女性向二次創作サイト
星蒼圏 - 保管庫モバイル
「パシオン」
中編
かなり先から予約しておいたらしいクルーゼは、慣れた風にボーイにチップを渡し、一言二言ですぐに下がらせる。
彼の手際はいつだって滑らかで、隙がない。そんな彼を呆然と見ながら、
着いたのは最上階のスィートルーム。
広いリビングの、これまた壁全体が窓であるかのように広いウィンドウを示され、
フラガは漸く先ほどのクルーゼの言葉に合点がいったのだった。
そういえば以前、街を一望できる場所に行きたい、とか言ったような気もする。
それは自分すら忘れるほどの過去のものだったが、この男が覚えてくれていたのだろうか?
「クル―――っ・・・ぅん・・・」
「どうだ?初めて見る景色は」
「っ・・・、なら、もっとゆっくり見せてくれたっていいだろっ・・・」
「私は、お前のほうに数百倍興味があるからな・・・」
くすり、と笑う男の気配に、ぞくりと背筋が震える。
先ほど自分の部屋で感じた感覚よりも明らかに違うそれに、フラガは無意識に唇を噛んで耐えていた。
するりと衣服の中に滑り込んでくる手は、淫らで、いやらしくて、
ひどく己の熱を煽られる。もっと見ていたい夜の街の景色は、視界にまだ映ってはいるのだが、
もうそろそろそちらに意識を向けようとするのも限界だ。
がくがくと膝が震えて、フラガは思わずクルーゼの肩に縋っていた。
普段はあっけなく己の腕の中に落ちてくるフラガに、クルーゼは珍しいこともあるものだ、と少しだけ驚いたような顔を見せたが、
それ以上に湧き起こる嬉々とした笑みのほうが勝ってしまっている。
少しくらいは己を律して、彼が喜ぶであろう景色のほうを見せていてやりたかったのだが、
どうやらそんな余裕はないようだ。
ただでさえ、予定時刻より長々と待たされ、
しかもその遅れた理由というのが自分との関係に備えて身を清めていたから、となれば、
もちろんクルーゼが黙っていられるわけもない。
鼻をくすぐるグリーンノートの香りは、フラガの愛用のシャンプーのそれで、
クルーゼはさらりとした金糸に指を絡め、心地よく香る彼のうなじに唇を寄せる。
ゆったりとしたそんな愛撫に焦らされるフラガは、
簡単に流されてしまう自分を嫌だと頭の隅で思うものの、もちろんそれ以上に快楽を求める情欲のほうが今の彼にはひどく強く、
当然ながら身体もそれを反映して淫らに濡れてしまっていた。
もう、視界に映る景色など気にも留めていない。
ただ、クルーゼの誘いを受けたときから彼を待ち望んでいた身体が言うことを聞かず、
それを支えるのだけで精一杯。
必死に抵抗することだけを考えていたはずのフラガは、
結局はこうしてこの男に溺れていることを思い、彼の背に回す手をきつく握り締めた。
「っ・・・、あっ」
「どうした・・・お前らしくないな」
普段激しく反発するフラガを相手にしているだけに、クルーゼはからかうように言葉を紡ぐ。
そんな声音にもちろんフラガはカッと顔を赤らめるものの、
既に窮屈そうに下着の前を濡らしているそれが、フラガの今の状態を物語っている。
クルーゼは楽しげに声を上げて笑った。
服越しにその部分を触れ合わせると、もどかしい感覚にフラガの唇が震えた。甘い声が、躊躇いなく零れ落ちていく。
「あっ・・・あ、やっ・・・!」
「ムウ・・・そんなに煽らないでくれ・・・」
「・・・っう―――・・・」
再び唇を重ねられ、クルーゼは今度こそ深く口内を蹂躙した。
さすがに、自ら舌を差し出してくれるほど積極的ではなかったが、それでも腕を突っ張られ、必死に押し戻そうとされるよりは気分がいい。
何度も角度を変えて、舌を絡ませ、溢れる体液を吸っては吸い込ませる。唇を離せば、銀糸が二人を繋げる。
瞳を閉じたフラガの表情はひどく扇情的で、意図的に誘っているのではないかと思えるほど。
普段は全くそうとは思えないような目元も、その口元も、
熱に浮かされればこれほどの媚態を見せるのか、とクルーゼは見入られたように彼を見つめる。
フラガは、クルーゼにとって、ただ一つ、欲しいもの。
その想いは、もちろんそれなりに真っ当な人生を歩むことができたフラガにとっては当然受け入れられないもので、
クルーゼはそれもよくわかっている。わかっていてなお、彼にこうして付きまとうのだが、
さすがに己と同じ執着じみた愛情を向けられたいとは思っていなかった。
向けられるなど思ってもいない。だからこそ、こうしてたまに見せる、フラガの艶やかな表情に、
クルーゼは弱い。
それが、かれの意図的なのか、それとも無意識なのかはわからなくとも、
この金髪の、己の片割れともいうべき存在に引き摺られる自分を、クルーゼは自覚していた。
理性が、跡形もなく崩れ去ってしまうような。
人間としての証であるそれをすべて失って、ただ獣じみた欲望をぶつけるだけの生き物になってしまう。
だが、そうなることで被害を受けるのは自分よりむしろフラガなのだ。
己の熱に浮かされ、頭がぐらりと揺れるほどの感覚を、クルーゼは笑みと共に受け入れた。
もたらすのは、目の前のこの男なのだから。
身を委ねて当然、というものだろう。
「ムウ・・・自業自得、だからな」
「え・・・、や、ああっ」
性急に下肢を纏うものだけを取り去られ、フラガは一瞬我に返ったようにクルーゼのほうを見た。
煙るような蒼の瞳と、クルーゼの澄んだ青がかち合う。視線を逸らしたのは、もちろんフラガのほうだ。
クルーゼはそっぽを向いた彼の、滑らかな頬にキスを落とすと、むき出しの彼自身を手で包み込んだ。
フラガはクルーゼの肩口に額を押し当てて顔を赤らめたが、
先ほどから煽られ続けていたフラガのそれは、今更隠しようもなく、
クルーゼの手のひらは嬉々としてそれを扱き続けている。簡単に天を向いてしまったフラガ自身は、クルーゼが着ていたハイネックのセーターを汚す。
フラガはそれを嫌がり彼の身体を離そうとしたが、もちろんクルーゼが彼を解放するはずもない。
クルーゼの指先に先端を割られるように擦られて、指先まで痺れるような感覚がフラガを襲う。
淫らに作り変えられた己の身体は、
もうすぐ達する直前まで高められていて、フラガは必死にクルーゼにしがみ付く。
「っ・・・、やめろ・・・、このままじゃ、俺っ・・・」
「ああ、構わないぞ。―――1回で終わらせるつもりもないしな」
「・・・ぁっ」
クルーゼの言いようは、毎回毎回フラガの気に障るようなものばかりで、
フラガはそれを聞くたびに、自分を素直じゃなくしているのは、この男のせいだと思う。
いつもからかってばかりで、ちっとも優しくないのだ、この男は。
それは、クルーゼなりの、捻じ曲がった愛情表現であったり、フラガだけに見せる彼の幼心のひとつでもあったりするのだが、
そんな災難を受けるフラガ当人にしてみればたまってものではなく、
せめてもう少し優しくて、包容力のある大人であってくれれば、と思うのだが。
・・・いや、きっと、そんなクルーゼは気持ちが悪い・・・
フラガば少しだけ冷静になった頭で、ぼんやりとそんなことを考えた。
だが、からかうような言葉に反発する心に対し、
身体はどうやら違うらしい。
羞恥を煽られれば煽られるほど、意地の悪い言葉をかけられればかけられるほど、
その感度を増してしまうのだから、全くこまったものだ。
しかも、そんな色欲に溺れた、淫らな自分の身体を作り上げたのは、他でもない、クルーゼ自身なのだ。
他の男の手ならともかく、彼の手で煽られないはずもないフラガの熱は、
クルーゼが彼の舌を噛んだその瞬間、砲身から欲望を吐き出させていたのだった。
「あっ・・・、は、あ、んっ・・・」
「―――淫らだな・・・」
首を振って快感を露わにするフラガを眺めて、クルーゼはうっとりと呟く。
その表情は、思いのほか余裕がなく、うっすらと開かれたフラガの瞳には、獲物を前にした獣のような印象を与えた。
だが、それも当然。
渇いた唇を舌で濡らすクルーゼは、力がまともに入らないフラガを抱えたまま張り詰めた己自身の前を寛げる。
片足を抱え上げられ、フラガは脅えた。
このまま、慣らされもしないで彼を受け入れるのは、さすがに無理がある。
「・・・ちょ・・・、クルーゼっ、無・・・」
「わかっている」
「・・・っ」
本当に分かっているのか怪しい目の前の男に、フラガは不信も露な視線を向けたが、
クルーゼは小さく口元だけで笑い、先ほどの精に濡れた手をフラガの下肢に這わせていく。
フラガは息を詰めた。
濡れた指が、ずるり、と何の躊躇いもなく侵入してきたからである。
「・・・ぁ・・・」
「ムウ・・・」
耳元で名を囁かれると同時に、片手を取られ、互いの腹に向かわせられる。触れた先には、クルーゼ自身。フラガは目を見開き、そうして恥ずかしそうに首を振る。そうしている間に、クルーゼの手はフラガに自身のみならず、フラガのそれも包み込ませていた。
互いの雄同士を触れ合わせるという、ひどく背徳的な行為が、
だがそれ以上にフラガの理性を狂わせ、快楽を煽っていく。
恐る恐る握り締めるフラガの手をそのままに、クルーゼは彼の奥を解していった。
ガクガクと震えるフラガの身体を、抱き締める。
「・・・俺・・・、こんなっ・・・」
「お前の・・・、好きなようにしていい」
「あ・・・無理っ・・・」
ただでさえ、奥をかき回されるように愛撫されて、やっと立っている状態だというのに。
内部を犯される感覚とは対照的な、鋭い快楽の根源を己の手に包み込まされて、自由にしていいといわれても、
フラガにはそれを扱えるほどの余裕はない。首を振る彼に、
クルーゼはただ、唇を重ねる。先ほどから何度も重ねられるそれに、
すでにフラガの唇は腫れ、まるで紅を塗ったように赤く充血していた。それにすら煽られて、
また歯列を割り、彼の味をゆっくりと味わう。
口内を執拗に愛撫され、頭の奥がくらりとする。フラガは、再び快楽の虜となり、ただ身体が求めるままに快楽を追ってしまう自分を自覚する。
「っあ・・・んっ」
フラがの双丘を撫でるクルーゼの手で、軽く腰を揺すられれば、
前で重なる二人の雄が擦られ、ますます熱を持ち、先走りの液を零していて、
それを包むフラガの手は淫らに濡れていく。
漸く、彼の手が己の欲望に従って動き出した。始めてしまえば、もう止めることが出来ない、それが快楽への欲望。
フラガの手と、フラガ自身に煽られるクルーゼ自身も、もうそろそろ限界に近い。
クルーゼは、微かに目を眇めて、さて、どうしようかと考えた。
己が今、指を差し込んでいる部分も、とっくに甘く蕩けて己を受け入れられるほどになっている。
だが、フラガの手で煽られる今の状態も、捨てがたい。
しばしの間考えていたクルーゼは、
不意に笑いがこみ上げてきて、それに逆らわず肩を震わせた。
どうせ、まだまだ長い夜なのだ。
やりたいことなら、すべて行える時間的余裕がある以上、悩むというのも野暮なものだろう。
「―――ムウ」
「あ・・・、な、にっ・・・」
熱に浮かされたままのフラガの唇を舐めてやり、耳元で囁く。
「そろそろ、達かせてくれないか」
「っ・・・おい・・・それって・・・」
あまりに直接的な言葉に頬を赤らめるフラガは、クルーゼの言わんとすることにさらに頬を赤くする。
途端、手の中のクルーゼが熱を増したことにフラガが気付いた瞬間、
恐ろしいほどの快楽の波がフラガの全身を駆け抜けた。
クルーゼの長い指が、フラガの奥の、快楽の根源を擦るように刺激したのだと頭で理解すると同時に、
激しい羞恥と、それでいてもっと欲しいという思いがフラガの頭を支配する。
手の中の己自身もまた、二度目の精を放てそうなほどに張り詰めていることを自覚して、
フラガはどうすればいいのか、と戸惑いを隠せない瞳でクルーゼを見上げた。
水に濡れたような、今にも雫が零れてしまいそうな、蒼。
クルーゼは無意識に唾を飲んでしまった。
あまりに、妖艶なそれは、彼に選ばせようと思っていた思考すら吹っ飛んでしまったようだ。
「っ・・・お前って奴は・・・」
「んっ・・・あ、クルー・・・ゼっ・・・!」
クルーゼの手が、二人の砲身を包み込むフラガの手をその上から包み込み、激しく扱き上げていた。
「あ・・・!」
「ムウっ・・・・・・」
流石に無理な体勢に、クルーゼはすぐ後ろの窓に、フラガの背を預けさせる。
フラガはひやり、とした感覚に背筋を振るわせたが、
すぐに浮かされる熱に惑わされ、淫らな様を見せた。汗に濡れた髪が、与えられる快楽を嫌がるように首を振る。
構わずクルーゼが二人の雄を擦り合わせるように動かせば、
強張るようにびくりと肩を震わせるフラガの身体。痙攣するように震えたその瞬間、
「っ、・・・」
前触れもなく、クルーゼの欲がフラガの腹に放たれていた。クルーゼは眉を顰める。
あまりに淫蕩な表情を見せたフラガに、彼の理性が耐えられなかったらしい。
濡れたままの手で彼の砲身もまた扱いてやれば、あっけなくフラガもまた二度目の精を放ってしまっていた。
クルーゼは満足げに笑みを洩らした。
もちろん、こんなもので解放してやるほど、クルーゼは甘い人間ではなかったのだが。
「はっ・・・あ、あっ・・・」
「・・・ムウ」
耳元で囁いて、その次の瞬間には、彼の身体は反転させられ、窓ガラスに手をつかされていた。
息も意識も絶え絶えのフラガは、しかしその冷たさにハッと目を覚まし、
そうしてガラス越しに見える景色を瞳に映す。己の裸をそんな場所で晒していることに今更ながら気付いたフラガは、
先ほどまで真っ赤にしていた顔を一気に青褪めさせた。
「ちょ・・・、待・・・」
「待てない」
「・・・やめ・・・!っあああ!!」
やめてくれ、とクルーゼに訴えようにも、
もはや聞く耳を持たない男は、そのまま柔らかく蕩けた内部に己自身を埋めてしまっていた。
あまりに激しい圧迫感に、フラガは一瞬息を止める。だが、散々慣らされ、焦らされていたせいか、
痛みはなかった。ただ、激しい快感だけが、フラガの頭の奥を狂わせている。
だが、その一方で、裸の胸を窓ガラスに押し付けられ、フラガは激しい羞恥を覚えていた。
もちろん、ここは高層ビルの最上階で、誰も見ているとは思えない場所ではあるのだが、
下を見れば、なおもネオンが輝く町並み、深夜になってなお走る車の列。
ガラスに押し付けられた砲身が擦れ、先走りで汚してしまうそれにも、フラガは羞恥を煽られた。
そして、それ以上に、冷たいガラスが己の砲身を擦る刺激が、脳髄を灼くようで。
フラガは、キリキリと爪でガラスを引っかいた。下肢からは、これ以上ないほど容量を増したクルーゼを受け入れた、その衝撃。熱くて、熱すぎて、その場所から身体が蕩けてしまいそうな快感だった。
―――いっそ、すべて蕩け切ってしまえたら。
フラガの頭の片隅に、そんな言葉が浮かんでは、消える。
すべての理性を奪われて、フラガという人格すら奪われて、あるのはただ、クルーゼから与えられる快楽に溺れる、欲深い肉体。
身も世もなく喘ぐ己は、己であって己ではない。
なぜなら、この姿は自分が認めたくない、と頑なに思っていた、まさにその姿なのだから。
だが、今のフラガは、それが全てで、他のものは何も意味を成さない。日常も、友も、仕事も、任務も、部下も、彼をとりまき枷となっていた環境のすべてが、彼と切り離され、自由になる瞬間。
そうなってしまえば、フラガの理性がクルーゼに抵抗を示すことなどあるはずもなく、
ただ感情のままに、彼を求め、そうして快楽を求めてしまう。
そうして、それこそが、
クルーゼが本当に望むフラガの姿だった。
「あっ、あっ・・・!!・・・クルー、・・・」
「・・・ムウっ・・・」
唇を噛み締め、汗が滴るのも構わず、クルーゼは彼の下肢を激しく貪る。
熱に浮かされ、乱れたフラガの姿は、ひどく美しくて、蟲惑的で、どうしようもなく煽られる自分がいる。
どれほど期待していなくとも、こうしてときたまにでも見せてくれるフラガの己を欲する姿は、
クルーゼの心をひどく満たしていった。
フラガの3度目の絶頂は、簡単に訪れていた。
べっとりと精で濡らした窓ガラスを眺めながら、クルーゼは放心したようなフラガを腕に抱き締める。
まだまだ、離したくないと願う腕の中で、
フラガがうっすらと笑みを浮かべた気がした。
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