女性向二次創作サイト
星蒼圏 - 保管庫モバイル


「水のないプール 01」


「・・・ラウ?」

日付もとっくに変わった深夜。
溜まった報告書の作成のためデスクに備え付けのモニタに向かっていたクルーゼは、
近寄ってくる男の声に顔を向けた。

「ムウ・・・なんだ、寝てなかったのか」

とはいいつつも、眠たそうに目を擦るその姿は寝起きそのものだ。
おぼつかない足取りに、倒れこみそうな時にはすぐ支えられる心構えだけはして、クルーゼは彼を見つめた。

「別に、トイレに起きただけ。で、仕事部屋、まだ明かりついてんだなぁ、って」
「付き合ってやれなくて、すまんな」
「・・・仕方ないじゃん。あんたは軍人なんだし」

だから忙しくても仕方ない、と続けるフラガの手を掴んで、自分の方に引き寄せる。
口調には表れていなくとも、瞳が切なく語っているのを見たクルーゼは、自分の膝の上に座る形になったフラガの体を強く抱き締めた。

「ラウ・・・っ・・・辛いって、この体勢・・・」
「少しくらい、我慢しろ」

落ち着きなくもぞもぞと動く彼を抱え、自分は椅子の背を少しだけ後ろに傾けて。
フラガの足を地から浮かせると、重厚なつくりのはずの椅子が男2人分の重さにぎしりと音を立てた。
男の全体重を身体に引き受けさせれば、その重みが妙に安堵感をもたらしてくれる。
クルーゼはフラガの頭を肩に預けさせると、横から彼を覗き込んだ。

「・・・少しはラクになったか?」
「・・・ん・・・。」

恥ずかし気に軽く頬を染めて、それでも自分に身を預けて息を吐くその姿は、
寝起きでぼんやりとしている分、いつもより数段幼く見えた。
戦争とか対立とか確執とか、何の関係もなく愛し合うことが出来たあの懐かしい日のように。
クルーゼはくすりと笑うと、モニタの電源を小さく落とし、それから自分に寄り掛かる男を見つめた。

「・・・え・・・仕事はいいのかよ・・・?」
「構わんさ」

どうせ、報告書など明日までに仕上げなければならないものでもないのだ。
けれど、そんな理由など関係なしに、今のクルーゼには仕事より腕の中のフラガの方が大切だった。
・・・そういえば、このところ忙しくて、2、3日抱いてない。
お互い、少しだけ欲求不満になっていたのかもしれないな、とクルーゼは苦笑した。
腰を抱き締めた腕。それがゆっくりと胸元を這い、襟から器用に服を脱がせていく。

「・・・っ・・・ちょ、ラウ?!」

惚けていたはずのフラガが、慌てたように暴れ出す。
多少強引に胸元を肌蹴させ、露わになった素肌を指先で辿れば、
反動で肩から滑り落ちるライトブルーの夜着のシャツ。
ぱさりと小さな音を立てるそれに、クルーゼは目を細めた。

「・・・っ・・・こんなトコで、やるのか・・・?」

心なしか、羞恥に頬が染まっている。

「別に、ヤる場所が常に寝室だと決められているわけでもあるまい」
「そりゃそうだけど・・・っあ!」

フラガの身体がびくりと震えた。仰け反った喉元に、クルーゼは口づける。
長い指先が胸上の突起に緩く刺激を与えれば、そこはまるで反射のように硬くしこって来た。
爪を立ててきつく摘まれ、痛みと共に鋭い快感がフラガを襲う。
フラガは唇を噛み締めた。
眉を寄せ、与えられる感覚を耐えようとするその姿は、まるでコドモ。
こんな行為になど慣れ切ったハズの男の、それでも初心な反応に、クルーゼは口の端を持ち上げた。

「ふ・・・今日はヤケに敏感だな」
「・・・っ・・・!し、仕方ないだろ?!」

知らず、声が裏返っている。
クルーゼは声を上げて笑った。

「そうだな。3日ぶりだしな・・・・・・」

求めるカラダ。指先が素肌を辿るたびに全身が震える。
密着した背中から感じるそれに、自分の中の欲が煽られるのを自覚しながら、クルーゼは腕の中の男への愛撫を続けた。
飢えているのは自分の方だ。
クルーゼは自嘲気味に笑った。
ついこの間まで敵対していた軍のエース・パイロットだったこの男。
それが、今腕の中で喘いでいるのは、ただ自分が望んだからに過ぎないのだ。
哂って銃口を向けていたあの頃。大切な者をこの手で殺すのもまたとない快感だったのも事実。
そう、この手で『彼』の命を奪うことも、そして、自分が『彼』の手にかかることも。
けれど、そんな自虐的な2人が選んだ道が・・・、『コレ』だった。

「・・・―ムウ」

耳元で囁いてやれば、それだけで快感を呼ぶのか、びくりと強張る体。
背後から彼を支えながら、クルーゼはフラガの耳殻を愛撫しだした。
丁寧に舌を這わせる男の感触が、ヤケに甘い。
耳孔に舌を射れられ脳髄まで犯された気になりながら、フラガは不安定な体を支えるように後ろ手にクルーゼにすがり付いていた。

「っ・・・は、やく・・・っ・・・」

上半身の愛撫だけで、既に勃ち上がる下肢を自覚して、フラガは息を呑む。
この分じゃ、今だ纏っている下着もとっくに濡らしてしまっているのだろう。
これからそれを暴かれると思うと、羞恥と共に不思議な奮えが背筋を駆け抜けた。
ぎゅっと服を握り締め、後ろの男に咎めるような目を向ける。

「・・・ラウ・・・ラウ・・・っ!」
「ああ、わかっている・・・そう急かすな」

あまりの焦らされように下肢に伸ばされるフラガの手を捕らえて、クルーゼはくすりと笑う。
そんな気配だけで羞恥を煽られる彼は、しかしカラダの奥から湧き上がる欲望を自分の意志で止めることなどできなかった。
霰もなく首を振って乱れるフラガが、この上なく可愛いらしく、愛おしい。
腹のあたりをなぞっていた手が、不意に下肢で衣服を押し上げているそれに触れた。

「・・・あ・・・」
「窮屈そうだな」

間接的に自身を擦られる感覚が、もどかしい。
遊ばれていることを自覚して、フラガは悔しさにクルーゼの服をきつく握り締めた。
けれど、抵抗の言葉は紡げない。だって、欲しいから。

「・・・ラウ・・・・・・」

潤んだ瞳。クルーゼの方を見やれば、男の瞳がすっと細まる。
けれど、それはひどく満足そうな笑みで。
フラガは瞳を閉じた。

「・・・っ・・・いい加減・・・シてくんないわけ・・・?」

少し咎めるような口調。
そんな所も昔と変わらない。
布の上から緩くなぞっていた指先を離して、クルーゼはフラガの腰を軽々と持ち上げた。
こんな無理な体勢のまま服を脱がせることが出来るのは、コーディネイターとしての力故。
けれど、される本人にしてみればかなり不安定なその体勢に、フラガは不安そうにクルーゼにしがみついた。

「あ、ぶな・・・っ・・・」
「ほら、足でも上げておけ」

宙に浮く両足をデスクに乗せれば、やっと少しは落ち着いたのか安堵の息をつく。
けれど、その瞬間、はっと目が見開かれ、それからすぐに顔を背けるようにして閉じられた瞳に、
クルーゼは不思議そうにフラガを覗き込んだ。

「・・・?どうした」

一糸纏わぬ姿のフラガは、クルーゼの問い掛けにも応じないまま軽くカラダを震わせている。
クルーゼは先ほどのフラガの視線の先を辿ると、気付いたのかにやりと口元を歪めた。
フラガの顔を自分の方に向けさせ、半開きの唇を強引に奪い取る。
口内を蹂躙され捕らえられた舌をきつく吸われると、フラガの身体から余分な力が抜け、下肢に走る快感だけが意識を支配し始めた。
薄っすらと開けられた瞳がひどく潤み、宙を彷徨っている。
それを確認して、クルーゼはキスを続けたままデスクに手を伸ばした。
コンピュータの電源を入れれば、スタンバイ状態だったそれはすぐに起動音を鳴らし画面を映し出す。
それに驚いたフラガは、朦朧とした瞳を目の前のモニタに向けた。

「え・・・・・・?・・・っな・・・!!」

困惑に彩られた瞳が、一瞬にして恐怖と羞恥に変わる。
みる間に頬を染めてゆくフラガは、ぎゅっと目を瞑って視界を遮り、クルーゼの腕から逃れようと暴れだした。
目の前のモニタに映っていたのは、紛れもない、自分自身。
クルーゼに抱かれて全裸を晒す、自分自身の霰もない姿。

「・・・っバカっ!変態っ!!何考えて・・・っ・・・!」

必死にクルーゼを睨みつけ抗議するフラガは、しかし潤んだ瞳のままではクルーゼを煽ることにしかならない。
抵抗を続ける彼に構わず、クルーゼは自分勝手な愛撫をフラガに施した。
不本意にも息を詰めてしまうのは、慣れてしまった感覚故。
否が応にも感じてしまうから。

「何がそんなに恥ずかしいんだ?自分の身体なぞ見慣れているだろう?」

からかう様な口調に、一気に熱が上がる。
確かに、自分の身体など見慣れてはいるのだが。
フラガは一瞬だけモニタに映る自分を見、それから嫌そうに顔を背けた。
クルーゼの言うような、そんな問題ではないのだ。
他人の手で感じさせられ、その身体を他人に見せ付けられていること。
信じたくないほど乱されている。それを無理矢理自覚させられることが、どれほどの羞恥を煽るか。
知っていて、クルーゼはそんなことを言うのだ。
自分を抱く男のあまりの意地の悪さに、フラガは涙を溜めてクルーゼを睨みつけた。

「・・・最っ低だよお前・・・人の気も知らねぇで・・・・・・」
「わかっているさ。羞恥心が快感を煽ることぐらいな。ま、お前の場合は特に、だが」
「・・・っ・・・!」
「それに・・・・・・」

クルーゼの手が下肢をなぞり、既に勃ち上がって涙を零すそれに触れてくる。
先端から流れる体液が下肢の奥へと伝っていく様がモニタに映り、2人の眼前に晒される。
クルーゼはそれを見てにやりと笑い、フラガは顔を背けた。

「それに・・・なんだよ」
「・・・私はお前の全てが見たいんだ」
「・・・・・・」

悪びれもなく愛撫を続ける男の発言に、半ば呆れながら。
もうこれ以上相手にしていられない、とフラガは瞳を閉じた。
目の前のモニタさえ見ていなければ、とりあえず快楽に身を委ねられる。
フラガは身体を仰け反らせるようにしてクルーゼの肩に頭を預けた。

「ふ・・・やっと素直になったな」
「いちいち・・・最中にウルセーんだよてめぇ・・・」
「言葉攻めが嫌いだとはついぞ聞いたことがなかったが?」
「・・・だからてめーは一言多いんだって・・・っ!」

フラガの抗議の声が、クルーゼから与えられる感覚に遮られた。
ただの快感ではない。下肢の奥を割り開いていくような、内部で生き物が蠢くような、そんなよく考えてみれば気持ちの悪い感覚。
けれど、クルーゼに何をされても感じてしまう自分が、今のフラガの全てで。
それを自覚していたからこそ、フラガはクルーゼを受け入れた。

「・・・っ・・・」

ぎゅっと目を瞑り、次の瞬間来るであろう体内で蠢く異物感に耐えようとする。
けれど、来るはずの感覚は秘孔とその周囲を掠めただけで離れてしまっていた。
不本意ながらもの足りなさにクルーゼの顔を見やれば、
クルーゼは口の端を持ち上げたまま両手で自分の腰を掴み持ち上げてくる。

「っな・・・!」

この重力下で、仮にも大の男の腰を持ち上げるなど、コーディネイターとてそうそう出来るものではない。
けれど、顔色ひとつ変えずそれをやってのけた男は、それから自分の怒張した己を彼の彼の秘孔に宛がった。

「ちょ・・・ラウ・・・っ!慣らさなきゃツライって・・・!」
「何度やっているんだ。いい加減慣れろ」

有無を言わさず侵入してくるのは、熱く重たい”雄(オス)”の感触。
充分に慣らされていなかったそこが、悲鳴を上げるかのように引き裂かれ、割り開かれていく。
ただでさえ無理な体勢の上、きつく締まったそこを急激に男の欲で貫かれ、フラガは眉を寄せた。

「・・・い、たっ・・・!バカ・・・痛いって!!」

未だ快感になり得ない苦痛に、フラガの顔が歪んでいる。
クルーゼが支えてはいたが、それでも重力には逆らえないままのキツい挿入。
あまりの締め付け様に、クルーゼもまた軽く顔を顰めた。

「・・・まったく・・・痛いなら痛いで、もう少し力抜こうとか思わんのか、お前は」
「・・・んな余裕・・・っあるかよっ!!」
「叫ぶ余裕はあるくせに、不思議な奴だな」

喉でひとしきり笑うクルーゼに、フラガはより一層顔を歪めていた。
後ろ手で服に噛み付かせている指に力を込めれば、クルーゼの手が再び前に伸びてくる。
痛みに萎えかけていたそれをやんわりと刺激され、すぐに強烈な快感が蘇って来た。
思わず感じた痺れに身体を仰け反らせれば、その勢いでクルーゼの全てを呑み込んでしまう。

「っあ・・・あ・・・っ!」

痛み、というよりは、より奥にクルーゼ自身が届いた感覚に、フラガは目を見開く。
目の前のモニタには、案の定クルーゼに撃ち抜かれた自分のそこが、ありありと映し出されていた。
入口を真っ赤に染め、男を受け入れている自分の姿は、我ながら女のように卑猥だ。
そこまで考えて、フラガはちっ、と舌打った。

(・・・情けねぇ・・・何考えてんだ、オレ・・・・・・)

自分の身体にそそられる、とかなんとか。
そんなフラガの様子を見たクルーゼは、くすりと笑いを零した。





[NEXT]