
上半身を起こした自分の上で少年を乗せ、腰を浮かせるようにして膝をつかせると、クルーゼは彼の奥を指先で探った。
高まる興奮に、首に回された腕に力が篭る。
時折片手で少年の自身を扱いてやりながら、内部にゆっくりと侵入していけば、
それだけで滑るそこは簡単にクルーゼを受け入れた。

「あっ・・・、そこ、もっと・・・」
「もっと?」
「あぁ、もっ・・・、おくっ・・・っ・・・!」

少年のお望みのままに、指の根元までを内部に押し込んで。
2本の指を曲げてやると、少年の敏感なその部分に指先があたり、少年は喉を仰け反らせた。
白いそれに、口付ける。
少々キツめに吸い付けば、薄い肌はすぐに青い痣を残していった。

「あっ・・・ダメ・・・でちゃ―――・・・っ・・・」

後ろだけの刺激で少年は達してしまい、白濁は男の胸元を濡らした。
べとべとになったそこに、少年は倒れ込む。きゅっと唇を噛んだいじらしい表情は、
これから自分の身に何が起こるのか十分にわかっているようだった。

「ラウ・・・」
「・・・・・・ん?」

少年を抱え直して、クルーゼはかれを真正面から覗き込んだ。
少年はそのまま肩口に顔を埋める。かすかな呟きが、クルーゼの耳元で囁かれる。

「・・・好き」
「・・・・・・ムウ」
「大好き・・・」

込められる腕の力に、自分もまた強く抱き締めて。
ぐっ、と自身を少年に侵入させた。慣らされた体は、適度の締め付けでクルーゼを受け入れる。
この小さな身体に自身を埋め込む行為が、どんなに背徳的なことか。
わかっていたが、しがみ付かれると弱い自分がそこにいた。

「あっ・・・っ・・・、ラウっ・・・」

ゆるゆると腰を動かしてやれば、意識しているのかいないのかそれに合わせるように少年の身体が揺れる。
クルーゼはフラガの身体を抱き締めながら、同じようにかれの耳元で囁いた。

「私も、・・・お前が好きだよ」

こんな、年端もいかない子供に愛の告白も何もないけれど。
愛している、とクルーゼは口の端に乗せる。
他人を想うことにも疲れた自分が、こんな子供に振り回されていることに、
クルーゼは自嘲の笑みを浮かべた。















3年前、クルーゼは幼い少年と共に炎に呑み込まれる研究所を後にした。
何もかもを失った彼に残されたのは、気まぐれに助けたこの少年だけ。
生まれたときから人権などないに等しく。
望まれたレールを歩めぬ代わりに、玩具にされた哀れなコドモ。




ああ、好きだよ。
誰も何も信じられなかったくせに、私にだけおずおずと手を伸ばしてくるお前。
そんな、私がいなければ生きていけないような顔をしないでくれ。
知ってる?私は、お前が大嫌いだったんだよ?
今だって、いつ殺したくなるかわからない。
それでも多分お前は、
殺されていることにも気付かないまま、私に身を預けてくるのだろう。
ぞくぞくするよ。お前を壊したくて気が狂いそうだ。
お前は私の憎悪の象徴。勝手に死ぬことなんて許さない。そう、私の腕に閉じ込めて。ずっとずっと、最期まで。
白い肌にさぞかし血の赤は似合うだろう。だけど、まだそれを実行するには惜しいから。

さぁ、おいで。
お前の望むままに愛してあげよう。
いつか私がお前に飽きて、お前がいらなくなるその日まで。




end.




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