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「Feel Over〜後編〜」


扉を叩く音に、エドワードははっと身を起こした。

「兄さん、起きてる?兄さん!!」
「あ・・・アル?」

何かあったのか、と焦りながらエドワードはベッドを降りた。
自分がめちゃくちゃな格好をしていることに気付いて、
慌てて衣服を整える。
ところどころについた皺はどうしようもなかったが、エドワードはドアを開けた。

「アル、どうし・・・いっ?!!」
「やぁ、鋼の」

信じられない光景に、エドワードは素っ頓狂な声を上げた。
アルフォンスの後ろに佇む人影は、先ほど電話で話していたあの男。
エドワードは青褪め、そして一気に赤くなった。

「な、なんで、あんた・・・」
「お忙しいところ、わざわざ来てくれたんだよ。明日間に合わないだろうって」
「結局、あの事件はテロだという説が濃厚になってね。・・・君も、あと2日足止めされたらつらいだろう?」
「・・・っ、余計なお世話だっつーの!!」

顔を真っ赤にしながら叫ぶエドワードに、アルフォンスはああ、やっぱり、とため息をつき、
ロイはというと、おもしろがるようにしてエドワードを見つめた。
毎回毎回エドワードは自分と会うたびに嫌そうな顔をするものだが、
今日はいつにも増して顔が赤い。
どこか恥しがっているエドワードに、ロイはくすりと笑った。
あれから2時間。
さて、彼は何をしていただろうか。

「全く、兄さんったら・・・。大佐、少し待っててください。今すぐ用意してきますんで」

ほら、兄さん、と兄の都合もお構いなしにアルフォンスはエドワードを部屋に押した。
エドワードは相変わらず顔を真っ赤に染めている。

「ちょっ・・・か、勝手に決めんな!!今すぐなんて無理・・・!」

そもそも、部屋からしてマトモに整理していず、
何より身体が気持ち悪い。
結局あれからなし崩し的に眠りに落ちてしまっていたエドワードは、
あらためて下肢の汚れを意識してまたもや顔を赤らめた。
それを見て、ロイは口元を意味深に歪めた。

「そうだな・・・折角君達もここで宿を取っていたんだし、今夜はここで泊まって構わないよ。君の兄君も、疲れているようだしね」
「え・・・でも、大佐のお時間が・・・」

戸惑うアルフォンスに、ロイは笑いかけた。

「私は大丈夫だ。明日の朝一番にここを出れば間に合うだろう。今夜はゆっくりしていくといい」

私もここで宿を取ろうか、とロイは思案する。
ちらりとエドワードを見ると、ほっと胸元を撫で下ろしていた。
まったく、つくづく内心が顔に出る子供だ。

「すみません、大佐。わざわざ来てもらって・・・」

ほら兄さん、御礼いいなよ、とアルフォンスに押され、エドワードはぷいっとそっぽを向いた。
ロイは声を上げて笑う。

「はっは。相変わらず君のお兄さんには嫌われているようだね。今日はこれで失礼しよう」

では、明日7時に、と告げるロイに、
アルフォンスははい、と素直に頭を下げた。

「・・・兄さん。それじゃね。寝坊しないでね」
「・・・・・・わーってるよ」

じゃな、と手を振って、アルフォンスを見送る。
アルフォンスは隣の部屋に入ると、ばたりと扉を閉めた。
ロイはまた口の端を歪めて笑った。
エドワードは胡散臭そうにロイを見上げる。

「・・・そうだ、鋼の」
「・・・・・・・・・なんだよ」

嫌な予感に、エドワードは眉をびくつかせた。
早々に部屋にどじ篭ってしまえばよかった、と今更ながら後悔する。

「実はね、今夜、部屋が空いていないらしいんだがね」
「・・・はっ?!!別んトコいけ!!!」

ロイの言葉を半分も聞かず、エドワードはロイを押した。
だが、ロイはからかうような笑みを浮かべたまま、隣のエドワードをひょい、と持ち上げる。
うわっ!!と声をあげるエドワードを無視して、ロイは彼の部屋に入るとがちゃり、と鍵をかけてしまっていた。

「まったく、素直じゃないな。」
「っ、てめー・・・っあ!」

ベッドに放り出され、すぐさま乗り上げてくる男に、エドワードはまたもや頬を染めた。
性急に下肢に触れられ、一気に熱があがる。
だが、それと同時に、先ほど自分1人で行っていたことを思い出し、
エドワードの身体が竦んだ。

「・・・エドワード?」
「・・・っや、だっ・・・!」

エドワードは必死にロイから逃れようと腕を突っ張った。
このままロイに服をはがされれば、確実に自分の今の状態を彼に知られてしまう。
1人で快楽を追うという、浅ましく、そして背徳的な行為をしていたことが、
彼にばれてしまう。
エドワードはありったけの力で抵抗を続けた。
少しだけロイの腕が緩む。

「どうしたんだい?」
「・・・っ、シャワー・・・、先・・・」

赤くなったまま告げるエドワードに、ロイは口元を緩めた。
どうやら、自分が嫌というわけではないらしい。
だが、もう寝る者が出てきてもいいくらいの遅い時間。既に身を清め終わっていてもいいはずだ。
ロイは先ほど顔をあわせたときのことを思い出した。
これ以上ないほど真っ赤にした顔。
アルフォンスがドアを何度か叩いてやっと反応を返してきたエドワード。
ロイは下に組み敷いた少年を改めて見やった。
少年は羞恥からか自分から顔を背けている。
多少皺のよった衣服や、目に入った彼の下のシーツに、ロイは目を細めた。

「・・・エド。エドワード」

少年の名を呼び、ロイは彼の唇に自分のそれを重ねた。

「・・・んっ・・・ふ、うっ・・・」
「可愛いね」

エドワードの結わえた髪を解き、ロイは深く少年の口内を貪った。
かすかに抵抗をする歯列を割り、ためらいなく舌をいれる。逃げようとする舌を捕らえ、深く絡める。
久しぶりの甘さにロイは目を閉じ、なおもその感触を楽しんだ。
エドワードは強引過ぎるキスに眉を顰め、手でロイの肩を押したが、
その力は既に弱くなってしまっていた。

「ふ、んっ・・・はっ・・・」
「エド・・・」

角度を変えながら、何度も何度もキスをする。
エドワードが抵抗を忘れ、うっとりと上気した表情を見せるのを確認して、
ロイは再度下肢に手を伸ばした。
エドワードの言うとおり、シャワーを浴びさせてやるほどの余裕は、今のロイにはなかった。
少年と同じように、自分もまた飢えていたのだ。
・・・あのまま、少年が自分の元に戻ってくるのを、ただ待っていられないくらいに。

「あっ・・・、やだ・・・あんっ・・・」

ロイは嫌がるエドワードの身体を押さえつけ、下肢に纏っていた衣服を剥いだ。
羞恥に目をつぶる彼の目蓋にキスを落とす。
少年の下肢で息づくそれに指を絡めると、既に濡れそぼったそれは簡単に大きさを増した。

「やっ・・・、だめっ・・・」
「大人しくしたまえ」

したばたと暴れるエドワードに、ロイはいささか乱暴に彼の肌を弄った。
彼の砲身を刺激しながら、胸元に舌を這わせる。
エドワードは身を捩ったが、彼の全体重でのしかかられ、そもそも体格すら全く及ばない相手だ、
少年ごときが叶うはずもない。
強引に事に及ばれ、自身の恥を晒されるのがつらかった。
ロイは何も言わないが、聡い彼はわかっているはずだ。
自分があれから何をしていたか。

「ああっ・・・、っ・・・!」

突然下肢が熱く濡れた感触に包み込まれ、エドワードは身体を戦慄かせた。
下を見ると、ロイの頭が下肢に埋まっていた。
羞恥に頬が染まる。引き剥がそうと手が伸びる。
さらりとした黒髪が指先に絡み、エドワードは熱い吐息を漏らした。

「あっ・・・はあっ・・・」
「ああ・・・、君の味がするよ、エドワード」

舌先で彼自身の先端を嘗め回しながら、ロイは言葉を紡いだ。
ロイの声音に、エドワードはますます赤くなる。先ほど放った精の残滓ごと男に呑みこまれ、少年の身体が震えた。
だが、ロイはいっこうにエドワードを放そうとしない。
それどころか、彼の熱をこれ以上に高めてやろうと、激しく砲身を扱きあげる。
舌をねっとりと絡められ、筋に沿ってなぞられると、エドワードの背筋にぞくりとしたものが走った。

「・・・っ」

エドワードはぎゅっとシーツを握り締めた。
1人でやっていたよりも、はるかに強く、目もくらむような快楽が、
ロイの存在によって引き起こされてた。
彼がいるだけで、こうも簡単に自分は上り詰めることができるのだ。
先ほどまで感じていた飢えが、一気に彼の身体に押し寄せてきて、
エドワードは必死の思いで彼の頭を抱え込んだ。
纏う服乱れてもいないロイに対して、捲りあげられたシャツに下半身はすべて剥がされてしまった自分。
これではまるで、犯されているようではないか。

「あっ・・・、ロイっ・・・!」

エドワードは限界に震えた。
解放を訴える波が幾度も幾度もエドワードを襲う。
耐え切れない、と男の名を呼び、髪を引いて懇願すると、顔を上げたロイと目が合ってしまった。
漆黒の瞳は、情欲に濡れて輝きを増していた。
エドワードは息を呑む。
彼の視線だけで感じる自分がそこにいた。

「・・・っあ・・・」
「達っていいよ」

くすりと笑って、再度下肢に顔を埋められる。
エドワードは仰け反った。
下肢にわだかまる熱が解放を訴え、奔流となってエドワードの小さな身体を駆け巡る。
一瞬くらりと眩暈がしたような気がして、エドワードは目を閉じた。

「っ、は・・・あああっ!!」

目の奥に閃光が走り、視界が真っ白に染まった。
脱力するような感覚と共に、どくどくと自身から精を解放していく。
ロイの口内に精を放ったことで、エドワードはひどく申し訳ない気持ちになった。
男が顔をあげ、エドワードを覗き込んだ。
濡れた唇を拭い、少年に口付ける。

「あ・・・ふ、うんっ・・・」

舌に触れる精の苦味に、エドワードは顔を顰めた。

「エド。」

ロイは嬉しそうに笑みを浮かべ、そこここにキスを落としていった。
くすぐったそうに身を捩るエドワードは、
ロイの甘い瞳に見つめられ頬を染める。
まっすぐに見ていられず横を向くと、首筋をぺろりと舐められた。

「・・・っ」

身体が熱い。
先ほど精を放ったばかりだというのに、またもや頭をもたげる自身を意識してエドワードは唇を噛んだ。
ロイはからかうように自分を見つめていた。
身体の奥で疼く欲が、彼を求めている。
エドワードは無意識のうちにロイの首に腕を回していた。
きゅっとしがみつき、彼の肩に顔を埋める。
男がくすっと笑い声を上げた気がした。

「・・・エドワード。」

低く甘い声音にどきどきと胸が鳴った。
高まる鼓動は、これから先の行為への期待もあったかもしれない。
ロイはエドワードの腰に腕を回し、辺りをなぞった。
ひくりと震える身体を反転させる。
自分の背をベッドに預け、エドワードの身体を自分の上にする体勢にする。
エドワードはロイの身体を跨ぐような格好に羞恥を覚えたが、すぐさま与えられる下肢への刺激に喘ぎ声を上げた。

「あっ・・・や、ああっ・・・」

くちゅくちゅと、卑猥な音が部屋中に響き渡る。
聞こえてくる音すらエドワードを刺激する要素になり、少年は身体を竦ませた。
内部で、ロイの指が生き物のように蠢いている。
それが気持ち悪くて、そのくせエドワードの体内にある疼きを直接高めるような快感になる。
矛盾した感覚にエドワードはひっきりなしに声をあげ、必死に男にしがみついた。

「や・・・っ、ロイ・・・だめっ・・・」
「ああ、足りないのかい?」

エドワードの反応を勝手に解釈して、エドワードの中に2本、3本と指を増やしていく。
激しく掻き回すと、エドワードの表情が甘く歪んだ。
しがみ付く腕の力が、一段と強くなる。

「エドワード・・・」
「あっ・・・も、はや、くっ・・・」

エドワードは泣きそうになりながらロイに訴えた。
もう、お願いだから。
はやく、熱を帯びた塊で身体の奥を貫いてほしかった。
疼く熱が、暴走を続けている。
満たせば満たすほどに足りないと訴えるそれは、更なる快楽を欲している。
もう、指だけでは我慢できない。
貪欲な自分にエドワードは唇を噛み締めたが、欲を抑えることは出来なかった。

「ロイっ・・・」

悲鳴に近い声で男の名を呼んで。
ぎゅっと首にしがみ付いて、彼をせかす。
ロイは笑ってエドワードを抱き締めると、彼の唇に再度口付けた。
甘い蜜を絡め合わせながら、下肢の指を抜き去る。

「んっ・・・」

指が抜けていく感触に、エドワードは声をあげた。
次の瞬間、その部分に触れる熱く濡れた感触。
硬質なそれは目の前の男のそれで、エドワードはそれを意識して頬を赤く染めた。

「エド。・・・自分で、やってごらん」
「え・・・」

熱に浮かされたエドワードに、ロイは笑ってそう言った。
枕についていた手を取り、自分のものを握らせる。エドワードはその熱さに息を呑んだ。
これが、自分の内部を貫いた時の快楽を思い出し、
ごくりと喉を鳴らす。
羞恥はもう極限を超えていて、
エドワードは請われるままに左手でロイ自身を掴み、内部へと導いた。
先ほどまで散々嬲っていたそこは、やすやすとロイを飲み込んでいく。
エドワードの内部の熱さにやや息を乱しながら、ロイは快楽に歪むエドワードの顔をひたすらに見つめていた。

「エドワード・・・」
「んっ・・・や、あっ・・・あんっ・・・」

ずぶずぶと飲み込まれていくそこを感じたくて、ロイはエドワードの入り口に手を伸ばした。
従順に自分を受け入れるそこは、反抗的な彼とは違ってひどく素直だ。
ロイは笑った。

「いい子だ」
「や・・・ばかっ・・・あっ・・・」

悪態をつく声音すらも、もはや甘くしか響かない。
エドワードは内部から受ける感覚に溺れ、そして震えていた。
大きなロイのそれを受け入れるのはいつだってつらいが、今回は違った。
内部を圧迫し、息もできないほどになるそれが嬉しい。
自分の内部に埋まるロイのそれを、夢に見るほどに焦がれていたから。
根元まで全て飲み込んで、エドワードはふぅ、と息を漏らした。
身体を支えていられず、ロイの胸に倒れ込む。
ロイは少年の小柄な身体を支えると、彼の髪をゆっくりとすいた。

「・・・動くよ」
「んっ、はあっ!!あっ・・・」

彼の承諾も待たず、ロイは下肢を突き上げた。
がくがくと揺れる体を、己の欲のままに貪っていく。
滑らかで形のよい尻の感触を手で確かめながら、深く浅く挿し貫いた。
エドワードが漏らす声音はいよいよ止まらなくなり、
せわしない吐息と共に男の耳をうつ。
それに煽られ、ロイの動きははより一層激しさを増した。

「あっ、やっ・・・ダメ、もっとゆっくり・・・!」

いささか性急なロイの律動に、エドワードは泣きながら訴えた。
だが、ロイはエドワードの目尻から零れる涙をキスで救い、そのまま頬を辿って唇に触れる。
甘い吐息をキスで奪いながら、下肢を揺らした。
縦に貫くようにではなく、エドワードの周囲をなぞるように。
感じる部分を擦り挙げられ、エドワードは恥も外聞もなく啼いてロイにしがみ付いた。

「やぁ、だっ・・・ロ、イ・・・っ!」
「もう・・・達きたい?」

ロイの甘やかな声音に、エドワードはこくこくと頷いた。
するりと前を握られ、息を呑む。
張り詰めたそれは、ロイが爪先で軽く弾いてやるだけで、ますます大きさを増していき、
零す蜜はロイの肌蹴られた腹を濡らしていた。

「あっ・・・だめっ・・・あ、もう・・・っ」

耐えられない、とエドワードの首が左右に振られる。
汗が飛び散り、ひと筋ふた筋髪がエドワードの顔に張り付く。
ロイはそれを見上げて、口の端を持ち上げた。
エドワードの腰を抱え、強く内部を抉る。エドワードの顔に唇を寄せ、深く舌を絡める。
口の端から洩れる体液にも構わず互いを貪りながら、2人は繋がる場所から湧き起こる快楽に身を委ねた。
息が上がり、もはや互いを気遣う余裕もない。
ロイはエドワードの張り詰めた熱をきつく握り締めた。

「あ・・・やっ・・・!な、に・・・」
「一緒に達こう、エドワード」

言うなり、強く奥を貫くロイのそれに、エドワードは悲鳴をあげた。
根元を押さえられたままの身体を、はけ口を求めて熱が奔流のように駆け巡る。
目もくらむほどのそれに、エドワードは仰け反った。

「ああ、っ・・・!」

達きたいのにいけないもどかしさに、涙で濡れた目でロイを見る。
男はエドワードの潤んだそれに更に熱を煽られ、下肢を激しくした。
きつく掴んでいたそれを緩め、奥を貫くそれに合わせて砲身を擦りあげる。
エドワードは耐え切れずにロイの肩口を指先で噛んだ。
きつくしがみ付くと、ロイもまたエドワードの背を強く抱き締める。

「エド・・・」
「あ、や・・・、だっ、ん・・・!!」

唇を塞がれ、喘ぎ声をすべて吸い取られて。
ロイに最奥をひと突きされ、たまらずエドワードは情欲を解放した。
男の胸に次々と白濁した精を吐き出す。
べたべたとしたそれがエドワードとロイの肌を汚したが、
快楽の余韻に浸っていたエドワードは熱い息を吐いてロイに身を預けていた。
内部でじわりと熱いものが広がる感覚さえ、今の少年には快感にしかならない。
男の熱を受け入れることの悦びに震える身体を持て余したまま、
エドワードは彼に抱かれて瞳を閉じた。





ロイは、腕に収まったエドワードを見下ろしながら、満足げに吐息を吐いた。
先ほどまで自分の上で乱れていた少年は、今は脱力し、大人しく自分の胸に収まっている。
汗に濡れた髪を撫でてやりながら、ロイはくすりと笑った。

「・・・可愛いね」

あれほど反発し、素直でなかった少年とは大違い。
甘い余韻に浸りながら、ロイは軽く開いたままのエドワードの唇に自分のそれを重ねた。
しっとりと濡れたそれは、ロイを悦ばせるには十分で、
ただ触れるだけのキスで留めておこうと思っていた男は気付けば深く舌を侵入させてしまっていた。
かすかにエドワードの眉が寄せられ、これでは嫌われてしまうかな、と思いきや。
エドワードは抵抗なく舌を預けるどころか、
ロイの舌を求めるように自ら舌を絡ませてきた。
熱く、濡れた感覚。
ザラついた表面や、口内のつるつるとした感触を確かめ、深く吐息を奪う。
舌先を甘噛みし、柔らかなそれをゆっくりと堪能してやっとロイが唇を離すと、
2人の舌先から銀糸が引いた。
食い入るように見つめると、エドワードもうっすらと目を開け、ロイを見つめる。
軽く開けたままの口から熱い吐息を漏らすエドワードに、ロイは目を細めた。

「・・・困ったな」

明日の朝は早いのだ。
自分は強行軍には慣れているものの、いい加減少年は寝させなくてはならないだろう。
けれど、どうもそれができそうにない状況に、ロイはむ、と顔を顰めた。
自分を見上げるエドワードの官能的な表情に、
下肢がまた熱を訴えている。
久しぶりの少年の身体は、ひどく甘く、1度や2度で手放せなかった。
もっともっと。
してやりたいことはいくらでもあるのだ。
ロイはくすりと笑った。

「まったく、君のせいだよ?エドワード」
「・・・え・・・」

まだ熱に朦朧とするエドワードに、ロイは再度口付けた。
夜はまだ始まったばかり。
幼い子供のように見上げる彼は、一度収めてしまったら離れがたく、そして愛しい。
まともに寝させてやれないことを内心詫びつつ、
ロイはエドワードの下肢に再度指を絡めたのだった。





むっつりとした顔で、エドワードは宿の食堂で朝食を食べていた。
不機嫌な原因の一端は、目の前にいる、こちらもコーヒーと軽い食事を取るロイだ。
飄々とした顔を時折睨みつけながら、がつがつとベーコンやら卵やらを掻き込む。
勿論のことだが、食卓に牛乳は乗っていなかった。

「あ、兄さん、大佐、おはようございます」

約束の時間より少し早く、アルフォンスが食堂に顔を見せた。

「ああ、おはよう」
「よう、アル」

だが、エドワードはそれきり言うと、またむっつりとだんまりを決め込み、黙々と朝食を食べている。
アルフォンスは首を傾げた。

「・・・どうしたの、兄さん」
「・・・・・・別に」

一瞬ロイに牛乳を飲めと強要されたのかと疑ったが、
幸い兄の嫌うあの飲み物はテーブルに置いていないようだ。
再度エドワードを見やると、彼は目の前のロイを一瞬睨み、それから顔を背けて食べ続けている。
また大佐と何かやらかしたのか、とアルフォンスはため息をついた。

「・・・また大佐と何かあったの?・・・大佐、ほんとすみません、兄が・・・」
「いやいや。気にしなくていい。君のお兄君には慣れているからね」

ロイの反応にエドワードはこめかみをひくつかせた。
できることなら、今すぐここで誰のせいだよ、と叫んでやりたい。
勿論、本気で叫んだら墓穴を掘るのは自分のほうで、
仮にやったとしてもロイは困らないどころか、危機として応戦してくるだろう。
再度はぁぁ・・・とため息をついて、とりあえず目の前の食事だけを意識することにした。
まともに寝ていない体が栄養を欲している。
既に1人前を平らげ、エドワードはそれでもまだまだ足りずに食べ続けていた。

「アルフォンス君の準備は万端かい?」
「あ、はい」
「では、鋼のが食べ終わったら早速司令部に行くとしようか。2時間くらいだが、まぁ我慢してくれたまえ」
「・・・2時間?!!」

いきなりエドワードが叫び、周囲からの注視を浴びてしまった。
慌ててアルフォンスがなんでもないです、と焦った声で周りにいい、エドワードはというとテーブルにつっぷしている。
叫んだせいで一晩中苛まれた腰が痛んだのだろう。ロイはくっくっと声をあげて笑った。

「仕方ないだろう。列車で2駅分だぞ?」
「信じらんねぇ・・・」

あの揺れる車内で、まともに身動きもできないまま、座っていなくてはならないとは。
へなへなと脱力するエドワードにアルフォンスは言った。

「?どうしたの、兄さん?」
「・・・いや、ちょっと、な・・・」

痛む腰をさすりながら、引きつったような声をエドワードはあげる。
アルフォンスは不思議そうにしながらも、それじゃ、と席を立ち、部屋に残してきていた荷物を取りに上に上がっていった。
くっくっく、と笑いやまないロイに、誰のせいだよ・・・とエドワードは男を睨みつける。
ロイは再度エドワードに視線を移すと、まぁ安心したまえ、と声をかけた。

「そのかわり、特別にいいクッションを貸してやろう。・・・ふっふ、そうだな。・・・あの、真ん中がくり抜かれたムートンクッションなんかはどうだ?」
「いるかバカ!!!」

再度叫び声をあげて、エドワードははぁ、とため息をついた。
どんなに強がっても、ダメなのだ。
何があっても、結局はロイにからかわれ、遊ばれている自分を意識して、エドワードは心底ため息をついた。
だが、なおも悪いことに、自分のどこかでそれを喜んでいて。
ロイに流され、抱かれるときも、からかわれ、怒ったところで甘く笑みを返されるときも、いつだって。
エドワードは再度恨めしそうにロイを見やれば、
ロイは一層爽やかな顔で自分を見下ろしている。
まったく、と内心ごちて、エドワードは今日何度目かのため息をついた。

「・・・・・・安全運転してくれよ」
「もちろん。君の腰に響かないように気をつけるよ・・・っと」

いきなり飛んできたエドワードの右手を間一髪で避けて、ロイは肩を竦めた。
本当に、本当に。
恥かしがりやで、反抗的で、可愛くて、素直で・・・おっと。
矛盾した形容詞が浮かぶ自分にロイは笑った。
エドワードは羞恥に顔を染め、がたり、と席を立った。
そのまま、食器を片付け丁度降りてきたアルフォンスに駆け寄る姿を、ロイはゆったりと眺める。

・・・まったく、楽しいね。

エドワードと出会うたびに湧き起こる感情に内心戸惑いながらも、
ロイはテーブルに肘をついて、
ひたすらに彼を見つめていたのだった。





end.