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「飛ンデ火ニ入ル、。2」


「部屋でなら、じっくり楽しんでもいいってことか?琉河?」
「・・・・・・っ・・・!」

相手が夜神月ならば、こう返されるのは自明の理で、
そうわかっていながら馬鹿なことを口走ってしまったのは自分のミスだ。
―――部屋でなら愛されても?
本当にそう思っているのか?この己の本心は?
誰にも見つかりさえしなければ、彼に抱かれたいとでも言うのか。

「っち、違いま・・・」
「言いたいことがあるならちゃんと言えよ?琉河。この口でさ・・・」

顎に指をかけられる。親指の腹で紅色に染まる唇をゆっくりと撫でられ、
ぞくりと背筋を這い上がる感覚が琉河を襲った。
どうにかしてこの状況を打開したいが、
まさか自分から誘うような言葉を口にするわけにもいかず、
琉河は唇を噛み締める。
だが、そんな躊躇をしている間にも、
月の手は先へ先へと動きを早めていた。
首筋に舌を這わせながら、手はジーンズのボタンを外し、
そうして焦らすように衣服の上から琉河自身をなぞっていく。
形を確かめるように、指1本で丁寧に刺激され、
そのもどかしさに琉河は首を振った。
もはや、瞳には涙が浮かんでいる。
快楽に身を委ねたい己と、それを屈辱と思う己との葛藤故だ。
琉河は掴んでいた月の肌に爪を立てた。

「琉河。」
「っ・・・ぁ、・・・っ・・・」

月の声音は、常に自分の理性を崩していく。
意地を張っていても、結局は彼の思い通りになってしまう―――。
そうはわかっていたが、それでも抵抗してしまう自分が、
不意に琉河はおかしくなった。
本当に、馬鹿だと思う。
己の足で、ここに来たくせに。
彼のテリトリーに足を踏み入れた時点で、
もう、こうなることは予想していただろうに。

「・・・月く、ん・・・」
「ん?」

耳に、吐息が吹きかけられた。
熱い。たったそれだけで、腰の奥が疼くよう。
もう後戻りなどできない己の身体に、
琉河は心の中で呆れたように溜息をついていた。

「・・・部屋で、・・・・・・」
「部屋で?」

わかっているくせに、次を促す男が恨めしい。
琉河は縋るように肩に腕を回した。爪を立てて、責めるような視線を向ける。
だが、勿論月は動じない。
それどころか、そんな琉河の反応を面白がっているようだった。
何度目かのキスが、琉河の頬に触れた。
やれやれ、と目を閉じる。
我侭な男だ。
仕方なく、琉河は口を開いた。

「・・・するなら、部屋でしてください・・・」
「はは。まぁ、僕も邪魔が入るのはゴメンだしね。わかったよ」

琉河のその言葉に満足したのか、
壁に彼を押さえつけていた月の腕の力が少しだけ緩んだ。
中途半端に脱がされていた衣服を、琉河は再び身に着けようと手を伸ばしたが、
その瞬間、

「―――っ・・・!」

ふわり、と身体を抱え上げられ、琉河は目を見開いた。
いきなり足場が失われ、無意識に安定を求めて琉河の腕が月の肩にしがみつく。
月はというと、そのまま玄関の横の階段を上り始めていた。
確かに部屋で、とはいったが、
まさか抱えて運ばれるとは思っていなかった。
琉河はうんざりと顔を歪めた。

「・・・何やってるんですか・・・」
「少しでも手放したら、逃げ出すんじゃないかと思ってね。」
「・・・・・・」

ばたり、と背後の部屋が閉じられた。
そうして、カチャリと、鍵のかかる音。
これでもう、万一誰が来たとしても、力づくで開けるような人間はいない。
琉河は安心すると同時に、これで自分が、夜神月から逃げられなくなってしまったことも
強く感じていた。
誰も、見ていない、たった2人だけの部屋。
キラとしてではなく、もしも物理的な殺し方をされたら?
体術には多少の自信があるものの、
刃物でも出されれば、自分は、終わりだ。

「琉河・・・」
「・・・っライ、・・・」

どさり、とベッドに放り投げられて、
すぐさま男が圧し掛かる。
今度こそ、抵抗など無意味だろう。諦めたように、琉河は身体の力を抜く。
すると、目の前の男の口の端がすっと上がった。
目を細める。
自信過剰な男のその表情は、
癪に触って仕方なかった。けれど。

「口、開けて・・・」
「・・・・・・んっ・・・ふ・・・」

先ほどにも増して、深く深くを探ってくる長い舌。
無論、ここまでくれば琉河に逃げの姿勢はない。
絡められるそれに、琉河は負けじと己の舌を巻きつけた。
不意打ちに、空回りしたそれらは、
それでもすぐにねっとりと体液を共有し合う。
楽しげに笑う月の気配を感じた。
・・・気に入らない。
せめて一泡でも彼に吹かせてやらねば気がすまない。

「いっ・・・、」

ぐい、と強くシャツの襟を引っ張られた月は、
深く絡めていた唇を外してしまった。
それも仕方がないことだろう。琉河が目一杯力を込めて引っ張ったそこは、
ビリ、と布のちぎれる音まで上げていたのだから。
大して手入れのされていない爪に引き裂かれたかのように
無残なそれを確認しようとして、
少しだけ、月の意識が琉河から逸れる。
その瞬間を、琉河は見逃さなかった。

「っ・・・琉・・・、!」

己に覆いかぶさっていたはずの肩を、強く掴み、
そうして、身体を反転させるように勢いよくベッドに押し付ける。
一瞬のうちに、琉河と月の立場が逆転してしまっていた。
圧し掛かった琉河の、下には、夜神月。
予想だにしていなかったであろう反撃に、
目を見開いて自分を見上げる、
生意気な少年が。

「・・・調子に乗るのも、大概にしてくださいよ・・・」
「何?今日はお前がやってくれるんだ?」

だが、押し倒された側のはずの月は、それでも楽しげに口の端を歪めるばかり。
怯むどころか、右腕を伸ばし、目の前の青年の髪に指を絡めた。
漆黒のそれを楽しげに弄び、そうして、引き寄せる。
何度目かのキス。けれど、今回は先ほどまでのような深いものではなく、
軽く、優しいものだった。唇を触れ合わせ、
そのまま琉河の衣服を脱がせていく。
ジーンズを緩め、素肌と下着の間に手を這わせてくる男に、
琉河は負けじと襟元を解き、そうして唇を這わせる。
ズバ抜けた頭脳を持つ男でありながら、スポーツも万能な彼の身体は、
痩せこけたような自分よりはよほど逞しく思えて、
そんな微妙なところですら琉河はコンプレックスを覚えていた。
とにかく、何もかもが完璧すぎるのだ、彼の場合は。
均整の取れた胸板に、琉河は顔を埋めた。
だが、それは愛撫のためではない。下肢を襲う、もどかしげな感覚に耐えるためだ。

「っく・・・、んっ・・・」
「どうした?続けてくれて一向に構わないよ」

既に、下肢はほとんど晒されていた。
下着もジーンズも、自らの意思とは関係なく、月の手足で足首まで下ろされている。
大きな手が、双丘を包み込むように撫で、そうして片方の手のひらは背筋へ。
骨の一つ一つをなぞるようにしながら、下へと降ろされれば、
嫌でもその先を考えずにはいられなかった。
尻の割れた部分を辿り、その奥へ。
だが、止めることなどできなかった。気づけば、
月の上から退くことができなくなっていた。
月の腕が、しっかりと彼を抱えていたからだ。

「・・・私にやってもらいたいなら、大人しくしてください」
「はは。そうしたいところだけど、お前に任せてばかりじゃ、もどかしくてしょうがないからね」
「っ・・・・・・」

ばさっと音がして、下肢の衣服がすべて剥ぎ取られ、
ベッドの下に落とされたのを知った。
それと同時に、上半身のシャツもまた、ぐい、と頭から外されてしまう。
相変わらず脱がしにくい服着てるな、とぼやかれ、
余計なお世話です、と言い返した。
月は笑った。
本当に、楽しげな声音。この男は、相手が誰だか本当にわかっているのだろうか?
だがそれは、自分自身にこそ訊きたい問い掛け。

「ほら、琉河。来いよ。」

月が示した先は、彼自身の下肢。
琉河は息を呑んだ。カチャリと音がして、ベルトが外される。
そうして、前を緩めれば、顔を覗かせるのは彼の雄。
知らないうちに、頬が染まる。
月の手の中で、それはみるみるうちに大きさを増していった。

「僕を愛してくれるんだろう?」
「っなこと・・・!」

言ってない、と言い返す間もなく、
月の手が琉河の頭を掴み、引き寄せた。
赤黒く腫れ上がり、淫らに先走りに濡れるそれを目の前にして、
琉河は眉を寄せた。
だが、このままこうしていても埒が明かない。
男は一向に引く気などないだろうし、確かに受け身だけでは気に入らないのも事実。
彼のいいように誘導されていることに顔を顰めながらも、
琉河はおそるおそる、月自身に触れる。
この味は、何度やってもそう慣れるものではない。
一瞬、気が遠くなった。
月の手が、強く琉河を引き寄せたからである。

「んっ―――ぅ・・・」
「もっと舌使って。それじゃあ僕をイかせられないよ?」

喉の奥まで目一杯含まされて、一体どうしろというのか。
こうやっている時は、毎回二度とやるものかと思うくらい苦しいのに、
どうして今、またこういう状況に陥っているのだろう。
彼を見返してやりたいだとか、そういう意地の前に、
まずこの苦しみから逃れることを考えた。
舌で、強く押し返すと、それが月にとっての快楽へと繋がった。
やはり、結局のところ、楽しむのは彼なのだ。

「琉河・・・、可愛いよ・・・」
「・・・んむっ・・・ふ、・・・っ・・・」

男のモノを口に含んだまま、顔を上げさせられ、
琉河は辛そうに表情を歪ませた。
けれど、そんな琉河の姿も男の熱をそそるのか、月の手が優しく頬を撫でる。
一段と質量を増した塊が、琉河の口内を更に圧迫した。
吐き気を覚えるのに、それすら耐えなければならない苦痛は、
しばらく終わりそうになかった。
琉河は震える手で、月の腕に爪を立てた。
今度こそ、素肌に食い込んだそれは、男の肌に傷をつけてしまっていた。

「っ・・・、酷いな」
「・・・・・・っだ、誰がっ・・・!」

月が顔を顰めた隙に、漸く異物を口から吐き出して、
琉河はきつい視線を目の前の少年に向けた。
だが、相手は夜神月。
皮膚を引っ掻かれ血の滲むそれを舌で軽く舐めた後、
月はいやに嬉しそうな表情を琉河に向けた。
口の端が、まるで悪魔のような邪悪さをもって持ち上がる。
琉河は、脅えたように心持ち身を引いた。
だが、

「やっぱり、お前には任せておけないな」
「っや・・・ぁっ・・・!!」

楽しげな声音と共に、琉河は今度はうつ伏せに組み敷かれた。
男の全体重をかけられて、当然、琉河に逃げ出す術はない。
背後から抱き締められ、不覚にもぞくりと甘い痺れが全身を奮わせた。
獣のような格好をさせられ、下肢に手が伸びる。
琉河の雄もまた、興奮を隠せずに先走りで濡れていた。
それを耳元で笑われ、羞恥心が込み上げた。
なぜこんな男ごときに、己の身体は反応を示してしまうのか、と。



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